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久田重義作・朱天目のぐい呑み

常滑焼軌窯(わだちかま)の久田重義(ひさだ しげよし)作、朱天目ぐい呑みです。











大きさは、径:6cm、高さ:4.5cmほどで、共箱付きです。

久田重義さんの得意とする天目の中でも、ちょっと珍しい朱天目の作品です。(主に、油滴天目の作品が多いようです。)

久田重義さんは、すでにお亡くなられておりますので、現在では、入手が難しい作品が、偶然手に入って、喜んでいます。

尚、久田重義さんは、愛知県常滑市 に窯を構えておられましたので、伝統的な常滑焼とは、やや趣きの違う作品ですが、常滑焼とさせていただいています。

★ 久田重義が追い求めた耀変天目とは ★

鎌田幸二(かまだ こうじ)作、油滴天目(ゆてきてんもく)ぐい呑みのページでも、ご紹介していますが、南宋の時代に作られた耀変天目茶碗というのがあり、現在の中国福建省建陽市にあった建窯で作られたとされ、現存が確認されているものは、世界でわずか4点(または3点)しかなく、そのすべてが日本にあり、3点が国宝、1点が重要文化財に指定されています。(「鎌田幸二作・油滴天目のぐい呑み」参照)

 静嘉堂文庫美術館の稲葉(国宝)

何故、どうやって、この不思議な耀変天目が出来たのか?は、はっきりせず、多くの人たちが、その復元に挑戦しています。

久田重義さんも、その復元に強い興味を持ち、同志社大学の理工学部在学中から、研究をはじめ、元旦以外は朝から曜変を焼き続けていたそうです。

そして、1988年に、耀変天目を完成させ、発表しています。

また、1999年、第46回日本伝統工芸展で、久田重義氏は、「鉄釉輪文皿」で、文部大臣賞を受賞するなど、夭折の天才作家として有名で、2001年、自ら命を絶たれています。

耀変天目は、天目釉を掛けて焼いている際に、ある一定の条件になると、釉薬の中の鉄分が結晶をつくり、オーロラのように輝く斑文が現れる現象で、中々、定常的に出来ない代物です。

それ故に、多くの陶芸家が、その再現に挑戦し続けているということだと思います。

他に、耀変天目に挑戦されている方々は、鎌田幸二さん、林恭介さん、桶谷寧さん、藤井錦彩さんなどが、あげられ、各々、ご自慢の耀変天目を焼き上げています。(「耀変天目に成功した人たち」参照)



上の茶碗は、2001年に、曜変天目の再現に成功した、林恭介さんの耀変天目茶碗です。

★ 作家 プロフィール ★

 久田 重義 (ひさだ しげよし)

昭和21年(1946年)生まれる。
常滑市に、「軌(わだち)窯」を構える。
1988年  耀変天目を完成、発表。
1999年  「鉄釉輪文皿」で、文部大臣賞を受賞。
2001年  死去(自殺)
                                               (記 : 2015年7月22日)

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