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永澤永山作・出石焼の白磁香炉

永澤永山作(出石窯)の、出石焼(いずしやき)の白磁香炉です。

出石焼香炉

出石焼(いずしやき)は、兵庫県豊岡市出石町一帯で、作られている陶磁器で、江戸時代中期(18世紀後期)に、地元で大量の白磁の原石が発見されたことから、藩主の援助を受け、今の佐賀県有田町の陶工を招いて、出石の城下町で磁器作りをしたのが始まりとされていますが、創始に関しては、諸説があるようで、はっきりとしていません。

出石焼に活気が訪れたのは、江戸期の天保年間(1830〜44)でした、しかしながら、江戸期の出石焼は伊万里を模倣した雑器の域を出ませんでした。

現代の「白すぎる白」のルーツを築いたのは、「盈進社」で、 明治に入り1876年に設立されました。盈進社は、幕末の廃藩によって失職した士族の師弟たちを集め、指導者に鍋島藩窯の御細工職人だった名工3名をあて、鍋島藩窯の技術を注いで、子弟を育て、出石焼を改良していったといいます。

その結果、清冽・精緻な白磁が誕生し、 パリ万国博覧会など内外の博覧会に出品・賞賛を浴び、全国に出石焼の名をとどろかせることとなったのですが、残念ながら、高級品指向が需要と合わず、1885年には解散しています。

現在、出石焼の窯元は7軒ほどあります。 明治から続く、永澤兄弟製陶所、上田製陶所、川北製陶所、戦後に開窯した山本製陶所、比較的新しい森垣製陶所や虹洋陶苑などです。また、出石焼は、1980年3月に経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されています。

特徴は、国内でも珍しい、白磁を中心とした焼き物で、透き通るように白い磁肌に、浮き彫りや透かし彫りによる精緻な紋様が際だちます。また一切の釉薬を用いないのも特徴で、素地独特の味を醸し出しています。

この香炉は、四代永澤永信、二代永澤永山の永澤兄弟が経営する永澤製陶所で作られたもので、出石焼の特徴である象嵌系の細工は、見られませんが、白い磁肌が、きれいで、出石焼の多くの作品は、花瓶ですが、香炉は、珍しかったので、購入しました。

 永澤兄弟製陶所

 永澤製陶所ギャラリー

「永山」のものは、「出石 永山」と呉須で、書かれているものが多く、私は、これらは、「商品」であると判断
しています。

少し、値の張るものには、下のような陶印が、掻きこまれていますので、この香炉は、「作品」なのでは?と
思っています。

 香炉陶印  呉須印

「商品」と「作品」の違いについては、「陶印(サイン)の謎」でも、取上げていますが、砥部焼の大西陶芸の作家の白石久美さんが、明解に説明されていますので、ご参照ください。

尚、出石焼の永澤永信さんは、白雪焼と称して、マット仕上げの出石焼を、作っておられます。品があって素晴らしいと思って、競ったのですが、残念ながら、競り落とすことが出来ませんでした。

 永澤永信作・白雪焼花瓶

出石焼は、砥部焼と共に、どちらかと言えば、あまり人気のある焼き物では、ありませんので、お値打ち価格で、良いものが買える可能性がありますので、穴的な、陶磁器です。(笑)
                                              (記 : 2009年9月26日) 

追記 1

上田製陶所、上田鶴山作・出石焼白磁彫刻ぐい呑みです。







 陶印「出石 鶴山」

大きさは、全幅約57mm 高さ約42mm 程で、共箱、栞付きのお品で、透き通るように白い磁肌に、浮き彫りのあるぐい呑みです。

永澤兄弟製陶所、上田製陶所、川北製陶所は、明治から続く窯元であり、現在の7窯の中でも、最も伝統のある窯元です。上田製陶所は、明治22年創業で、代々、製作者は、「鶴山」が継いでいます。

このぐい呑みは、昭和60年代頃に購入した物ということですので、当代か、先代のものだと思います。

出石焼のぐい呑みは、あまり見かけませんので、手に入れることが出来て、喜んでいます。
                                          (追記 : 2010年10月23日)       

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