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下柳田葭暖作・陶胎漆器の茶碗

胡班木芸(こはんもくげい)、下柳田葭暖(しもやなぎだ よしはる)作、陶胎漆器(とうたいしっき)茶碗です。













大きさは、径:13.6cm、高さ:7.8cm、高台径:5.3cmほどで、共箱、栞付きです。

栞によりますと、陶器は、出雲窯の竹内篤行さんが担当し、漆仕上げは、胡班木芸さんが担当したということです。

胡班木芸さんは、島根県松江市下東川津町にあり、こだわり素材の手作りの木工芸品(お盆、 棗、茶杓)と、 陶器のお店です。

下柳田さんは、28歳の時に脱サラし、木工芸の道へ入った方で、木芸も、「独学でやってきた」ということで、旺盛な好奇心から、こういった陶胎漆器にも挑戦されたのかな?と思っています。

陶胎漆器は、2015年のNHKの連続テレビ小説「まれ」で、取り上げられ、有名になりましたが、大変珍しく、かつて、明治時代に、ヨーロッパ向けに作られた、有田焼に、漆を塗ったものを見たことがありましたが、このような茶碗は、初めてみました。

 「まれ」のシーン

大変な珍品だと思いますので、大切にしたいと思っています。

★ 陶胎漆器とは ★

陶磁器に、漆を施し装飾したものを、陶胎漆器(とうたいしっき)と言います。

日本には、約5,500年以前から、土器を素材とした陶胎漆器が作られており、縄文時代を通して製作さ れ、特に、後・晩期には、青森県是川中居遺跡や、岩手県萪内遺跡などの出土例に見られます。

土器自体では、水漏れを防ぐことが出来ないので、土器に、漆を塗って、防水性を高めたものと思われます。

しかし、その後、恐らく、木工技術の発達によるものからだと思われますが、奈良時代に、ほぼ消滅してしまって、それから、1,000年以上に渡り、作った形跡や使った痕跡さえ見つかっていないようです。

その後、幕末から明治に掛けて、ジャポニズムによって、主に、ヨーロッパやアメリカへの輸出用に、有田焼等の磁器系の陶胎に、漆で装飾した陶胎漆器が作られたようですが、こちらも、その後、途絶えているようです。

 明治期のものと思われる陶胎漆器(夜噺骨董談義

輪島においては、2015年の連続テレビ小説「まれ」の中で、モデルとなっている大崎庄右ェ門さんのみが、陶胎漆器を制作しているようです。

陶胎漆器の特徴は、陶磁器で陶胎を作りますので、自由な形のものを作ることが出来ます。茶碗であれば、手捻りでの微妙な造形美を楽しむことが出来、漆器としての、保温性、手で持った時の独特の暖かさと、漆独特の光沢も味わうことも出来ます。

ただ、日常雑器としては、雑な取り扱いが出来ない等の欠点もあり、木製の漆器が普及して以降、日の目を見ない時代が続いたものと思われます。

現在、ネットで調べると、菱田賢治さん、吉田直嗣さん、仙臺堆朱の南一徳さん、小網重一さん等々が、陶胎漆器の製作を行っているようです。
                                                (記 : 2015年9月1日)

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