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14代酒井田柿右衛門作・ぐい呑み

人間国宝14代酒井田柿右衛門作の、錦 青海波桜文 ぐい呑です。

  

  

柿右衛門のぐい呑みか、花瓶が欲しかったのですが、やっと、手に入って、喜んでいます。

八に面取された胴に気品に満ちた色絵の描かれた素敵な作品で、大きさは、口径約 5.7cm   高さ約 4.8cm   高台径約 3cmほどで、共箱付きで、真作保証品です。



箱書きの書体、落款、窯印のどれを取っても、お約束通りですし、お品自体が、「柿右衛門だよ!」と主張しているような作品です。

ぐい呑みの中でも、八面に面を取られたものは、初めて見ましたし、珍しいものですので、大切にしたいと思っています。

ここで、柿右衛門の歴史についてまとめておきます。

初代柿右衛門の父、酒井田円西は、良質の陶土が発見されたため、現在の佐賀県西松浦郡有田町に移住し、息子である喜三右衛門とともに、陶器や白磁、染付などの磁器を製作していましたが、やがて17世紀前半に、喜三右衛門は、赤絵磁器の焼成に成功し、柿右衛門を名乗りました

初代は、乳白色(濁手)の地肌に赤色系の上絵を焼き付けるという柿右衛門様式と呼ばれる磁器の作風を確立し、その作品はヨーロッパなどにも輸出されマイセン窯などでは模倣品も作られました。また、磁器の発祥地である中国の景徳鎮窯にも影響を与え(景徳鎮伊万里)、同様の作品が作られ、やはりヨーロッパに輸出されました。1666年に没した初代、その息子である二代(1620年-1661年)、二代の弟の三代(1622年-1672年)は、製作期が重なっていることもあり、作風にも大きな差は見られません。また、三者とも極めて技量が高かったと言われ、これに加えて四代(三代の息子、1640年-1679年)までの間が、初期柿右衛門とされています。

 初期柿右衛門

続く、17世紀後半から18世紀前半にかけての約90年間、五代(1660年-1691年)から七代までが、中期柿右衛門とされます。五代は技量が芳しくなかったために、1685年を以って鍋島藩からの恒常的な発注が差し止められました。六代(1690年-1735年)は、意匠・細工に優れた叔父の渋右衛門にも助けられ、食器類のほか花器、香炉など様々な磁器製品を高い水準で量産することに成功したため、中興の祖とされています。また1724年には、嘆願書を藩に提出し、臨時の発注の一部が酒井田家に用命されることとなりました。この一方で、高い技術が要されることなどから、七代(1711年-1764年)以降に、濁手の作品は中絶してしまいました。

18世紀前半から19世紀にかけての八代(1734年-1781年)、九代(1776年-1836年)と十代(1805年-1860年)の期間は後期柿右衛門とされ、主に染付の磁器を製作しました。七代から八代にかけては四角の中に福の字が入った「角福」と呼ぶマークを施したものが多くあります。これは明清の陶磁器に元々あったものです。

近代以降では、十一代(1839年-1916年、1860年に襲名)は、「角福」のマークの商標登録の可否などを争う訴訟を起こして経済的に困窮しましたが、海外にも積極的な出品を行なっています。1919年には出資する事業家と共同で十二代が、柿右衛門合資会社を設立し、赤絵技術と「角福」銘を供与しました。しかし、美術品の制作を志向する十二代(1878年-1963年)は、会社と経営方針が合わず、1928年に関係を解消しました。以降それぞれが、「柿右衛門」作品を制作しましたが、1969年に和解し、その後、合資会社は、柿右衛門の名義を使用していません。

 合資会社作

十二代と十三代(1906年-1982年)は、1947年頃から、濁手の復活を目標とし、1953年に初めて濁手の作品を発表しました。濁手の製作技術は、1955年に国の無形文化財に指定され、1971年には重要無形文化財となっています。

当代の十四代柿右衛門は、1982年に継承し、2001年に、重要無形文化財の保持者(人間国宝)に認定されています。

 十四代柿右衛門

ですから、柿右衛門様式の赤絵は、初・中期柿右衛門時代と、1953年以降にしか、柿右衛門の赤絵は、存在しないことになりますので、歴史を知ることは、重要ですね。

もしも、幕末や、明治時代の赤絵があったとするならば、「いけません」ので、ご注意を!

      十二代柿右衛門

    十三代柿右衛門

    十四代柿右衛門

こうして見ると、結構、書体、落款から、何代の作品か?わかりやすいのですが、贋作が、かなり出回っていますので、ご注意を!(「柿右衛門の贋作について」参照)
                                             (記 : 2010年1月26日) 

追記 :

柿右衛門作」について、ご指摘を受けました。上記の柿右衛門の銘印があるものは、柿右衛門窯の工房作品であり、柿右衛門本人の作品には、銘印は、ないそうです。

ただ、一般的に、本物と言っているものは、柿右衛門窯の作品ですので、ここでは、柿右衛門窯の作品を、本物としていますが、本人の作品にも同様の銘印があると思っていましたので、びっくりでした。

匿名でのご指摘、どうもありがとうございました。
                                           (追記 : 2012年4月20日)

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