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泰盛堂作・熊野筆の太筆「金剛」と、大変珍しい筆管(ひっかん)の中筆3本です。 大きさは、太筆が、長さ:30.5cm、穂長:9.3cm、穂径:2.7cm、2本目の中筆が、長さ:26cm、穂長:4.2cm、穂径:7mm、3本目の中筆が、長さ:26cm、穂長:3.8cm、穂径:7mm、4本目の中筆が、長さ:24.5cm、穂長:4.5cm、穂径:8mm程度です。 4本セットでヤフオクに出ていましたので、取りあえず、何も考えずにゲットしてみたのですが、調べてみると珍しいものではないか?と思うようになりました。 まず、穂先の材料 ですが、その特徴から、下のように、太筆が、天尾(あまお)、2本目の中筆が、足毛、3本目の中筆が、ムササビ、4本目の4本継ぎ携帯筆が、羊毛ではないか?と思います。 天尾(あまお)とは、馬の尻尾の毛で、太く、長くて剛毛です。大きい筆の強みに使用し、主として赤色、黒色、白色の毛があります。 足毛 (あしげ)は馬の足の部分から少量取れる、非常に弾力に富んでいます。馬の胴毛は柔らかいものですが、足毛は、赤毛(馬胴毛)の中でも天尾(馬尾脇毛)に匹敵する弾力があり、天尾より毛筋が細い力のある毛です。 ムササビは、ノブスマともいい、ムササビの毛を使用します。ムササビ毛は、柔毛ですが、毛先に味があり、弾力性に富んでいます。 羊毛は、山羊の毛で、丈が長く、毛先が細く柔軟でよく利き、まとまり、墨含みともに優れ、また柔らかいため摩擦による消耗が少ないので寿命が長く、筆の原料としては理想的な毛と言えます。「畑義幸・川尻筆」に詳しく解説してありますので、こちらをご参照ください。 太筆は、熊野筆であることがはっきりしていますが、残りの3本は、どこで作られたのか?不明です。 そして、特に、珍しいのが、銅製の筆管に七宝で装飾した筆で、和風的な模様の感じから、国内産のような気がします。 図柄が、ペアになっていますので、同じ作者のものだと思われます。筆管は、ほとんどが、竹製ですので、銅管に七宝で装飾したものは、大変珍しいと思います。調べてみても、「筆の美術館 」に、江戸時代の国産品くらいしか、ヒットしませんでした。もしかして、大珍品 ?(笑) また、4本目の筆もまた、結構、珍しい筆です。 。 このように、4本に取り外しが可能になっていて、携帯に便利なようになっています。日本製ではあまり見掛けないスタイルですので、中国産かもしれません。 中国では、下のセットのような、取り外して色々な用途に使うものもありますし、筆の銘に「湖笔」と入っていますので、多分、中国、浙江省湖州市で作られた湖筆だと思われます。こちらも、大珍品?(笑) ★ 筆の軸部分の素材 ★ 筆管(ひっかん)又は軸、筆柄(ふでづか)に使われている材料は、竹とプラスチックが主流です。特に竹は、豊富にあることもあって、今日に至っても、主流の座を渡していません。通常は、矢竹や、女竹ですが、斑竹軸には、高価なものもあります。 次いで、木材が使用され、多くは、漆塗又は、カシュー塗装のみですが、蒔絵を施したものもあります。 また、稀に、陶磁器で作ったものもありますが、実用的ではありませんので、観賞用ということでしょうね。 軸が、竹や、木材の場合、直接、穂先を取り付けることが出来ますが、軸に竹を使う場合には、その太さが限られていますので、ダルマと呼ばれる軸先を付けることがあります。 ダルマには、高級品では、象牙を使うことがありますが、一般的には、水牛、黒、ラクト(カゼイン樹脂)、合成樹脂などが、使われます。 ダルマの加工 尻骨(しりこつ)は、穂先と反対側の円筒内部を閉鎖する目的で、「骨(コツ)を付ける」といって、穂先にダルマを使っている場合には、同じ材料が、そうでない場合には、木製又は合成樹脂のものを付けます。そのあと、穴をあけて、掛け紐を通します。(糸つけと言います。) 結構、穂先の作り方を解説したホームページや、動画がありますが、筆管(軸)にスポットを当てたものが少ないように思いますが、YouTubeの、「伝統工芸豊橋筆、筆軸製造「鈴木木管製作所」」に、大変、わかりやすくまとめてありますので、ご参照ください。 ★ 穂先は、軸先にどうやってつけるの? ★ 穂先は、どうやって、軸とくっついているのだろう?と思ったことはありませんか?何となく、ダルマの中に秘密があるような・・・・・とか、疑ったりしていましたが、意外にもあっさりしていることを知りました。 かつては、巻筆(まきふで)といって、軸先を割って、穂先を埋め込む方法が主流でしたが、江戸時代以降は、現在のやり方が主流になっています。 軸先にのりをつけます。 穂先を入れます。 しっかり入ったか?確認 だた、これだけです。(笑) 簡単でしたね。私は、この辺に、抜けないための秘訣があるんだと思っていたのですが、びっくり・・・・・結構、この工程を見せていない動画が多いと思うのは、私だけかな?(笑) ということで、私の疑問は、あっさりと解けたのでした。 (記 : 2014年8月17日)
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