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松彫文・端渓硯

松彫文・端渓硯(たんけいけん)(麻子坑(ましこう))です。











大きさは、幅:10cm、長さ:16cm、厚さ:2cmほどで、松の彫り方の特徴から、端渓硯(麻子坑)の松彫文だと思います。

石質は、輝緑凝灰石、色目は、やや紫がかった薄茶色で、30年以上前の手掘りをしていた頃のものと思われますが、そんなに古いものでもないようですので、1960〜70年代のもので、日本への輸出用ではないか?と思われます。

墨堂部分を太陽光に当てて見ると、小さく光る無数の金属のようなものが見えます。これが、鋒鋩となって、発墨を良くているのではないか?と思われます。

裏面を見ると、斑紋のような模様があり、やや茶色の部分と、薄い灰色の部分で構成されています。



色を比較するために、同じ輝緑凝灰石の左から、赤間硯、端渓硯、紅渓石硯を並べてみました。この端渓硯が、他の2つと比べて、赤色が薄いのがわかると思います。



★ 端渓硯とは ★

端渓硯(たんけいけん)とは、中国広東省広州の西方100qほどのところにそびえる斧柯山(ふかざん)から西江へ注ぐ渓流地域の端渓という地で掘り出される原石を使って作った硯です。

端渓は、唐の時代から極めて質の良い硯の原石を産出することで名高く、宋代になって、量産されるようになって、一躍有名になりました。

斧柯山には、採掘坑が点在しており、現在では山頂付近でも良い石が取れますが、かつては標高により、「上厳」、「中厳」、「下厳」に分類され、低いところで採れたものほど質が高いとされていました。

そのため、明時代の末には、斧柯山の地下に採掘坑を掘り、さらに良質の石を採るようになりました、これが「水厳(すいがん)」と言われていて、乾季に坑道から水を汲み上げて採掘した苦労の結晶の石材です。

水厳」の青紫色を帯びた石肌 は、子供の肌のように滑らかでしっとりとした潤いがあり、さらに鋒鋩と呼ばれる細かい凹凸が均一に分布し、極めて発墨が良いのが特徴です。

端渓の石は、細かい彫刻にも向き、様々な意匠の彫刻を施した硯が多く見られます。端渓硯の価値は、眼の有無、彫刻の精巧さ、色合い、模様などによるもので、いずれも骨董的な価値があります。

端渓硯の始まりは、今から千四百年ほど前、唐の武徳年間(西暦618年〜626年)にさかのぼると伝えられています。

一口に端渓硯といっても、採石される洞坑が、何時の時代でも七十坑ほどもあり、それぞれ石の質が異なるので、実際はピンからキリまであるのです。

そのような洞坑のうち、最も優れているのが「老坑水岩」で、単に「老坑」とか「水岩」などとも呼ばれます。 採石が始められた時期については、諸説紛々としておりますが、地元では明の万暦年間(西暦1573〜1620)からだと伝承されています。

端渓硯は、最高級の硯として、日本でも古くから知られてきましたが、実際に、日本人が手にすることが出来るようになったのは、清朝末期の頃からです。


(画像出典:華夏名硯網)

★ 端渓硯の斑紋 ★

端渓硯の一番の魅力は、その多彩な石紋にあります。例えば氷の割れ目のような「冰紋」、小さな点が集まった「青花」、草露のような「蕉葉白」、そして特に人気が高いのが、鳥の眼のような模様の「」です。

この模様は、石蓮虫の化石といわれてきましたが、近年、石眼は一種の含鉄質結核体であることが実証されました。








                         (画像出典:なんでも鑑定団お宝情報局)

★ 端渓硯のランク ★

端渓硯は、採掘された洞坑によって、その貴重性や、品質から、その価値に大きな差があります。上記にもありますが、同じ坑道からの硯石であっても、品質は異なりますが、一般的に、次のようなランキングになっています。

坑名

 特徴 
老坑 淡紫色  最高級の硯材。ここから産出する硯材のみを「水巌」と称する。
1900年頃閉鎖され、1972年に再開調査するも、断念して、現在は、閉鎖中。 
新老坑  赤紫色  1980年〜1998年まで、老坑へ新しい坑道を作って、採掘されたもので、かつての老坑水巌硯石の残余のものは、中国国外への持ち出しを禁じ、異なる別脈の硯石を発見・採取したものを、「新老坑」として、国内外に販売した。現在は、閉鎖中。
坑仔巌  紅紫色  老坑に次ぐ評価の硯。採掘場所が近いため、老坑端渓硯に酷似したものが多く見られます。 
麻仔坑  深紫色  かつては老坑に匹敵するという評価もされた。 
多くの坑が開かれていますので、市場にも沢山出荷されています。
宋坑  茶色  宋代に開発開始。石質は比較的に固く、比較的安価。 
梅花坑  茶色  色合いに趣はあるが硯材としては下級。”梅花”の由来が、数多く出た石眼を梅花と形容してそう呼ばれるように、石眼が多く見られる為、見た目は華やか。 
緑石坑  緑色  端渓緑石、いわゆる緑端を産出する。現代物はあまり良質ではない。 

★ 中国の硯の産地 ★

唐硯(中国産)のなかでは、端渓硯(たんけいけん)、歙州硯(きゅうじゅうけん)、洮河緑石硯  (とうがろくせきけん)、澄泥硯(ちょうでいけん)が有名で、中国の良硯の四宝といわれています。他にも松花江緑石硯紅糸石硯羅紋硯などが存在し、品質、価格とも様々だが上級品は墨の降り・発墨に優れています。

その中でも、特に有名な端渓硯と、歙州硯 の違いを上げておきます。


硯 

石質  色   特徴
端渓硯  輝緑凝灰石  赤紫  石色は総じて紫がかった薄茶色のものが多いですが、 緑端渓、黒端渓もあります。
柔らかすぎず硬すぎず、鋒鋩が強く、発墨も良好です。 
細かい彫刻にも向き、様々な意匠の彫刻を施した硯が多く見られます。
歙州硯  粘板石  比重は重く石質は硬く、たたくと金属的な高い音がする。
細かい彫刻には向かないが、磨り味は、鋭く豪快に実によくおり、墨色も真っ黒になる。


★ 偽端渓にご注意! ★

代表的な硯として珍重されてきた端溪硯ですが、その中でも最上質とされる老坑、坑仔巌、麻子坑の3坑に関しては、資源保護の名目で数年前から採石が中止 されてしまいました。

これにより、市場に流通する量も極端に少なくなり、現在では”沙浦”という地域から採れる硯石が代用にあてられ、新坑仔巌新麻子坑といった名称で出回り始めています。

この沙浦の硯石は、石紋など外見はこれらに似ているものの、鋒鋩などは格段に劣る安価な石材です。ただ、同じ地方で採れた石ですので、広い意味では、端渓硯ということになります。

一方で、中には、全く別の硯を端渓硯として売っている輩もおり、ありふれたそこらの粘板岩を使ったものから、樹脂製や石粉を練り込んだ練り物まで、色々なニセ端渓硯が売られています。

特に、@ 硯にほどこされた彫り物が豪華ですごい、A 大型である、見栄えがする、B いかにも非実用的な造形であるものには、注意が必要のようです。

那智黒石硯」でお話しましたが、那智黒の場合には、地の石粉を樹脂と混ぜて作った成形品が、生産量の5割になっています。ご注意を!
                                               (記 : 2013年11月13日)

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