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エピソードと共に、その起源や、特徴を、ご紹介しています。意外な場所に、
意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

和墨いろいろ

★ 神童 ★

春光園
(日本製墨)製の、戦前のものと思われる古墨、「神童」です。









大きさは、長さ:83mm、幅:23mm、厚さ:10mmほどで、1.5丁型の古墨です。

定価金弐拾銭」とありますので、戦前の昭和10年頃のものではないか?と思われます。当時の物価を計算すると、今のお金で、360円〜500円くらいになりますので、名前の「神童」からも、学童用の墨だったのかもしれませんね。

春光園」は、日本製墨の製墨業の屋号で、奈良の製墨業が、合体していた「大日本製墨」時代にも、屋号は、統一されていなかったようですので、解散した昭和8年の前か、後かは不明です。

定価が刻印されている墨は、大変珍しいと思ったので、ゲットしました。

昭和40年代後半からは、日本の墨も、品質が良くなり、寿命が長くなったと言われていますが、それ以前の和墨には、古いものがあまりないこともあって、珍しいものだと思います。

★ 飲中八仙 ★

こちらは、ちょっと古そうな、奈良にある日本製墨製造の「飲中八仙」です。















大きさは、幅:2.6cm 長さ:10.9cm 厚さ:1.3cm程で、重さが45gですので、3丁型ものということになります。春光園製」とありますが、「春光園」は、日本製墨の製墨業での屋号だそうです。

型模様が、4面に渡って、見事に表現されていて、明時代の名墨匠、程君房(ていくんぼう)の「飲中八仙 」を題材にしたもののようです。

菜種油煙 の中でも最も粒子の細かな煤と、よく枯らせた特に上質な膠を原料として造 られた最高級油煙墨だそうですので、違いを確かめながら、使ってみたいと思っています。

最近は、このような型模様のある墨が減ってきているので、大切に保管しておこうと思っています。

日本製墨さんは、明治中期、坂倉文五郎が創業し、大正9年には、江戸時代創業の老舗宮武春松園 ・ 大森玉翠堂 ・ 中林篤老園 ・ 上田令光堂 ・ 符坂玄林堂 ・ 符坂玄勝堂 ・ 祐岡栄松園 ・(松煙業) 宮竹佐兵衛が合併し、「大日本製墨」となりましたが、昭和8年に解散、その後は、日本製墨合資会社として、事業を継続し、平成24年、日本製墨書遊となっています。

箱には、値段が「\1,500」となっていて、、消費税が導入される前のものになりますので、少なくとも、1989年以前のものになり、25年以上前のものになりますね。当時の物価を換算すると、現代では、3000円くらいの墨になりますので、高級品であることが伺えます。

                                               (記 : 2014年6月20日)

★ 興福 ★

恐らく、興福寺の特注品の「興福墨」です。







大きさは、長さ:78mm、幅:18mm、厚さ:9mm、重さ:15gほどの、一丁型の墨で、桐箱付きです。側面には、「興福寺秘蔵」の文字があります。

日本の墨の製造は、南都油煙墨と呼ばれた、いわゆる奈良墨が、大同元年(806年)、遣唐使として唐へ行った空海が、筆とともにその製法を持ち帰り、興福寺二諦坊で造ったのが始まりといわれています。

しかし、鎌倉時代までは、製造される墨のほとんどは、松脂を燃やして造る「松煙墨」で、室町時代辺りから、油煙墨が広まり、墨の品質が飛躍的に向上したようです。

貝原好古の「倭漢事始」など江戸時代の複数の書物には、中世、奈良興福寺の二諦坊で屋根にたまった、灯明の煤から墨をつくったと記されており、油煙墨のはじまりに、興福寺が大きな役割を果たしていたことがわかります。

こういった経緯から、興福寺で、未だに墨が作られているのかは、わかりませんが、「興福寺秘蔵」ということですので、興福寺伝来の手法に基づいて作らせた墨を、檀家の人や、関係者に配っているのかもしれませんね。
                                             (追記 : 2014年8月15日)

★ 松鶴斎寿 ★

玄勝堂製造、きくや本舗販売の松鶴斉寿(3丁型)です。





大きさは、長さ:102mm、幅:28mm、厚さ:13mm、重さ:43gで、桐箱付きです。

定価が、まだ、2000円になっていますので、消費税が5%になる前のものと思いますので、1997年以前のものと思われます。

松鶴斉寿」は、特殊採煙した上質の油煙に力のある膠(にかわ)を「時間だき」した油煙墨で、実にのびがよく、濃淡がはっきりした特徴があり、墨色は、淡墨では茶系、濃墨では赤みを帯びた黒色だそうです。

この墨は、現在でも、玄勝堂で作られており、「漢字清書用」ということです。
                                            (追記 : 2014年9月10日)
★ 心華 ★

精華堂製 「心華」 です。





大きさは、幅:36mm、厚さ:15mm、長さ:135mm、重さ:79gで、5丁型の墨ということになります。

精華堂は、東京都台東区根岸にあった書道具店(2012年倒産)ですので、自社製として、奈良の工房に製造を委託したものだと思います。

今となっては、手に入れることの出来ない貴重な墨となっています。

★ 青々墨 ★

江戸時代より奈良墨を作り続けている宮内庁御用達の松壽堂製の青墨、「青々墨」です。





大きさは、幅:21mm、厚さ:10mm、長さ:75mm、重さ:16gで、箱の大きさから、判断して、1cm程度使用済だと思いますので、元々は、1.5丁型だったようです。

当時の価格で、3500円ですから、高級墨ということになると思います。

こちらも、消費税が5%になる前の1997年以前のものと思われます。約4分の1ほどが使用済みですが、青墨は、珍しいので、購入してみました。

 松壽堂

★ 青墨 ★

奈良・二孝閣製の、「青墨」です。







大きさは、横幅:2.3cm、長さ:9cm、厚さ:0.9cm、重さ:23gで、1.5丁型にサイズになります。

手造り品で、良く締まっており、良品だと思いますが、普段使いに、使用する予定です。

★ 青墨とは ★

青墨(せいぼく)とは、松煙墨(しょうえんぼく)の中で、墨色が青みがかったもののことです。松煙は、松の木片を燃焼させて煤を採取しますが、燃焼温度にむらがあり、粒子の大きさが均一でないことから、墨色が、重厚な黒味から青灰色に至るまで幅があります。その中で、煤自体が青く発色するものを、青墨と呼んでいます。

一方で、油煙墨(ゆえんぼく)は、菜種油、ごま油、大豆油などを原料にして煤を取りますが、煤の粒子は細かく均一で、黒色に光沢と深味があり、薄墨では、茶色っぽくなることから、茶墨とも言います。

最終更新日 : 2015年11月25日

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