信州は、松代焼(まつしろやき)の松井窯(松代陶苑)製の小鉢です。
サイズは、口径 約12cm、高さ 約5cmほどの小鉢ですが、松代焼の特徴通りでしたので、購入しました。
松代焼の特徴は、青味を帯びた器肌と豪快に流された青緑色の釉薬にあります。青味を帯びるのは、
陶土に鉄分を持っているためで、緑色の釉薬は松代焼独特のもので、銅を混ぜることによって陶土と反応させ、独特の光沢が生まれるといわれています。
この小鉢も、たっぷりと青緑釉が流されており、典型的な松代焼ですね。
しかしながら、松代焼と言っても、あまりご存知のない方が多いと思います。
松代焼は、長野県長野市松代地区で焼かれる陶磁器ですが、松代は、真田氏の城下町として名を馳せ、
藩の御用窯として栄えました。歴史は寛政の初め頃、唐津で修行を積んだ嘉平次という陶工が開窯し、藍甕を焼いたのが始まりです。後の文化13年には松代藩の藩窯として松代焼を奨励しました。その時には嘉平次窯を買収し、京都から陶工を招いて焼かせた寺尾焼、信楽から陶工を招いた天王山焼、また常滑から陶工を招いた荒神町焼、代官町焼などが生まれました。主に生活陶器を焼いていましたが、安価で大量生産が
行われていた有田焼や瀬戸焼に圧され、いずれも大正末期〜昭和初期までに、全てが廃窯となりました。
もっとも、当時は松代焼
という呼び名はなく、廃窯の後に京都の陶工である内島北郎が、研究の過程で
名付けたものです。
現在の松代焼は、昭和47年に、篠ノ井の唐木田又三、伊三男親子によって、復興されたものであり、これが、松井窯(松代陶苑)となっています。
松代陶苑 従業員の方々
松代焼は、現在、松井窯の他に、あまかざり工房(清滝窯)の宮崎知幾氏と、陶房 ひがしやまで、作陶
されているようです。
(記 : 2009年11月19日) |