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古銅製の水滴2点

古銅製鶏型水滴(すいてき)です。(古銅はこちらを参照)









大きさは、長さ: 約8cm、幅: 約4cm、高さ: 約6.5cm、重量:約201gで、鶏をデザインした水滴です。

素性は、はっきりとはしませんが、しっかりとした作品にも関わらす、刻印が入っていませんので、明治期高岡銅器ではないか?と思っています。

先に、下の龍紋様の薄いタイプの水滴を手に入れたので、少し、凝ったものが欲しくて、この水滴を選びました。こちらは、観賞用、下のものは、普段使いにしたいと思っています。

こちらは、古銅製龍紋様水滴(すいてき)です。

古銅の水滴







大きさは、長さ:約5.2センチ、幅:約4センチ、高さ:約1.2センチで、龍の図が描かれています。

素性を、色々と調べましたが、「龍雲堂造」で、同じデザインのものを、幾つか見掛けましたので、恐らく、京都で作られたもので、明治〜大正時代のものか?と思います。

先日手に入れた硯箱型硯に似合うように、平べったいものが合うかな?と思い、購入しました。

水滴(すいてき)とは、墨をするために、水を蓄え、また、硯に注ぐ容器です。

形態や大小によって、硯滴(けんてき)、水注、水盅(すいちゆう)、水中丞(すいちゆうじよう)、水盂(すいう)、蟾蜍(せんじよ)などとも称し、日本では、古くは、須美須里賀米(すみすりがめ)(《和名抄》)、硯瓶(すずりがめ)(《栄華物語》)などともいいました。

狭義の水滴は、2ヵ所の小孔(風穴と水穴)をあけ、少量のしずくを落とす工夫がなされたものをいいます。

水滴として一括して呼ぶものは、大きく分けて2種類になり、水注は、注口と把手をもった水指形をいい、水盂(すいう)、水丞(すいじょう)などは、鉢形や壺形のものをいいます。

材質で最も多いのが、陶磁器で作られたもので、次に、銅や真鍮を使った金属製のものが多く、稀に、ガラス製や、漆器製もあります。

水注(すいちゅう)と呼ばれている水指形の水滴の幾つかを紹介します。


                     白銅製の水滴


                      高岡銅器の水滴


                    水鳥型銅製水滴


                   金城次郎作 壺屋焼の水滴


           8代井樋正弘作 白石焼の水滴(管理人所蔵品

水注タイプの水滴には、上記の水鳥型のように、動物をあしらった面白い意匠の作品も多くあります。そのうちの幾つかを、ご紹介します。


                       麒麟?型水滴


                        鯉型水滴


                    かえる型 水滴

まだまだ、色々なもののものがあり、将棋盤や、囲碁盤、宝船、竹、柿、等々、何でもござれという感じです。また、超ミニ鉄瓶を、水滴にしたものもあります。

に、水盂(すいう)、水丞(すいじょう)は、胴がふくらみ、口がやや狭くすぼまっているものを指し、(さじ)で、水を汲んで、硯に水を注ぎます。狭義では、水盂と水丞は、どちらも同じ意味で使っているようです。ちなみに「盂」とは、「鉢」の意味です。


                   白銅製の水盂


                 江戸ガラス製の型打ち菊花形 水盂

また、水滴は、硯箱に組み入れられているものもあり、硯箱を作る際に、水滴に合うように作られているものも多くあります。





これらの硯箱は、硯箱自体が、工芸品としての価値の高いものですが、水滴がその一部分となっています。

尚、日本における金属製の水滴は、銅器では、富山県の高岡銅器が、90%以上のシェアを誇り、かつては、京都(龍文堂等)でも作られていました。鉄瓶スタイルのものは、岩手県の南部鉄瓶が多く、山形県などでも作られています。

これは、私が、10年ほど前に、マレーシアの首都のクアラルンプールで買ったものです。日本の写経セットと同じ形態を取っていますので、多分、これも、写経セットなんだと思います。写経に必要な道具がすべて入っています。



日本のものとは、中身が少し違いますが、硯、筆2本、筆立て、水盂(匙付き)、肉池(朱印入り)、墨、印章がセットになっています。携帯用のもので、長さ:24cm、幅:14cm、高さ:3.5cmほどの箱に入っています。

ここで、注目するのは、水滴で、水注型のものではなくて、水盂が入っていることです。日本のセットには、ほとんどが、水注型が入っていますので、中国では、水盂が、一般的なのかな?と思いました。

水滴は、どれも、とても小さな工芸品ですが、小さいが故に、作り手の想像力が発揮されて、色々なものの作品が出てきているのだと思います。

水滴は、小さくても、書道には、なくてはならないものです。小さなものですが、1つの小さな文化を作っていますね。

★ 高岡銅器とは ★

高岡銅器(たかおかどうき)とは、富山県高岡市で作られている銅器の総称で、日本の銅器の95%を生産する伝統工芸品です。

高岡銅器の起源は、1609年、加賀藩主の前田利長が高岡城へ入城し、高岡の町を開いた際、町の繁栄を図るために、1611年(慶長16年)に礪波郡西部金屋村(現・高岡市戸出西金屋)から、金森弥右衛門ほか7人の鋳造師を、現在の高岡市金屋町に呼び寄せたことに始まりますが、銅器の生産が始まったのは、幕末の天保・弘化の頃とされています。

明治時代になると、廃刀令により、職を失った刀職人(御細工人)が銅器産業に参入し、日用品から美術工芸品へと変化しています。

現在は、高岡市戸出に高岡銅器団地が建設され、多くの銅器メーカーが、団地に移転しています。

高岡銅器製作の一連の工程は、明治以降、分業化が進み、一貫して作るメーカーがなかったことが、刻印がない原因なのでは?と考えています。

★ 古銅とは 

古銅(こどう)とは、本来は、古代の銅器、または、それを写した宋元代の銅器のことですが、一般的には、古代の製法に近い、粗製黄銅で作られた黄銅製品です。表面を漆などで、着色したものもあります。

黄銅とは、銅と亜鉛の合金で、ブラス、真鍮(しんちゅう)とも、言われており、5円玉に黄銅が使用されています。

白銅は、銅を主体としニッケルを10%から30%含む合金 で、銀に似た輝きを放つものです。100円玉に白銅が使われています。
                                                (記 : 2012年12月14日)

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