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土佐硯(土佐端渓硯)

蓋付きの土佐硯(とさすずり)(土佐端渓硯)です。















大きさは、長さ:135mm、幅:127mm、厚さ:27mmの蓋付き硯で、高知県幡多郡三原村で作られた土佐硯です。

裏面に貼ってある「土佐硯」のシールの電話番号に、市内局番がありませんので、昭和の終わりか、平成の初めに作られたものだと思います。

土佐硯は、中々、市場に出てこないこともあって、人気が集中して、高価に取引されることが多く、ようやくゲット出来ました。

★ 土佐硯とは? ★

広義の土佐硯(とさすずり)は、高知県幡多郡三原村、および四万十市(旧中村市)で、製作されている硯で、旧蒼竜硯(現中村硯)と、土佐硯土佐端渓硯)の2種類があります。

その歴史は、応仁の乱(室町時代1467年)に、関白一条教房公が京より戦乱をのがれ、一条家領のあった土佐国幡多荘、現在の土佐四万十市(旧中村市)に下向、土佐一条家を起こし、後に土佐の小京都と呼ばれる文化都市を築きました。文才があり能書家であった一条公は、この地で良質の硯石をみつけ、永く愛用したと文献に記されていますが、原石の場所についての記述はなく、その後、途絶えて、「幻の名硯 」となっていました。

戦後になって、土佐清水市荒谷で荒谷石(蒼竜石)、三原村で土佐端渓石 が発見され、硯の生産が再興されました。

蒼竜硯(そうりゅうけん)は、土佐清水市荒谷が、原石の採取地で、現在は、採石されていません。戦後、高橋玄石氏が発見し、昭和30年ころ大阪の井上研山氏らの努力で発掘され、「蒼竜硯」の名称を登録して世に広めました。

一方、土佐端渓硯(とさたんけいけん)は、幡多郡三原村源谷地区に原石があり、昭和41年、高知の書家、新谷健吉氏(故人)によって再発見されました。こちらの原石は、豊富で、金星銀星がみられ蒼黒色系の柔らかい肌ざわりが特徴です。

どちらも、昭和56年頃までは、「土佐硯 」という商標下で販売されていましたが、その後、「土佐硯 」は、三原村の土佐硯(土佐端渓硯)のみを販売することになり、蒼竜硯を作っていた土佐一水氏は、「土佐硯」から「中村硯」の商標に変更し、現在に至っています。

 当初の蒼竜硯

 現在の商標

 土佐端渓硯


1984年に出版された、「和硯のすすめ」石川二男著という本があります。その本の中で、和硯のランキングがされています。筆者の独断と偏見に基づいたものだと思いますので、それほど気にすることはないのだと思いますが、専門家としての基準でランキングされたものと思いますので、参考にはなると思います。

そのランキングが、下記の通りです。

1位 蒼龍石旧坑 2位 若田石 3位 小股白絲石 4位 出合石 5位 小久慈石 6位 雨畑真石 7位 清滝石 8位龍渓石 9位 虎斑石 10位 金鳳石 11位 鳳足石 12位 紅渓石 13位 紫雲石 14位 土佐端渓石 15位 松渓石 16位 神庭石 17位 岩王子石 18位 諸鹿石 19位 久慈黒石 20位 雲渓石 21位 赤間石(旧石) 22位 赤間紫金石 23位 雄勝御留山石 24位 浪板玄昌石 25位 那智黒石 26位 怒奈川石

このランキングでは、蒼竜硯が、No1に指名されています。数も少ないこともあるのでしょうが、名硯として、認識されているということだと思われます。

★ 土佐端渓硯 ★

土佐硯土佐端渓硯)は、高知県幡多郡三原村(人口、わずか1750人)で作られている硯で、その特徴は、鋒鋩が密立して、磨墨に優れ、溌墨も佳良で、 墨の下り具合は、程よくかつ速やかで細かく、麗しい墨色が得られることにあります。

石質は、約6千年前の中世代白亜紀須崎層の黒色粘板岩で、青黒く、特殊な銅粉を含んでいて金星銀星が見られます。

昭和41年、村内の山中で原石の黒色粘板岩が見つかり、数人が硯を作り始めましたが、石質の良さが広まるにつれて規模が拡大し、 昭和57年には生産者15人により「三原硯石加工生産組合」が発足しています。

しかしながら、ここでも後継者不足は深刻で、現在、加工に携わる職人は5名となり、年間の製作量は、約1000面となっています。
                                               (記 : 2014年11月9日)

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