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信楽焼の水指と花入れ

オークションで、手に入れた信楽焼きの水指です。

オークションのプレゼンテーションの写真や、説明文が良くなかったので、安く手に入ったのですが、届いたものは、予想以上に、良くて、いいものを手に入れたと喜んでいます。



買った時には、蓋もなく、共箱もなかったのですが、蓋は、同じくオークションで買い求めました。

火の入り方から、自然灰釉が掛かった正面は、見事な景色になっています。

背面は、火が当たらず、自然灰釉は、掛かっていません。

背面と底面

信楽焼き特有の、目跡(目土の跡)が、底にあり、火が通った方向が、わかります。また、掻き陶印があるのですが、作者が誰であるかは、色々と調べて見ましたが、判明していません。



この水指、本焼きの時に、火の当たり方から、口は、やや楕円形をしています。火が正面から当たっていて、温度が均等に上がらない上に、収縮する時に、変形が起こる現象で、私も、焼き物を焼いていますので、良くわかります。素焼きの時には、真ん丸でも、本焼きの温度は、1350度くらいですから、焼成中は、真黄色になるまでになっています。その後、徐冷していく時に、どうしても収縮が均一にならないのです。

信楽焼では、この現象に伴う、徳利や一輪差しに首の曲がったものが多く出ますが、それがまた、「うずくまる」と言われて、「さび」、「寂び」を醸し出していることもあります。

最近のマイコン制御の電気炉や、ガス炉では、失敗はありませんが、薪を使った登り窯では、はやり、運まかせなのです。そこが、私が好きなところであり、「偶然の産物」に魅かれる点でもあります。

信楽焼(しがらきやき)は、滋賀県甲賀市信楽町を中心に作られる伝統陶磁器、b器で、日本六古窯の一つで、1250年の伝統を誇る日本最古の産地です。その始まりは、天平14年(742年)聖武天皇が紫香楽宮の造営に着手されたときに、布目瓦、汁器の須恵器を焼かれたことに始まり、その後、水がめ、種壷、茶壷、茶器、徳利、火鉢、植木鉢など大物から小物に至るまで、信楽焼独特の「わび」「さび」を残し今日に至っています。

特徴は、自然釉(ビードロ釉)、火色、こげ等の伊賀焼と共通するところがありますが、器面の素地が荒く、細かな石粒(石英粒や長石粒、珪砂)などが多く含まれていて、この水指のように、白いぶつぶつが現れる事も特徴の一つです。(伊賀焼きについては、「 伊賀焼きの平茶碗」参照)

信楽焼の特徴・いろいろ  

 

ビードロ
  自然釉の中でも青緑色に発色したもの。
  灰が強還元状態(酸素が少なく炭素の多い不完全燃焼のときの炎)で
  溶けたときの発色で特に珍重されている景色の一つで、微妙な条件
  の違いにより様々に変化する。

 

緋色(火色)
  火色とは、ほのかな赤色の発色をいい、主として土に含まれる鉄分
  の再酸化によって発色する。
  窯変の一種で、 最も珍重される発色は、人肌を感じさせる暖かい
  火色で、信楽の白い素地肌に一番よく映える色合いとされている。 

長石 
  水簸をおこなわない胎土中の粗い長石粒が溶けて乳白色のツブツブ
  になる景色を言う。信楽焼の一つの特徴となっている。

 

貝目
  器を赤貝などの貝で支えたときに、自然釉が貝の所に溜まり、
  固まったもの。 
  昔は、目土の代わりに、貝を使っていたことが多かったようです。

目跡
  目土(器を支えている土)の跡で、薪の灰や炎に触れなかったため、
  発色せずにもともとの土の色が残って景色となったもの。
  ぼた餅はこの応用で、色を抜きたい部分に煎餅状の目土を置いて
  景色を付けたもの。

 

窯しずく
  窯や棚板(作品を支える板)に灰が降りかかって自然釉を作り、雫と
  なって器物に垂れて、景色になったもの。
  偶然性が極めて高いため、珍しい景色のひとつである。

私の水指にも、ビードロの自然釉、窯しずく、目跡、長石等の信楽焼の特徴を持っています。
お安く、手に入れることができたものですが、こうして、水指棚に飾ると、様になっていますよね。(笑)



これからも、大切にしたいと思っています。
                                              (記 : 2009年7月25日)


追記 1

山本幸山作?、信楽焼花入れを手に入れました。









陶印が、「幸山」となっていますので、幸山窯山本幸山(幸雄)さんの作品だと思います。

大きさは、高さ27.5cm×上部口径11.5cm×下部直径10.5cm×最大胴回り48cmです。花入れも、高さが26cmを超えると、結構、大きい感じがしますので、存在感はありますね。

お箱がないのと、
口縁部に、極小のホツレが一箇所あるのが、残念ですが、この大きさですから、ホツは、あまり気になりませんね。


 
信楽焼らしい、長石が地肌で、ぷつぷつと白い粒になって、美しい景色となっています。また、薪窯で焼いたのも、火の当たり方でわかりますが、残念なのは、火の当たり方が弱く、自然釉の掛りが少ないことと、底に目跡が見れないことですが、まぁ、贅沢は言えませんね。(笑)

お手頃の値段でゲット出来ましたので、普段使いの花入れとして、床の間に飾りたいと思います。

                                          (追記 : 2010年11月26日)

追記 2:

畠山記念館の重要文化財に、耳付花入・銘:「からたち」があります。畠山記念館のHPでは、伊賀焼となっていますが、信楽焼とする本もあり、土が同じなので、判定が難しいのかもしれませんが、このデザイン、上記の信楽焼の花入れと同じですね。「伊賀に耳あり、信楽に耳なし」と言いますから、伊賀焼なのでしょうね。

私の花入れも、もう少し、火の当たりが強くて、形が崩れていたら、重要文化財並みだったのかも?(笑)

  伊賀耳付花入 銘 からたち

【作品解説】

口部はふっくらと造り、縁を内側に曲げて姥口とし、頸部は左右に四方板耳を付ける。前後に鐶付用の孔の跡があることから、この種の大きな花入も掛花入として茶席に用いられたことが知られる。裾広がりに造った胴部は、六角に面取りし、箆目を入れて区切っている。俗にビロード釉と称される自然釉が裾を残してほぼ全体に厚く掛かり、そこへ窯の中の灰や土が付着してさまざまな景色をつくりだしている。
口縁の一部が欠けて、その破片が胴に付着した様子を、「からたち」の棘に見立てて銘としたものである。

作品名 伊賀花入 銘 からたち
作 者  
時 代 桃山時代
材質・技法 陶 器
サイズ(cm) 高29,1 口径11,5〜13,0 胴径14,7 底径13,1
備 考 重要文化財
                                          (追記 : 2010年12月22日)

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