小石原焼(こいしわらやき)の、マルダイ窯、太田成喜作の片口鉢です。
小石原焼(こいしわらやき)は福岡県朝倉郡東峰村にて焼かれる陶器です。主に生活雑器が焼かれており、1682年に、黒田光之が伊万里から陶工を招いて窯場を開いたのが始まりで、筑豊地方で最初の焼き物産地となりました。
刷毛目、飛び鉋、櫛描きなどによって表現される独特の幾何学的な紋様が特色で、素焼きを行わず、釉薬を流し掛ける生掛けが多く使われています。後にその技法は大分県日田市の小鹿田焼に伝わっており、小鹿田焼とは、よく似ています。日本の陶芸界に大きく影響を与えたバーナード・リーチによって、「用の美の極致である」と大きく称賛されました。 (「小鹿田焼の壷」参照)
この片口鉢は、大きさが、径20cm、高さ10.8cm程で、共箱、栞付きです。小石原焼にしては、ちょっと変わった形と、技法なのですが、かわいいなと思い、購入しました。
マルダイ窯は、小石原焼の窯元の中でも、かなり古くからあり、小石原焼伝統の飛びカンナや刷毛目、打ち掛けといった技術、技法を受け継ぎ、大皿、大壺から小鉢に至るまで普段使いができる生活雑器を作っています。(住所:朝倉郡小石原村小石原766)
マルダイ窯のギャラリー
太田成喜さんは、1944年、小石原生まれで、早稲田大学法学部卒業後、作陶生活に入り、伝統工芸士にもなられていましたが、2007年に62歳で亡くなっています。
父の太田武徳さん(2008年逝去)を継いだ後、晩年は、病に苦しんでおられましたが、長女のいづみさんと結婚した万弥さんが、窯を継いでくれることを、成喜さんは、大変喜んだということです。
生前の太田成喜さん
この片口鉢は、小石原焼の専売特許の手法を使ったものではありませんが、逆に、珍しいものですので、末永く、大切にしたいと思っています。
(記 : 2010年3月17日) |