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小川広山作・天草広山焼の茶碗

小川広山作、天草広山焼(あまくさ・こうざんやき)の、灰釉茶碗です。













大きさは、径:13cm、高さ:7.2cm、高台径:5.8cmほどで、共箱付きです。

ネットで調べた範囲では、広山焼の情報が少なくて、詳しくは、わかりませんが、天草陶磁器の窯元群の中の、広山焼だと思います。

経済産業省の伝統的工芸品に指定されている天草陶磁器には、天草陶石を使った、磁器生産をしている窯元の他に、水の平焼丸尾焼高浜焼等の、陶器を生産している窯元も含んでいますが、いずれも、衰退気味になっています。

近年、日本の多くの窯元が、後継者不足によって、廃窯になっています。今のうちにと思って、一度、天草陶磁器の窯元を巡る旅をしてみたいと思っています。

広山焼ですが、広山焼・熊本窯というのが、熊本市西区にありますので、もしかすると、広山焼の窯元の1つが、天草から、熊本市へ移転されているのかもしれません。

広山焼に関する情報が少ないので、どなたか、ご存知の方がございましたら、「メールでのお問い合わせ」から、ご教示いただけると幸いです。

                                               (記 : 2016年8月15日)
追記 :

広山焼について、下記のような解説を、メールでいただきました。送り先の方の詳細は、記させていなかったのですが、窯元に関係される/された方だと思われます。

大変、詳しく解説していただいていますので、ご参照ください。

『 広山焼について。

 

開窯は幕末期で、初代の小川富蔵が天草の広瀬で甕や壺を焼き始めたのが始まりです。

この時点では「広山焼」という名称は無く、単に「広瀬甕屋」と呼ばれていました。

 

4代目の小川菊太郎の時代から広瀬甕屋を「小川製陶所」と呼ぶようになり、後に「南九州窯業株式会社」という土管・タコ壺などの大量生産を生業とする大きな工場へ変貌して行きました。

 

5代目の富彦の時代から本格的に生業の傍ら鑑賞陶器の製造も行うようになり、多くの旅職人が天草を訪れ、様々な鑑賞陶器を制作するようになりました。

 

旅の職人たちが「天草の広瀬の陶山」にちなんで、この地で焼いた焼物に「天広山」の銘を入れた伝世品が残っており、5代目富彦がこれを「広山焼」と名付け、自らを広山初代としたのが大正11年の話です。

 

昭和33年に広山焼の2代目を継いだのが富彦の甥の小川哲男で、富彦は翌年の34年に亡くなっています。

哲男はその後、熊本市に窯を移し「廣山窯」と名称を変え、現在は佐賀の「北山窯」で作陶中です。

「李朝粉引」の第一人者で「小川哲男」で検索すると色々出てくると思います。

 

広山焼の本来の姿は天草で最も古い「楠浦焼」の写しであったと言われていていますが、富彦の時代から多種多様の陶磁器を制作しており、哲男の作も含め、広山焼とはこういう焼物だという明確さが無く、それが逆に面白味でもあります。

伝統窯ではないので、「窯有りき」ではなく、「陶工(作品)有りき」というスタンスだったのでしょう。

 

初代、2代とも天草の土産物を作陶していたので、酒器や茶器などの小物系は多く残っていますが、

花器など比較的大型の作品(特に富彦の作品)は県内を探しても殆ど出てこないです。

 

写真の茶碗は李朝系に傾倒する前の哲男の天草時代の作だと思います。 


私の茶碗の由来も、2代哲男氏の、天草時代のものの可能性が高いことがわかり、大変、うれしく思っております。

★ 作家プロフィール ★

 小川 哲男

1955年 有田工業高校を卒業
      京都の森の嘉光市に師事
      以降日展をはじめ多数の賞を受賞
1969年  熊本市島崎に廣山窯を設ける
1977年  作陶20年展を岩田屋、伊勢丹にて開催
1984年  佐賀県佐賀市富士町下合瀬に、現在の北山陶窯をもうける
      博多大丸にて北山陶窯開窯記念展を開催
      以後、全国のデパートを中心に個展開催
2007年 GALLERY一番館にて個展開催

最終更新日 : 2016年11月5日

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