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意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

白薩摩と黒薩摩

薩摩焼の歴史は、約400年前の文禄・慶長の役(1529〜1598)、別名「やきもの戦争」で朝鮮出兵した薩摩藩17代藩主島津義弘が、80人以上の朝鮮人陶工を連れ帰ったことに始まります。

現在の主な窯場は、加治木町の龍門司窯、日置市(旧東市来町)の苗代川窯、鹿児島市の長太郎窯 などですが、かつては、慶長6年(1601)、陶工・金海(星山仲次)が、帖佐(ちょうさ、現・姶良郡姶良町)の宇都(うと)に開窯した竪野系が、御用窯として、薩摩焼の主流をなしていました。

薩摩焼きというと、金、赤、緑、紫、黄など華美な絵付を行った、豪華絢爛な色絵錦手をイメージされる方が多いと思いますが、一方で、黒もんと呼ばれる黒を基調とした単純な力強いものもあります。

こうして、薩摩焼きは、「白もん」と呼ばれる白薩摩と、「黒もん」と呼ばれる黒薩摩の2つに大別できますが、ほとんどの窯は、白もんと黒もんの両方を製作しているようです。

「白薩摩」は、乳白色(白に近いクリ−ム色)のあたたかみのある生地に、きめ細かな貫入(ヒビ)があり、赤や青、緑や金彩で動植物などの文様を施した、繊細で気品のある逸品です。

もう一つの「黒薩摩」は、「黒もん」と言われ、鉄分の多い火山性の土を用いるため漆黒の光沢を持ち、素朴で重厚な面持ちが特徴です。

藩主御用達の白薩摩に対して、黒薩摩は庶民の生活道具として親しまれてきました。特に黒ぢょか(黒千代香)と呼ばれる独特の土瓶は、焼酎の燗をつけるのによく愛用される酒器です。

私は、学生時代を鹿児島で過ごしました。そして、大学の卒業記念にいただいたのが、下の 白薩摩の夫婦茶碗と、黒薩摩 の「黒ぢょか」です。



   (永田窯 永田鉄昌)

 

 (ながた窯)

黒ぢょかは、薩摩焼酎を、直火で温めて飲むのに使いますが、今では、電機ポットがあるので、中々、使われることはないようです。(笑)

また、私見ですが、「白は、殿様、黒は、庶民」と、使い分けられていたような気がします。

鹿児島は、男尊女卑の強いところと言われています。しかし、実態は、女性が実権を握り、男性を立てて、すべてをうまく納めているといった感じでした。こういった思想から、「白は、殿様、黒は、庶民」となったのかもしれません。殿様も、庶民に立てられて成り立つものですから、自然に身に付いた文化なのかもしれませんね。

                                              (記 : 2009年9月27日)

追記 1:

薩摩焼慶田窯(けいだかま)・慶田實作のぐい呑みを手に入れました。





江戸後期、島津斉彬は、洋式工場群・集成館事業の一環として磯窯(磯御庭窯)を築きましたが、この窯は、1863(文久3)年の薩英戦争で灰燼に帰します。

慶田窯(けいだかま)は、その藩御庭焼の流れをくみ、明治13年創業以来、今日まで、昔ながらの手法と伝統を守り続けている窯元で、現在は、鹿児島市紫原にあります。

明治27年、おじの慶田茂平 から田之浦陶器所(慶田窯)の経営を継いだ慶田政太郎が、当時、品質が落ちていた薩摩焼の改善に注力し、現在に続いています。

大きさは、高さ:7cm 横:6.7cmほどで、共箱はなかったのですが、お約束通りの窯印でしたので、購入しました。典型的な白もん (白薩摩)で、貫入が、うまく入っており、手書きの絵付けも見事です。

鹿児島は、焼酎を飲む文化ですので、上記の黒ぢょか(黒千代香)のような酒器が多く、ぐい呑みが少ないのですが、ぐい呑みコレクターとしては、是非とも、薩摩焼は、加えたかったので、喜んでいます。
                                              (追記 : 2010年8月16日)

追記 2:

詳しい薩摩焼の歴史につきましては、「鮫島佐太郎作・苗代川焼の花器」にまとめていますので、ご参照ください。

また、龍門司焼につきましては、「龍門司焼の一輪挿し」をご参照ください。

また、薩摩焼を代表する名門の沈壽官窯については、「14代沈壽官作・薩摩焼のぐい呑み」をご参照ください。

                                              (追記 : 2013年3月2日)

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