初代吉野香岳作の、越中瀬戸焼(千寿窯)のぐい呑みです。
越中瀬戸焼は、瀬戸焼の伝統を継ぎ、多彩な釉薬と、大胆な施釉が特徴ですが、このぐい呑みも、辰砂釉をアクセントに、灰釉を掛けたもので、越中瀬戸焼らしい作品ではないか?と思います。
大きさは、高さ約4,5cm 口径約7cmX6,5cmで、桐四方桟共箱、共布、栞付きのしっかりしたもので、初代吉野香岳さんの作品です。
越中瀬戸焼(えっちゅうせとやき)の焼かれる富山県立山町瀬戸(越中瀬戸)は、600年余り前から、古窯跡から灰釉の一片などが発掘されるほど、北陸地方で最も長い歴史をもつ陶窯でした。
しかし、近世になって、幕府の保護がなくなり、越中瀬戸焼は、大正期に一時、廃窯になっていましたが、越中瀬戸焼の保存会が昭和18年、福岡窯を研究の場として発足しました。
そして、釈永庄次郎氏(1981年死去)が、昭和22年に、庄楽窯を開窯し、初代吉野香岳氏も、北大路魯山人を最後の師として、この地に在住し、その復興および後継者の育成に努力、研究し、昭和33年に千寿窯を築窯しています。(越中瀬戸焼の歴史については、「越中瀬戸焼の雷鳥徳利」を、ご参照ください。)
千寿窯は、現在、2代目吉野香岳(泰広)さんと、息子の吉野弘紀さんによって、受け継がれています。
2代目吉野香岳さんと、吉野弘紀さん
千寿窯
登り窯
● 作家 プロフィール ●
初代吉野香岳(よしの こうがく)
明治36年生。
富山県優秀技能賞。日本伝統工芸富山支部展受賞。県知事文化功労賞。北日本新聞文化功労賞。
昭和58年 皇居にて叙勲。
平成11年、没。
ちょっと変形させているところが、何とも言えないぐい呑みですが、中々の力作と思いますので、末永く、大切にしたいと思っています。
(記 : 2010年8月7日) |