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タイのバンコクで買ってきていただいたベンジャロン焼(Benjarong)の蓋付き小物入れです。 大きさは、径:60mm、高さ:85mmほどで、英語の分類では、「Covered Jar」と表記されています。(現代のもので、骨董品ではありません。) 本体の方は、丁度、ぐい呑みにいい大きさですが、何に使われるものなのか? タイは、仏教国ですので、仏壇に置くものなのかな?と思っていますが、ベンジャロン焼の多くが、食器ですので、薬味入れような食器なのかもしれませんね。 実は、友人に、タイの「キンマ」という、これくらいの大きさの漆器を買ってきて欲しいとお願いしていたのですが、あいにく見つけることが出来ず、似たものがあったので、買ってきたとのことでした。(キンマについては、「香川漆器のキンマ香合」参照) はてさて、これは何だろう?と調べて、この陶器が、ベンジャロン焼であることを見つけて、その存在を知ったということです。 ベンジャロン焼は、ボーンチャイナを使った高級磁器食器から、観光客用のお土産品の廉価なものまで、色々とあるようですが、これには、「Handpainted in Thailand」と入っており、確かに、上絵は、「Handpainted」のようです。(ボーンチャイナについては、「オールドノリタケの絵皿」参照) 廉価なものは、所謂、プリント転写のものが多いようですが、この小物入れは、手描きであるようですが、器胎自体は、大量生産品のようですので、中級品でしょうか? おもしろいものを買ってきていただいて、感謝しています。 ★ ベンジャロン焼とは? ★ タイでは、スコータイ時代の13世紀に、ラムカムヘン王が、中国より公式に陶工を招聘して、中国の陶磁器作りの技術が輸入されています。 その後、14世紀に、スコータイより北方に75km行ったところのスワンカローク(古美術的に言うと初期の宋胡録焼の出土地域)で、高品質の陶磁器が作られるようになりました。スワンカローク焼とか、セラドン焼と呼ばれている焼き物です。(「セラドン焼の水滴?」参照) 1351年に、ウートン王によって、スコータイ王朝からアユタヤ王朝へと変わり、16世紀末から17世紀前半頃には、中国から白い磁器に、多色の上絵具を焼き付ける技法が伝えられ、これが「ベンジャロン焼」の基礎になっています。 「ベンジャロン」という名前は、古代サンスクリット語が語源で、数字の5を表す「ベンジャ」と、色という意味の 「ロン(グ)」で、「ベンジャロン」となっているそうで、「5色」という意味ですので、中国陶磁器の「五彩」のことだと思われ、当初は、中国のものを模倣した色絵や赤絵が多かったようですが、次第に、タイ独自の文様を描くようになりました。 また、200年ほど前のラマ2世の時代には、タイ語で、「金の水の紋様」という意味の「ラーイ・ナム・トーン」という、金の縁取りが施されるようになり、王室専用の磁器として作られるようになりましたが、その後、貴族、商人の生活にも浸透していっています。 ベンジャロン焼に描かれる紋様は、、大まかに分けて10パターンあり、「チャクリ(CHAKRI)」と呼ばれる、ヒナギクをモチーフにしたものや、「ピクル(PIKUL)」と呼ばれる、ビクルという高木が由来になっているものなどがあります。 チャクリ紋様 ピクル紋様 私の小物入れは、「ピクル」紋様のものですね。 タイのバンコクにある、「Thai Ceramic Handmade − Bangkok」というお店では、数多くのベンジャロン焼を取り扱っているようです。ご参考までに。 (記 : 2013年3月26日)
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