六代小林鳳山作・飛騨高山の山田焼(やまだやき)、ぐい呑みです。
飛騨・高山の窯元のお品を取り扱っているネットショップにお願いして、2010年10月の窯入れに入れてもらって、焼いてもらったものです。小林鳳山さんの十八番の釉薬で、典型的な山田焼です。
大きさは、径:65mm、高さ:50mm程で、共箱、栞付きです。共箱は、特別にお願いして、付けていただきました。
山田焼は、民陶を継続していますので、お値段も安くて、びっくりです。小鹿田焼にも、所謂、作家物というのがなくて、民陶として、安価な焼き物を提供してくれますが、山田焼も、安価で、飽きの来ないものを提供してくれるので、有難いですね。
ぐい呑みの他に、山田焼の定番作品の薬味入れ(800円)も、一緒に送っていただきました。
山田焼(やまだやき)は、岐阜県高山市山田町で焼かれる陶器です。
渋草焼、小糸焼と共に現存する焼き物ですが、前者が藩主や風流人に好まれたのに対し、山田焼は、民窯として、農民、町人のために焼かれた生活雑器です。
江戸時代の明和年間(1764〜1771)に、稲垣藤四郎
によって、開窯されたといわれており、一度も火を絶やすことなく、今日まで続いています。
また、材料の粘土は、地元の水田の土を用い、これと決まった釉薬があるわけではありませんが、中心となっているのは、木を燃やしてできた木灰から精製した自家製の灰釉
です。
茶系の色と、どっしりとした質感が特徴で、素朴のうちに優美な雅趣をもち、きどらない陶師の指あとが陶肌に溢れていて、どの家庭にもなじみやすい焼物です。
典型的な茶碗
全盛期の明治末期から大正期には、9軒の窯元がありましたが、昭和に入って、瀬戸焼が、山奥まで運ばれるようになり、山田焼の窯元は、次々に廃窯し、現在は、小林陶舎(小林鳳山窯)の一軒のみが、民芸調の陶器を焼いており、決して飾らない、素朴ながら味わいの深い意匠に人気があります。
小林陶舎では、形もずっと昔のままのものを変えておらず、代表的な器の「薬味入れ」(上記写真参照)などは、地元の古いものを展示している高山市郷土館にあるものと全く同じ形をしています。半分農業を手がけながら、ご家族だけで製造していらしゃいます。
六代小林鳳山(庄一)さん 後継ぎの小林正美さん
飛騨高山には江戸時代から続く、それぞれ特色を持つ、3つの焼き物、4軒の伝統的な窯元があり、山田焼の他に、小糸焼と渋草焼があります。
小糸焼については、「長倉三朗作・小糸焼の水指」を、渋草焼については、「渋草焼の六角形蓋置」をご参照ください。
(記 : 2010年10月19日) |