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ミャンマー青磁の小壺

2013年6月5日に、ミャンマーの最大の都市、ヤンゴンの骨董店で買った、ミャンマー・バガン王朝時代(1044〜1287年)?のミャンマー青磁小壺です。

ミャンマー青磁









 貫入

ヤンゴン市内の骨董店(AUGUSTINE'S)で手に入れました。大きさは、径:7.5cm、高さ:10cmほどの青磁の小壺で、灰緑色で、表面に細かな貫入が全体に入っており、特徴から、恐らくバガン王朝時代に作られたものだと思います。

発掘品だと思われ、中には、土が入っており、壺を振ると、土の一部が、壺の中で、コロコロと鳴って、土が入っていることがわかります。外部表面にも、一部土が残っている部分があります。

4つほど、同様の小壺がありましたが、その中で、最も状態の良いものを選びました。ちなみに、お値段は、US$50です。

この骨董店ですが、常時、門が閉まっていて、現地の案内人が交渉してくれて中に入れてくれましたが、ちょっとあ・や・し・い雰囲気・・・・・(笑)

写真撮影は禁止で、状況を写真で撮ることが出来ませんでしたが、漆器の国ミャンマーですので、漆器の大物や家具、石や木工の仏像などがメインで、珍しいものでは、クラッシックカーもありましたが、焼き物は、少なかったので、半分諦めていましたら、手の届かないところに、小さな壺が、4つ並んでいて、「やった〜〜〜〜!」という感じでした。

実は、ここを訪れる前に、ヤンゴン市内の国立博物館へ行って、一応の素養を勉強していましたので、これが、ミャンマーの古陶であることは知っていたので、すぐに決めました。

尚、国立博物館も、手荷物、携帯電話、カメラ、すべて持ち込み禁止で、当然、撮影禁止・・・・・すでに、アルツハイマー気味の私は、記憶に頼ることも出来ず、詳しい年代等は、覚えていないのですが、古窯も、博物館内に展示されており、中国式の穴窯で、長さは、人の丈ほどで、タイのシーサッチャーナライの古窯と同様のものでした。

恐らく、年代も同じ頃のものだと思われますので、13世紀〜のものと思われます。骨董屋のおやじは、300年以上前のバガンのものだと話していました。

バガン〜マンダレー付近では、古い数百の古窯が、エーヤワディー川付近で発見されていますので、そこで焼かれたものは、舟で輸送していましたので、舟が沈んだりして埋まったか、又は、窯付近や、バガン遺跡の廃墟に残されたものが土の中に埋まり、こうして、発掘品として、出てきたのでは?と思っています。

現在も、この地方には窯場があり、マンダレーの北約113kmに位置するシェボーからさらに東へ約30kmにある、エーヤワディ川のほとりにある小さな町チャウミャウン (Kyauk Myaung)、この町に隣接するニュエニャイン(Ngwe Nyein)で、焼き物が焼かれています。

ただ、ヤンゴンから 50km南にあるトゥンティー (Twante)というところに、ミャンマー最大の窯場 があり、15世紀には、中東向けにミャンマー青磁が輸出されているようですので、トゥンティー産のものかもしれません。

ミャンマーの陶磁器の研究は、あまり進んでなく、1983/84年頃に、タイ、ミャンマーの国境に近いタイのメソト・ターク付近で、白濁釉緑彩陶器 が発見され、後に、ミャンマー産だとほぼ判定されましたが、窯場が特定できないなど、謎も残っています。


         白釉緑絵菊花文壺  (出展:東南アジア名品展

その後の、ミャンマー青磁や、トゥンティーを中心とする陶磁器、現在のトゥンティーで焼かれているイギリスからの技術ではないか?と思われる、ガレナ釉に似た黄釉飴釉などが用いらている焼き物等の研究も、ミャンマーの歴史的な背景もあってか?、あまり進んでいないようです。

ただ、国立博物館には、かなりの資料が保管されており、その所蔵品数は、世界でも有数のものではないか?と思いますが、残念ながら、ミャンマーの焼き物は、日本ではあまり取り上げられてなく、資料が少なくて、まとめるのに苦労しました。国立博物館には、かなりの資料的なものがありましたので、今後の研究に期待したいと思っています。

タイ、ミャンマー、カンボジアの焼き物は、当時の王朝の隆盛状況で、お互いに影響を与えており、ミャンマーの焼き物は、基本的には、タイのスワンカローク焼が伝わったもののようで、スワンカローク窯が、ミャンマーの侵攻で廃窯になったとされていますので、「やきもの戦争」だったのかもしれませんね。

これは、現代のミャンマー産の焼き物の花瓶です。





大きさは、径:8cm、高さ:14cmで、島根県の布志名焼(ふじなやき)の湯町窯で使われているようなガレナ釉に似た黄釉飴釉が、特徴的で、ミャンマーの代表的な焼き物となっています。これは、ミャンマーの百貨店で購入したもので、100円程度で買いました。

こちらは、ヤンゴン郊外で生産されている焼き物で、木の葉型小皿です。







大きさは、長さ:19cm、幅:10.5cm。、高さ:2,5cmで、上記で紹介している黄釉の焼き物が買いたいと話すと、ガイドが連れて行ってくれたお店で買ったものです。(こちらも、1枚、150円でした。)

私が、欲しかった黄釉の焼き物もあったのですが、植木鉢が多くて、重過ぎて買うことが出来ず、この色のお皿を買うことになりました。(この店では、黄釉と共に、メインの色でした。)

 屋外展示品

 屋内展示品

 入口

作業場は、ヤンゴン郊外にあるということで、陶器の里のトゥンティー で作ったものではないそうです。

今回、ミャンマーのヤンゴン市を訪れてみて、もっと陶器があるのかな?と思っていましたが、ミャンマーは、漆器の国で、漆器は、至る所にありましたが、陶器は、結構、探すのに苦労しました。

ヤンゴン空港にも、漆器はあっても、陶器は置いてありませんでした。

ミャンマー漆器については、「ミャンマー漆器のぐい呑みと香合 」にありますので、そちらをご参照ください。

                                               (記 : 2013年6月10日)

追記 :

2013年12月14日、ミャンマーのバガンを訪れた際に、露店で、陶器を売っていましたので、幾つか買ってきました。





このような小物もあり、ほとんどが、伝統の黄釉か、緑釉のものでしたが、品質は、今一の感がありました。恐らく、この近辺の窯場で焼かれたものと思います。

また、ミャンマーでは、飲料水を貯めるのに、水甕を使っていますので、同じ場所に、下のような大きさの水甕が売られていました。



ラオス、カンボジア、ミャンマーと、いずれの国も、地方では、水甕を使っていますが、微妙にその形が違います。そして、ほぼその国の全域で同じ形の水甕が使われています。面白いですね。

尚、この時のメインは、ミャンマー漆器の作成状況の見学でした。バガンのパゴダ群の記述もありますので、「バガンでミャンマー漆器を学ぶ」をご参照ください。
                                           (追記 : 2014年4月10日)

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