焼き物は、備前焼に始まり、備前焼に終わると言われている。備前焼はそれだけ奥が深く、陶芸のはじめの
一歩として取っ付き易いが、さらに別の焼き物へ趣向が移って行っても、最後には備前焼に戻ってくるという
ことである。私もその通りだと思う。私は、七輪陶芸をやっているが、やはり、はじめは、自然に掛かる灰釉に
期待する焼き締めの作品である。自然まかせ、運まかせなので、どんなものができるかはわからない。
釉掛けするとある程度予想できる作品ができるが、自然釉、焼締めはできるまでわからない。
備前焼は、土器の時代から現在まで滔々と長き時代を超えて成長し続けている数少ない窯である。
人類は、長い間土器を作ってきたが、土器ではどうしても水が漏れてしまう。水の漏れない器が、人類共通の
願いであった。これは、東洋では中国を起源とする、陶器、磁器の発明により解決され、西洋ではイスラム
大帝国によるガラスの発明により叶えられた。
備前では、平安時代に土器よりは高い温度で焼成できる技術が中国から朝鮮を経由して入ってきて、
須恵器(せっ器)が作られ始めている。しかしながら、まだ陶器に至る焼成温度には達せず、鎌倉時代に
いわゆる日本の六古窯に1300℃まで焼成できる技術が入り陶器の生産が始まった。当時は、白物が
好まれたようで、備前焼は、瓶や壷が主要なものだったようである。
備前焼は、土の香りのする焼き物である。釉薬を掛けないで焼くため、ひとつとして同じものはない。
見掛けは土色、肌はざらざら、とても一般受けはしない。しかし、備前焼のすごさは使ってみると良くわかる。
私は、岡山県備前市伊部を2度訪れて、皿や酒器を買って帰っているが、例えば、牡丹餅の美しい一尺
皿の真ん中に、300円程度の安いお刺身をちょこんと乗せてみる。もうそれだけで、高級料亭のお刺身に
見えてしまう。片口鉢に冷酒を入れて、ぐい呑みで日本酒を飲む。昔の殿様の気分になれる。お刺身を
乗せる前は何の変哲も無い一枚の皿が、お刺身を乗せた途端に皿も料理も引き立って見えるのが不思議
である。備前焼とはそんな不思議な焼き物であり、これが備前焼の最大の魅力だと私は思う。
緋襷き 牡丹餅 窯変
備前焼は、発展をとげる中で、偶然できた、緋襷、牡丹餅、ごま、窯変、等をモチーフにして、中国の黄河の
ごとく、これからも延々と流れ続けるのだろう。以前、このブログの中で、九谷焼を日本の3本の中に入る
焼物だと申し上げたが、私の中では、備前焼はNo.1 である。
彩 庵 |
|
☆おすすめ理由
彩庵さんは楽天市場の中にあり、かなりの品揃えがあるお店です。
ホームページを覗くと、すばらしいものがたくさんあります。焼き物の比較もできるし、一度ホームページを覗く価値ありと 思います。
|
備前焼 岩本孝志 作
酒器揃
模様の出方が違う備前焼の楽しさを十分にお楽しみ下さい。ツルッとした磁器とは違い、吸い付くような焼き締まった地肌が日本人の侘び寂びの思いに届きます。若い方から年齢を重ねた方までお勧めします。 |
|
備前焼 柴岡宏和 作 耳付花入
長時間焼き締められた花器は遠赤外線が放出され、水が腐りにくく、花が長持ちします。
|
|