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長倉三朗作・小糸焼の水指

岐阜県、飛騨・高山市の小糸焼長倉三朗作)の水指です。




小糸焼(こいとやき)は、歴史的には、岐阜県・飛騨・高山の焼物の中で、もっとも古い窯です。(飛騨・高山には、その他に、山田焼渋草焼があります。(「小林鳳山作・山田焼のぐい呑み」、「渋草焼の六角蓋置き」参照))

江戸時代の初期、飛騨は金森家の所領でしたが、その高山城主、金森三代重頼と、その兄で一世の茶宗、
金森宗和などの活躍で、高山でも茶道が大変盛んに行われるようになりました。

その隆盛の頃、寛永年間(1620年代)に城主重頼が、京より陶工、竹屋源十郎を招き、高山の西郊、小糸坂の地に窯を築き、茶道具などを焼かせたのが始まりとされています。

その後、20年程で、廃窯し、天保7年に再興されましたが、再度、わずか4年で廃絶しています。

二度の浮き沈みを経て、戦後、当代窯元の長倉靖邦さんと、先代故長倉三朗氏による、精細な発掘調査が
行われ、現代に復興再現されたのが、今の小糸焼です。(窯元ホームページ参照)

現在は、発祥の地、小糸坂の近くに窯を築き、靖邦さんと、長男 大(だい)君・次男 研(けん)君の3人だけで、ひっそりと、小糸焼が受け継がれています。(窯元は、1軒だけです。)

小糸焼の特徴は、なんと言ってもその釉薬にあります。それは、伊羅保(イラボ)釉という赤土混じりの釉薬で、ふつうの焼き物のようにツルツルとした肌合いではなく、一見備前焼のような、ザラついた渋みのある肌合いです。

色合いは、 伊羅保釉では一般的な少し黄色みを帯びた茶色いものをはじめ、深い藍色をした「青 伊羅保」や、緑ぽい色の「うぐいす」などがあり、よその伊羅保釉にはない独特な色合いをしています。

中でも、当代窯元靖邦さんが独自に生み出した「青 伊羅保」は、いくつかの釉薬や化粧土をかけ分けたり、吹き付けたりしてようやく出てくる色で、一つの器の中に様々な藍色が表現され宇宙を作り出しています。

 
            青伊羅保                            茶伊羅保

では、この水指ですが、伊羅保釉ではなく、辰砂釉で作られています。まだ、青伊羅保が、発明される前で、
伊羅保にこだわりを持っていなかった時代のものかもしれませんね。

サイズは、巾×高さ×口径が、約18cm×約9cm×約13cm程で、水指だけでなく、菓子入れとして使っても良さそうです。

  

長倉三朗さんの初期のものではないか?と思えます。陶印も、少し、荒々しく見えますし、窯を復興するぞ!
という意気込みが感じられるのでは?

少し、時代があること(昭和40年代?)は、栞の電話番号の記述方法からも、窺えますね。(笑)

 

小糸焼のシンボルマーク がしっかりと、共布に押されていますし、栞もついており、しっかりとしたものです。
末永く、大切にしたいと思っています。
                                               (記 : 2009年12月2日)
 
                小糸焼販売所                          小糸焼工房


★ 伊羅保とは
? ★

■朝鮮李朝時代(江戸初期頃)の茶碗の釉薬の名前です。名前の由来は、砂混じりの肌がざらつき、イライラとしている事による、あるいは焼かれた地名からきたといわれていますが、定かではありません。

■黄土を混入したマット(つやのない)釉薬で、その侘びた風情が茶人に喜ばれています。

伊羅保茶碗(朝鮮・李朝時代)

追記 1:

長倉靖邦作、小糸焼青伊羅保・六角ぐい呑みです。









小糸焼の窯元の作品を、直接取り扱っているネットショップで購入しました。

形が、六角になっていて変わっていたのと、小糸焼の青伊羅保の作品が是非欲しいと思っていましたが、飛騨高山までは、ちょっと遠いので、近いうちに出かけるか?ちょっと疑問だったこともあり、ネットショップでの購入になりました。

大きさは、径:58mm、高さ:43mm程で、共箱、栞付きです。

青伊羅保の色合いと、ちょっとざらっとした感触が、心地よい作品です。六角になっていますので、ちょっとお酒を飲むには、飲み辛いところはありますが、これからも愛用していきたいと思っています。

 【陶工 紹介】

 長倉靖邦(ながくら やすくに)

 1938年生まれ
 1959年より作陶に入る
 加藤舜陶氏に師事
 1990年頃、「青伊羅保」釉を開発
 茶道宗和流十六世(号 泰山
 岐阜県卓越技能保持者

                                          (追記 : 2010年10月19日)

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