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エピソードと共に、その起源や、特徴を、ご紹介しています。意外な場所に、
意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

湖筆と熊野筆

書道で使われる毛筆は、主に、中国産と日本産です。

中国産の筆は、現在は、蘇州、上海、湖州、杭州等で生産されていますが、唐、宋時代は、安徽省の宣州で作られていた「宣筆(せんぴつ)」が、そして、明、清以降は、浙江省湖州市で作られている「湖筆(こひつ)」が、有名です。

日本では、豊橋筆・奈良筆・熊野筆・川尻筆・江戸筆などが有名ですが、その中でも、熊野筆(くまのふで)は、80%のシェアを持っています。

日本でも、現在は、原材料の「毛」は、ほとんどが、中国から(一部北アメリカから)の輸入ですので、その差は、製品にする際の、技量の問題になってきますね。

ただ、筆の価格をみると、日本でも、中国でも、何故こんなに違うの?と思われるくらいの差があります。奈良で作られている「奈良筆」を、YouTubeの「奈良伝統工芸ー毛筆」でみると、確かに、値段が高くなるのはわかりますが、一方で、100円ショップの筆が、どうしようもなく使えない筆か?といえば、結構使える筆なんですよね。(笑)

結局、使ってみて、自分に合う筆が、一番いいということになるのだと思われます。

というわけで、書道家でない私ですので、良し悪しはわかりませんが、勘と値段で買ってみた筆を取り上げて、まとめてみたいと思います。

尚、毛筆の歴史や、選び方については、「書道の紙と筆のはなし」にありますので、ご参照ください。

★ 湖筆 ★

中国、浙江省湖州市 にある、湖州千金湖笔有限公司製作の、湖筆(こひつ)2本組です。



  

1本は、羊毫(ようごう)で、長さ:26cm、穂先長:4.3cmで、もう1本は、紫毫(しごう)で、長さ:25.5cm、穂先長:3.5cmです。

羊毫とは、中国の江南地方に棲息する、「嘉蘭路」という山羊(やま ひつじ)の毛で、通常の山羊(やぎ)と区別するために、山羊毛(さんようもう)とも呼ばれます。 (YouTube「羊毛筆の山羊」参照)

 羊毛筆に使われる山羊

 使用される部分

紫毫とは、ウサギの毛で、濃い紫色をしたものことです。下の写真のうさぎの毛です。こちらも、YouTube「羊毛筆の山羊」にありますので、ご参照ください。



 使用する部分

湖州千金湖笔有限公司(中国制笔大师:杨松源)は、湖州でも、結構大きな工房のようで、ネットショップも、しっかりしたものとなっています。国際郵便(EMS)で海外にも送ってくれるようで、100円に届かないようなものから、何万円もするようなものを取り扱っています。(当該ホームページ及び、ネットショップ参照)

 生産工房  中国制笔大师:杨松源

湖筆(こひつ)は、中国浙江省の最北に位置し、太湖のほとりの湖州市で生産されている毛筆で、その極めて優良な品質は、古くから中国内外に知られ、良質な毛筆の代名詞となって います。

唐、宋時代は、筆生産の中心は、安徽省宣城であり、宣城の筆は「宣筆」と呼ばれ、文化人や書画家から珍重されましたが、元代(1279-1368)初期、宣州の筆職人は戦乱を逃れて、湖州に移り住みました。良質な水と、豊富な原料に恵まれ、すぐに湖州は宣州に変わって、最も良質な筆の産地として名を挙げることとなりました。

湖筆の種類は非常に多く、軟毫には、墨吸いが良い山羊等の柔らかい毛が使われ、硬毫は主にの尾などの毛が使われ、兼毫は、柔らかい軟毛と、剛い硬毛の2種類の原毛から作られます。軸部分には、伝統的に浙江西の文山に自生する鶏毛竹が使用されます。

★ 熊野筆 ★

広島県安芸郡熊野町玉信堂(ぎょくしんどう)作の、「かな條幅 中」という熊野筆です。







大きさは、長さ23.8cm 毛丈約3.7cm 毛直径約0.6cmで、毛は、純イタチ毛 が使用されています。

軸径が、6mmと少し細いので、力強い文字は書けませんが、かなを続けて書くのに適した筆だと思います。定価3500円という値札に引かれて、ヤフオク で安く落札して、手に入れました。(笑)

筆の名前が、「かな條幅」ということですから、全紙の半分の半切(はんせつ)に、かなを書くのに適した筆ということになるのだと思います。(「條幅(条幅)」とは、全紙を縦に半切し、掛物にしたもの。全紙をそのまま縦に使ったものが、「堂幅」。)

まぁ、私の場合には、半紙を脱出することはできないでしょうから、永久に使うチャンスがないかも?(笑)

 玉信堂展示室

熊野筆(くまのふで)は、広島県安芸郡熊野町で作られている筆で、18世紀末(江戸時代末期)ごろ、農閑期を利用して、大和国へ出稼ぎに出掛けた際に、帰りに奈良地方から筆や墨を仕入れ、それを売りさばいていたことがはじまりとされています。

約170年前になると、広島藩の工芸の推奨により発展し、明治に入っては、学校教育の中で筆が使われるようになり、生産量が大きく増加しました。

しかし、戦後、国粋主義的なイメージがあるということで、習字教育が廃止され、毛筆の生産量が落ち込みましたが、高度成長期に、学校での習字の復活もあり、昭和30年頃からは、画筆や化粧筆の生産も始まったこともあって発展し、今では、全国の80%のシェアを持つに至っています。

また、昭和50年に、国の伝統的工芸品に指定されています。(YuouTube「筆先から世界に伝わる職人技ー熊野筆 」参照)
                                                (記 : 2013年9月10日)

追記 :

2014年1月5日に、広島県安芸郡熊野町にある熊野筆(くまのふで)の発信施設である「筆の里工房」を訪れました。そして、その際に買った、泰盛堂作、細微羊毛熊野筆が、これです。



そして、この筆を使って書いてみたのが、こちらですが・・・・・愚筆なのは、筆のせいではなさそうです。(笑)



筆の里工房」につきましては、内部の様子等が、「熊野筆の里を訪問!」にありますので、ご参照ください。
                                            (追記 : 2014年5月6日)

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