旅するところ、焼き物・骨董あり!                                                                       <<<焼き物・骨董情報サイト>>>

トップへ  当サイトでは、筆者が、世界中を旅したところで集めた焼き物・骨董品を、
エピソードと共に、その起源や、特徴を、ご紹介しています。意外な場所に、
意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

スワンカローク焼の合子

タイのバンコクで買ってきていただいたスワンカローク焼(日本名:宋胡録焼)の合子(ごうす)です。











大きさは、径:95mm、高さ:85mmほどで、恐らく発掘品だと思われます。本体、蓋共に、欠けている部分が直してあります。

鉄絵で、タイ独特の紋様を描いていますので、スワンカローク焼でも、初期のものではなく、タイらしい国風化された様式が多く焼かれた15〜16世紀のものではないか?と思っています。(スワンカローク窯は、17世紀に廃窯の模様。)

スンコロク(宋胡録)の豆香合」でご紹介した豆香合は、江戸初期に入ってきたものの伝世品だと思いますが、こちらは、高台付近に、土が付着しており、発掘されたものと思われます。

この合子は、バンコク郊外の露天商で買ったそうで、こうしてみると、並べてあるものには、中国のものが多いようですし、青磁もたくさんある中、スワンカローク焼を選んでくれて、びっくりです。





写真に写っているおっさんが店主で、色々と、能書きを並べて、説明してくれたそうですが、お値段の方は、私の印象では、こんな露天で売っている割には、結構、いい値段でしたので、それなりのものだと思います。

スワンカローク焼は、スコータイ王朝時代の14世紀に、中国から招聘された陶工たちによって、中国の技術が伝えられたものがはじまりとされ、シー・サチャナライ市近傍の、パーヤン村、ツカータ村、バンコーノイ村に築かれた窯場です。鉄絵陶、青磁、褐釉(ゆう)陶、白釉陶、淡青釉陶などが焼かれましたが、特に、鉄絵陶が一般的で、淡青釉陶は、セラドン焼として、扱われています。

日本では、陶器の積み出し港であったスワンカロークが訛ってスンコロクとなり、当て字の漢字が宋胡録となって、宋胡録焼(スンコロク焼)とも呼ばれています。有田焼が、伊万里港から、積み出したので、「IMARI」と呼ばれているのと似ていますね。

周辺の村で焼かれた陶器は、スワンカローク港から、ヨム川、多くの支流が合流してチャオプラヤ川へ入って、シャム湾(今のタイ湾)へと運ばれ、東南アジア各国をはじめ、日本まで輸出されています。

その後、スワンカローク焼は、途絶えましたが、その中で、セラドン焼は、現在、タイ第2の都市、チェンマイで再興されて、人気のお土産品となり、日本の雑貨店でも取り扱われています。(セラドン焼については、「セラドン焼の水滴?」をご参照ください。)

私のスワンカローク焼の合子は、何に使われていたのでしょうね? タイには、このような蓋物が多く、需要があるということなんでしょうが、何に使うのか?想像できません。今度、タイに出掛けた折には、興味を持って、見てみたいと思っています。

私の友人が、ベンジャロン焼の同様の蓋物を買ってきてくれました。こちらも、ご参照ください。(「タイ・ベンジャロン焼の小物入れ」参照)

ベンジャロン焼 ベンジャロン焼

                                                (記 : 2013年3月27日)

追記 :

オークションで、同様のスワンカローク焼合子を入手しました。













大きさは、径:11.4cm、高さ:11.0cmで、タイで買ってきていただいたものよりは、一回り大きいものです。茶碗が入っていた合わせ箱が付いていましたし、大変、丁寧に扱われていたようですので、伝世品かもしれませんね。(箱には、「古代 寸コロク 5万円」とチョークで値段が書いてありました。)

時代は、ほぼ同じ頃だと思われます。縁辺小カケ、胴に白い補修のような痕、窯キズ、などがありますが、大きな欠けはなく、状態は、こちらの方が良いようです。ただ、文様は、こちらの方が単純で、タイ風の文様になる前のもののようです。











こうして、並べてみると、材質もほぼ同じ(タイで買ったものは、直しがあります。)ですし、タイでの発掘品と日本での伝世品という運命を辿っていますが、生まれは、同じタイのスワンカロークだということがわかります。

これで、豆香合と合わせて、3つの宋胡録を保有することになりましたが、いずれもが、本物の宋胡録であると思われますので、これからも、大切にしたいと思っています。
                                               (追記 : 2013年4月5日)

Copyright (C) ともさんの焼き物・骨董紀行  All Rights Reserved 
















inserted by FC2 system