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渡辺昭山(わたなべ しょうざん)作、八戸焼(はちのへやき)の湯呑みです。 印「昭山」 大きさは、径:7cm、高さ:9.5cmほどで、共箱(箱書き無し)、栞付きです。 八戸焼特有の緑釉の刷毛目の作品で、「鴎盟」とあります。鴎盟(おうめい)とは、「《カモメと友達になる盟(ちかい)をする意から》、俗世間を離れた風流な交わり。隠居して風月を楽しむこと。 」ということですが、八戸市には、八戸市鴎盟大学という、満60歳以上の高齢者の生涯学習を推進する大学がありますので、関わりがあるかもしれませんね。 未使用で、状態は良く、栞に、受賞歴が書かれていますので、時代は、1990年代〜お亡くなりになる2000年の間の作品かな?という気がします。 八戸焼(はちのへやき)は、江戸末期(幕末期)まで、青森県八戸市内の蟹沢山中で、庶民のための焼き物が焼かれていた民窯です。 窯場は、八戸市内の蟹沢の山中に、登り窯と平(穴)窯があり、「八戸焼」とか、「蟹沢焼」と呼ばれていましたが、創始年代も、創始者も不明で、文献も残っておらず、時代と共に、その存在も忘れられ、昭和に入ると、「幻の焼き物」と言われていました。 現在の八戸焼は、昭和50年(1975)、佐渡の無名異焼窯元の国三窯の長男であった、初代渡辺昭山氏が復興を志して、奥様の実家のあった八戸に居を定めて窯を開き、古八戸焼の作品や陶片を参考にして、八戸焼の復興に尽力しました。その結果、1990年代に入って、ようやく八戸焼らしい作品が焼けるようになって、八戸焼は復興しました。(無名異焼窯元・国三窯については、「無名異焼の湯呑」参照) 現在は、初代昭山さんが、2000年に他界された後、2代目、渡辺真樹(わたなべ まさき)さん が、その伝統を継承しており、青森県の伝統工芸品に指定されています。 八戸焼の特徴は、八戸市内の松館の粘土を基本に用いて、青森の大自然に育まれたブナの色の素地に、深い緑色の釉薬が、掻き落としで施されているのが特徴で、民窯らしく、質朴な感じがするものが多いようです。 右の湯飲みは、私の湯飲みよりも、深い緑釉がきれいです。八戸焼の代表的なものだと思います。(同じく、初代昭山作) また、2代目は、下の作品のような新作にも挑戦されて、伝統を継承しつつ、新しいものの追求をされているようです。 2代目真樹さんの新作 ★ 作家 プロフィール ★ 初代 渡辺 昭山 (わたなべ しょうざん) 1931年、生まれ。 新潟県佐渡郡金井町「無名異焼・国三窯」にて父国三に師事。 昭和50年に八戸にて「八戸焼」として開窯。 2000年没。 (記 : 2012年2月9日)
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