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意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

陶印(サイン)の謎 

骨董や、焼き物を、本物かどうかを見極めるのに、陶印をチェックするのは、ご存知だと思います。

信楽焼きや、備前焼のような陶器では、掻き陶印や、印章による陶印が一般的ですが、有田焼きや、砥部
焼き、九谷焼きのような磁器系の焼き物では、サインのような陶印が多いようです。



上の写真の「ト」のマークが、備前焼の人間国宝の金重陶陽の掻き陶印です。何とも、幼稚な感じですが、
人間国宝のサインです。(笑)



こちらは、有田焼十三代柿右衛門の陶印ですが、サインのようですね。

ところで、同じ窯で作られながら、陶印が、あるものと、ないものがあるのに、お気づきの方もおられると
思います。

何故なのでしょうか?陶印のないものは、偽物だから?

実は、そうではないようです。

その疑問に答えてくれているのが、砥部焼き
大西陶芸のホームページです。

親子3人で、営まれている、小さな窯ですが、娘さん(と言っても作家です。)が、ホームページを楽しく編集
してくれています。

そして、その答えは、「
ひとことで言うと、一般商品と自作品との違いです。」ということです。

以下

『私に関してだと、特に展示会などで窯元名だけでなく白石久美という名前を兼ねて発表しているものには
必ずkumiというサインを作品に入れています。(”青い葡萄”シリーズなど)
それらとは別に”大西陶芸”の一般的な商品として作ったものなどには、個人のサインではなく、
砥部 大西”という印が押されているのです。
いくら私自身が絵付けをしたものであったり、私自身が開発した商品であっても、すべてにkumiとサインして
しまうと、大西陶芸の商品の大部分が、私の作品となってしまいますから。

それらを考えながら、自分の中で商品と作品を分けているのです。
ですから中には展示会で新商品としてサインをして発表したもので、売れ行きをみて、大西陶芸の一般商品
として流通させようと決まったものなどには、次の段階からサインなしとなってしまったりします。
それは絵付け作業にも反映されていて、一般商品になったものは私だけでなく、他のスタッフの手が
入ったりもします。』


と、明快に説明していただいています。

この娘さんは、結婚されて、白石久美さんという作家になられていますが、私は、お父さんの、大西光さんの
作品で、「素晴らしいなぁ」と思うものがあったので、ふらりと大西陶芸さんのホームページを訪れ、参考に
させていただいたというわけです。

ただ、備前焼や、信楽焼の焼き締めものでは、陶印は、素焼きの時点で書き込んでおかなければなりませんし、
作品の出来は、自然任せになってしまいますから、自分の気に入らないものは、作品にならないばかりか、
陶印を付けずに商品として、売ることは出来ないので、壊してしまうのでしょうね。



さて、この花瓶が、私が、惚れ込んだ大西光さんのものですが、ヤフーオークションで落札しました。近々、
砥部焼き祭りに出掛けてみようと思っておりますので、是非とも、大西陶芸を訪れたいと思っています。

ちなみに、この技法は、
釉象嵌(ゆうぞうがん)といって、彫刻した中に青磁の釉薬を埋めた技法だそうですが、
あまりに手間がかかるので、大西陶芸では、現在は作っていないそうです。

大西光さんの陶印は、下のようなもので、特徴がありますね。「光」を崩して、薄いグレーの釉薬?で、
書かれています。



用語解説 : 釉象嵌

生地は磁器。素焼きした磁肌に下地となる釉薬を掛け、文様の部分を彫刻刀で削りとる。

削り取った部分の周囲をゴム膜でコーティングし、そこに下地の釉薬とは違う色の釉薬を丹念に筆で入れる。

この釉薬が乾いた後、表面を滑らかにし、仕上げに半透明な釉薬を全体に掛け本焼きをする。

内藤 裕氏や、砥部焼き「緑風窯」の杉田緑風さんの作品のほとんどに使われている。

内藤 裕氏のプロフィール緑風窯ホームページ参照)

                                                  記 : 2009年3月14日

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