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池上栄一作・小杉焼の鶉紋花器

池上栄一作・小杉焼(こすぎやき)の鶉紋瓢箪型花器(うずらもん ひょうたんがた かき)です。

小杉焼

 







鶉紋(うずらもん)のとても美しい瓢箪型の花入れで、池上栄一さんの傑作の1つだと思います。大きさは、高さ25.3cm、径12cmで、共箱、共布、栞付きです。

小杉焼と言えば、「小杉青磁」と「鴨徳利」が有名ですが、小杉焼を復興させた池上さんは、伝統に、現代感覚を入れた作品を多く製作されており、瓢箪型の花器は、十八番ですが、こういった釉薬にも挑戦されているんですね。

こちらは、池上栄一作・小杉焼(こすぎやき)の鉄砂茶碗です。









茶碗にしては、小振りの径7cm、高さ5cmほどのもので、ぐい呑みと言ってもいいのでは?という大きさですが、共箱に茶碗と書いてありますので、茶碗ですね。(笑)

共箱、共布、栞付きで、鉄砂釉(てっさゆう)が使われています。この釉薬は、酸化鉄を多く含み 黒褐色に発色しますが、鉄の割合によって、黒、赤味、青味の色を発色します。この茶碗は、赤味がかった発色になっています。

小杉焼(こすぎやき)は、富山県小杉町(現射水市)にて焼かれる陶器です。文化13(1816)年頃に地元の陶工、高畑与左衛門(1838年没)が開窯しました。与左衛門は、相馬を始め、瀬戸、美濃、京都など様々な窯元を訪ねては研鑽を重ねたといわれた人物で、郷里の三輪山に戻ってからは、茶器、酒器、食器、祭器などあらゆる生活雑器を焼きました。中でも知られるのが銅釉、鉄釉薬を用いた徳利で、特に飴釉で線描を施した、(ひさご)型徳利鴨徳利が有名でした。また、青磁も多く焼かれ、その質の良さから「小杉青磁」と呼ばれ、高く評価されました。 

   小杉焼  
            銅釉と飴釉                         銅青磁釉

その後、文久2年に、コレラにより、娘、次男、3代を継ぐべき長男、そして、本人の2代が亡くなっています。3代与右衛門は、わずか25歳で、逝去し、親族から、4代陶山三十朗に継承されましたが、4代陶山三十郎が、明治41年に亡くなるとともに廃窯しました。

昭和には、片口窯と、横堀窯で、2回再興が試みられましたが、戦乱の世の所為もあり、いずれも短命に終わっっています。

その後、昭和45年に、池上栄一が、小杉町手崎に築窯、小杉焼再興を宣言し、小杉焼の伝統に、現代感覚を加味し、花器、茶器、置物、壁面装飾など芸域は広く、活躍されています。また、奥さんの芳子さんと、娘さんの美栄子さんも、作家活動をしています。

  
          栄一窯                             展示室

小杉焼の釉薬は、銅青磁釉と飴釉による色合いが特徴です。特に「小杉青磁」と呼ばれる緑釉の一種は、淡い緑色の発色をしており、緑釉の代表である織部釉とは一味違う落ち着いた色合いを呈しています。緑釉を施してロウによる窓抜の技法を施した瓢形の徳利などに、この釉が多く見られます。

★ 作家プロフィール 

池上栄一 (いけがみ えいいち)

昭和6年(1931年) 石川県金沢市に生まれる。

昭和28年 金沢美術工芸大学陶磁科を卒業。

富山県立高岡工芸高校に教員として勤めながら、光風会、日府展、新綜工芸展等に出品、受賞を重ねる。

平成13年 富山県功労表彰

亜細亜美術交友会 理事長               
                                             (記 : 2011年12月18日)

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