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八幡焼の灰釉井戸茶碗

秦良次作・八幡焼(はちまんやき)の、灰釉井戸茶碗です。

八幡焼








                    「八まん」と、「次」の陶印

大きさは、径:15cm、高さ;7.5cmほどの井戸茶碗 で、紙共箱付きです。

陶印が、「八まん」の窯印と、「次」の作者印がありますので、4代目の秦 良次さんの作品だと思います。

土の景色が見えるように、薄く灰釉を掛けただけの素朴な茶碗です。李朝初期に、同様の雑器であった井戸茶碗を、桃山時代の茶人や武将は好み、抹茶碗に見立てたのは、やはり、日本人の感性なのかもしれませんね。

この茶碗にも、自然に入った時貫でしょうか?、貫入でしょうか?、微妙な貫入が、単調な茶碗に景色を与えています。シンプルな中に、愛着が湧いてくるような作品です。

★ 八幡焼 とは ★

八幡焼(はちまんやき)は、島根県安来市広瀬町の富田八幡宮近くにある窯元で焼かれている焼き物で、享保八年(1723)、富田八幡宮の神官竹矢豊前守と藩士熊谷由武によって、作州(美作国=現在の岡山県)から陶工を呼び、窯を開いたのが始まりとされています。

その後、ここの土は萩焼に合うということで、萩からも陶工を招き、日用雑器を焼くようになり本格化しました。

その後、松平広瀬藩の藩営になった時期もありましたが、廃藩置県で藩営は終わり、明治に移ってからは民営となり、秦家(灰吹屋)がこれを受け継ぎ、伝統を守りながら現在に至っています。

八幡焼の特徴は、繊細な色あいの中にキラリと輝く鋭さを、持ち合わせる青釉薬にあります。

 青釉酒器

この青釉の配合については、「他の薬剤の配合はすべて紙に記されているのに、“青”に関してだけは口伝。
」だったそうです。秦家の先祖は、石見で銀の精錬をしていた灰吹屋(銀吹師)ですので、石見の銀と、出雲の鉄の文化が融合して、微妙な金属の量で組成されている釉薬なのかもしれませんね。

秦良次さんは、伝統を守りつつ、近年は釉薬と焼成の研究も行い、器に木の葉の舞い散りを見事に表現した「木ノ葉天目 」をはじめ、地元産の含鉄鉱による鉄釉窯変の器、赤泥の焼締、辰砂釉など、現代に即した新しい作品づくりにも挑戦していらっしゃいます。

 窯元

また、娘さんの安食美幸 さんは、岡山の大学卒業後、普通にお勤めをされていましたが退職されて、お父様のお手伝いをされるようになり、今では、若手女流作家として、活躍されており、女性だけの陶芸家グループ『陶花婆会』の代表に就任されています。

 安食美幸さん

八幡焼窯元は、足立美術館から車で5分程度のところにあり、作品は、窯元の他、主に広瀬町の物産館や足立美術館、松江の物産館などでも購入できるそうです。

2008年4月に、足立美術館へ行き、その後、布志名焼の湯町窯へ行ったのですが、こんなに近いところに、窯元があることを知っていれば、立ち寄ってみるべきでした。またの機会があれば、お邪魔したいと思っています。(「足立美術館と布志名焼 」参照)

★ 作家 プロフィール ★

 4代 秦 良次 

1930年生まれ
1969年   窯元に入る
1979年頃から、「木の葉天目」に取り組む


                                                (記 : 2014年2月9日)

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