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山中梅峰作・のと縄文焼のぐい呑みです。 大きさは、径:7cm、高さ:7.5cmほどで、紙共箱付きの、少し大きめのぐい呑みです。 素焼きをした後、野焼きで締め固めたb器(せっき)のぐい呑みで、東南アジアの野焼き土器に似ています。 野焼きでは、籾殻を使っているそうですので、自然についた籾殻で黒くなった部分が、景色になっています。 東南アジアの野焼き土器では、水が漏れないように、焼き上がった土器が、熱いうちに籾殻で擦って、真っ黒にしますが、のと縄文焼では、自然の景色を期待して、そのまま焼っぱなしにしているようです。 通常の焼き締めでは、灰が掛かる程度で、地肌は、茶色に焼き上がりますが、こちらは、籾殻の中に埋もれた状態ですので、黒っぽくなっています。 ★ のと縄文焼とは ★ のと縄文焼は、石川県鳳珠郡能登町字鵜川で焼かれている焼き物で、鵜川の公民館長をしていた山中梅峰(ばいほう)さん が、定年退職後に、能登町の真脇遺跡から発掘された縄文土器をヒントに、町おこしとしてはじめたものです。 縄文土器のレプリカの制作を始め、焼き物として認めてもらうには、展覧会に出品するのが一番と考え、展覧会に出品し、数々の賞を受賞しています。 のと縄文焼の特徴は、素焼きの温度を、通常の素焼きは、800度ぐらいですが、のと縄文焼は、980度から1000度近くで焼き締めてから、野焼きの本焼きをしていることです。 野焼きは、外部環境や、気象条件によって大きく左右されますので、いきなり本焼きでは、壊れるものも多いということで、元々釉薬を使わない焼き物ですから、b器に近いところまで、温度を上げて素焼きをして、本焼きの厳しい条件に耐えられるようにしているようです。 使用されている野焼き窯 (画像出典:奥能登トリビア蔵) また、本焼きの野焼きでは、籾殻を使って焼くため、焼き上がった作品に、籾殻の炭素が焼き込まれて、黒い地肌に素地の縞の文様が自然に発生します。自然に出来たものですので、2つとして、同じ文様はありません。 イカをモチーフにした皿 のと縄文焼は、縄文時代の縄文土器をヒントにしていますが、縄文土器は、成形したものをそのまま野焼きにしたもので、焼成温度も、850度くらいまでだったものと思われますので、のと縄文焼は、より焼き締まったもので、器としても、使用に耐えるものとなっています。 近年は、ランプシェードの作品が人気が高く、陶芸教室も開いているそうです。 ★ 作家 プロフィール ★ 山中梅峰 (やまなか ばいほう) 本名 : 武雄 1920年 石川県に生まれる 1991年 「のと縄文工房」を開く 2003年 フランスの展覧会に出品 2006年 美術年鑑に掲載される (記 : 2014年6月18日)
(記 : 2014年6月18日)
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