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エピソードと共に、その起源や、特徴を、ご紹介しています。意外な場所に、
意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

大樋焼の黒楽茶碗

初代中村長阿弥作の、大樋焼(おおひやき)黒楽茶碗です。





共箱、共布付きのものですが、実は、これは、いただきものです。

家内の仕事の関係のおばあちゃんが、子供たちは、「茶道には、全く関心がないので、あなたの旦那さんが
焼き物に興味があるのであれば、あげるわ!」と言って、いただいたものの1つです。

茶釜、火箸、長板、茶碗、茶杓等々を、いただいたのですが、その中で、これが、最も高価そうで、調べてみ
ると、どうやら、恐らく初代中村長阿弥作だと思われます。(大正14年、大樋長阿弥窯開窯)

共箱から、「長阿弥造」が読み取れますし、陶印も、「大樋」が、長阿弥が使用しているものと、一致しますし、共箱の紐も、時代が経っているようですので、恐らく、間違いないと思います。

 三代中村長阿弥(研二)さん

大樋焼(おおひやき)とは、石川県金沢市で茶道のために制作され、340年あまりの歴史を持つ伝統的な、楽焼唯一の脇窯です。

大樋焼は、寛文6年(1666年)加賀藩主五代前田綱紀候の命により裏千家始祖である仙叟宗室を、茶道普及のために招聘した際に、初代大樋長左衛門がともに京都から金沢に同道したことに始まります。

楽家四代(一入)の最高弟子であった長左衛門は、大樋村(現金沢市大樋町)に適した土を見いだし、茶道のための茶碗や水指などを制作しました。このことにより大樋焼と称されるようになりました。

仙叟と長左衛門は学んだ茶道や楽焼を、加賀藩や金沢のための独自のものとして築きあげました。およそ27年間の共同事業を終えた仙叟は、京都に戻り裏千家を興し、長左衛門は金沢で生涯にわたり作陶を続けました。以来大樋焼歴代は加賀藩の保護や裏千家を中心とした千家茶道に支えられ、およそ330年以上に渡る今日まで続いてきています。

ただ、加賀藩の保護がなくなった明治期に、直系子孫の大樋焼は途絶え、子弟だった奈良理吉が、八代長左衛門を継いでいます。尚、直系子孫との、本家争いがあり、事情を、「大樋焼窯元の本家争い」にまとめていますので、ご参照ください。

大樋焼は、現在、本家争いの当事者の「大樋長左衛門窯」、「大樋勘兵衛窯」の他に、「大樋長阿弥窯」「大樋焼松雲窯泉喜仙」があって、活動中です。

これをいただいたおばあちゃんは、茶道のかなりの「」でしたので、多分、裏千家なんでしょうね。

いただきものですが、大切にしたいと思っています。
                                              (記 : 2009年10月22日)
 
追記 1:

大樋焼大樋長楽作のぐい呑みを手に入れました。





  



ただ・・・・・ちょっと怪しいかな?とも思っていました。造りが、ちょっと幼稚すぎる?(笑)

怪しい理由の1つが、陶印が、丸印で、「大樋」、角印で、「長楽」と、2つ入っていることです。ちょっと違和感があったのですが、大樋長楽作の他のものを見てみると、陶印が2つあるものがありました。

 長楽作 花生

次に、共箱の箱に割れがあったのですが、意図的に、書き換えようとして、失敗して、割れたのでは?と思ったのですが、残った方の、箱書きの「長楽造」の筆跡が、別の作品と同じものでした。



しかも、共布の落款も同じですので、これは、大樋長楽の作品に間違いないようです。(笑)

ちょっと造りが、幼稚かな?と思っていたのですが、上の花生の作品もそうですし、飴釉の感じも似ていますので、長楽の作風なのかもしれませんね。

大きさは、直径63mm 高さ37mm  程で、大樋焼特有の飴釉が掛かっています。

大樋長楽は、明治期に、初代大樋長左衛門の直系の子孫による大樋焼の制作は、七代大樋道忠を最後に途絶えましたが、大正時代に入って、直系子孫として、大樋焼を再興した人で、現在、子息の9代大樋勘兵衛が継承しています。

大樋焼の本家争いは、弟子が継承した窯元(大樋長左衛門)と、直系子孫が再興した窯元(大樋勘兵衛)で、法廷で争われ、裁判所から、喧嘩両成敗の判決を受けています。いきさつは、「大樋焼窯元の本家争い」にありますが、このぐい呑みは、直系子孫の再興窯のものです。

 八代 大樋長楽  (1902〜1991年)
 九代 大樋勘兵衛  (1929年〜   )

大樋焼は、茶道具の作品が多くて、ぐい呑みは、あまりありません。珍しいものですので、大切にしたいと思っています。
                                              (追記 : 2010年8月17日)

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