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パイプたばこの文化

たばこの文化拝見」で、日本における「たばこの文化」をまとめた後、他の地域ではどんな文化が華開いたのだろう?と興味を持ち、たばこを吸わない私ですが、「水パイプの話」では、中近東と中国の「水パイプ」について、そして、西洋の「パイプ」の文化として、今回、パイプを買ってみましたので、西洋のたばこ文化について、まとめてみようと思います。

私が、手に入れたものは、パーカー社製の、パーカー・オブ・ロンドン(PARKER OF LONDON)・パーカーナイト・47 というモデルで、「ベント」型のものです。







初心者の場合には、このような「ベント」型ではなくて、真っ直ぐな「ビリヤード」型が、メンテナンスがしやすいので、ストレートなものを選ぶべきであるとありましたが、私の場合、そんなにたばこを吸うわけではありませんので、格好を優先した結果、「ベント」型にしました。

ボウル部分が、ブライヤー製、吸い口が、エボナイト製のテーパードで、長さが、140mm、ボウル高さ:42mm、高さ:66mm、ボウルの内径:19mm、ボウルの外径:35mm、ボウルの深さ:37mm、重量:45gの新品で、本体に「Parker of London」、吸い口に、「P」のロゴが入っています。

パーカー社は、1923年、ダンヒルの子会社として創業。1967年ダンヒルに吸収合併され、現在に至るまで高品質のパイプを手がけています。

★ 西洋におけるパイプ喫煙 ★

パイプ喫煙は、パイプの片方に、乾燥などの加工を行ったタバコの葉を詰めて火をつけ、もう一方の端から吸い込んで行われる方法で、、南北アメリカの一部のインディオや、インディアンが行っている先住民族の文化が、ヨーロッパから渡来した者たちに伝えられ、さらに彼らから世界各地に伝播していったものです。

ここでは、アメリカ大陸発見から、主に、ヨーロッパで発展した「パイプ」について、まとめてみました。

★ パイプの材質 ★

たばこが、スペインから欧州各地に広まる過程で、各地で独自の喫煙具が制作されるようになり、当初は、金属のボウルに、木製の筒等で作られたキセルのようなものを使っていましたが、1500年代後半には、陶器で作られたクレイパイプが作られるようになり、中世の長い間、ヨーロッパのパイプ喫煙法の主流でした。

 クレイパイプ

当初は、イギリスで、白色の粘土(クレー)を使った素朴な素焼きのクレーパイプが作られていましたが、17世紀以降、クレーパイプの製造地は新たに台頭してきたオランダのゴーダ地方で盛んとなり、以後オランダがクレーパイプの主たる生産国として知られるようになりました。

クレイパイプは、日本の長崎の出島のオランダ商館の跡地などで出土していますから、江戸時代の終わり頃まで、広く使われていたようです。

追記 :

2013年10月にラオスを訪れる機会がありました。ラオス国立博物館でも、上記のクレイパイプが展示されていました。ラオスは、かつてのフランスの植民地になっていましたが、ここでも、普及していたことがわかります。

また、ショッピングセンターでは、陶器製のパイプも見つけることができました。この地方には、たばこの文化が根付いていることがわかりますね。



陶器の火皿に、金属の鞘がついています。ラオスには、刻みたばこを売っているということでしょうか?
                                           (追記 : 2013年10月17日)

18世紀から19世紀に掛けて、オスマン帝国(現在のトルコ)領内で、メシャム(セピオライト)の原石が産出されるようになると、ヨーロッパの貴族階級の間では美しい造型に加工されたメシャムパイプが流行し、「パイプの女王」と称されるようになりました。

 メシャムパイプ


その後、19世紀後半、アルジェリアやナイジェリア等のアフリカ大陸や、イタリア領コルシカ島などで、ブライヤ が特産品として産出されるようになると、ブライヤパイプが急速に普及し始め、瞬く間にパイプ材の主流となっていき、「パイプの王様」と言われるようになり、現在に至っています。

このように、パイプの材質 は、木のブライヤー製、石のメシャム製(海泡石)、素焼き陶器のクレイ製、とうもろこしの穂軸製のコーンパイプ、その他、桜材等が使われています。

 コーンパイプ

ブライヤーパイプは、つつじ科の潅木の根で、軽く、堅く、火に強く、磨くと光沢が出る性質があります。

メシャムパイプは、日本では一般に海泡石と呼ばれている白色の鉱物をボウルとし、琥珀、象牙、樹脂等の吸い口を付けたパイプです。長い間使っていると、ボウルの色がクリーム色から美しいオレンジ色となり、さらに素晴らしい黒褐色へと変化します。(上記画像参照)

コーンパイプは、マッカーサー元帥が、飛行機から降りてきた時に、咥えていたパイプです。

 マッカーサーパイプ(コーンパイプ)

パイプの吸い口(ステム)の材料 は、主に適度な硬さと柔らかさを兼ね備え耐久性もあるエボナイト(ゴムを原料とする)や、アクリル樹脂が使われていますが、安価なものには、プラスティックも使われています。

★ パイプの部位の説明 ★

パイプは、ボウルと呼ばれるたばこを燃焼させる部分と、マウスピース(又は、ステム)と呼ばれる吸い口部分に分かれています。この中間に管をいれたものが、煙管(キセル)になります。

原理は、煙管と同じで、火皿で燃焼させたたばこの煙を、煙道を通して、吸うもので、パイプには、煙道に、ヤニ止めのフィルターがあるものと、ないものがあります。近年のパイプには、フィルターがあるものが多いようですが、フィルターがなくても、問題はありません。

また、システムパイプといって、アイルランドの「ピーターソン」の製品は、内部のジュース溜まりを防ぐ「ピーターソンシステム」や「ピーターソンリップ」と呼ばれる、舌表面に濃厚な煙が留まらず、舌が痺れない独特の構造を持っているものもあります。

また、全く違う方法ですが、アメリカの「カーステン」も、ジュース溜まり対策をしたパイプを製作しています。

パイプを選ぶとき大切なことは、チャンバー径で、19mm以上が好ましいということです。それは、人差し指がすっぽり入る大きさということで、指が入らないようでは、たばこをうまく詰められないからという理由です。

★ パイプの形状 ★

パイプには、様々な伝統的形状が存在し、中でも特に、スタンダードなブライヤパイプは、その外見の違いが多数あります。

その中でも、一般的なものを幾つか紹介します。

@ ビリヤード型 − ストレートで、扱い易いので万人向けです。



A ベント型 − 吸い口から、一旦落ちて煙道が伸び、火皿に至るものです。



B ローデシアン型 − ベント型の煙道に、そろばんの玉のような形の火皿を持つものです。



★ ブライヤパイプの加工法による違い ★

ブライヤパイプの場合、木目の加工法によって、表面が平滑に仕上げられた「スムース」と呼ばれるタイプ、ブライヤ表面を加熱した後、サンドブラストによって切削し、木目に沿った文様を浮かび上がらせた物で、「サンドブラスト」と呼ばれるタイプ、パイプ作家本人の手により、何らかの手法でブライヤ表面に模様を刻んだ「ラスティック」と呼ばれるタイプ等があります。

 スムース

 サンドブラスト

なお、スムース仕上げにおいては、縦方向に綺麗な柾目が出ている物を「ストレートグレイン」、一定方向に鳥目状の木目が大量に出ている物を「バーズアイ」、揺らぐような柾目が出ている物を「フレイムグレイン」、円周方向に柾目が出ている物は「リンググレイン」と称され、特に木理が細かく詰まった物は高級品されています。

       
   ストレートグレイン          フレイムグレイン               バーズアイ

★ パイプ煙草の吸い方 ★

パイプでのたばこの吸い方は、紙巻きタバコと違って、吸った煙は飲み込まず、口腔内でふかすようにして喫煙し、紙巻タバコのように肺まで入れません。その為、パイプタバコには、ニコチン・タールの量は表示されていません。(シガーも同様です。)

また、パイプは、紙巻タバコのように唇に軽く咥えるのではなく、「リップ」と呼ばれる部分を上下の歯で噛んで喫煙します。

パイプ喫煙をすると、葉が盛り上がったり、灰が燃焼を妨げたりするので「タンバー」という専用の道具で、軽く押し付けてやらなければいけません。



私が買ったのは、上のコンパニオンと呼ばれている道具で、灰をかき出す為のピック、タバコを押さえるタンパー、カーボンをかきとるナイフが付いたパイプ専用の必需品で、優れものです。

また、喫い終わったら、煙道にヤニが溜まりますので、マウスピースは外さずに、口元からモールクリーナーを差込み、煙道に着いた水分とカーボン、ヤニを取る必要があります。下の写真のように、50本ずつのパックになっているものが多いようです。



詳しいパイプたばこの吸い方は、「Sherlock Jr.」というHPで、よくまとめられていると思いますので、ご参照ください。

★ パイプたばこの選び方 ★

パイプ用のタバコの種類は、ネット通販で調べてもわかるように、非常に数が多い(1000種類以上)ので、どれにすべきか?迷いますよね。まぁ、答えは、「好み」ですので、実際に吸ってみて、自分がおいしいと思うものが良いということになりますね。

色々なパイプ煙草を吸ってみての感想をまとめた、「私的パイプ煙草の感想」というHPがありますが、はてして、ご参考になるかな?

とは言っても、基本的な呼び方があり、概ね、英国風(イギリスタイプ)・欧州風(ヨーロピアンタイプ)・米国風(アメリカンタイプ)の3種類に分類されていますが、その各々には、次のような特徴があります。

英国風  : 水分が多くて香料は使わないか極めて少なく、ただし、葉の方は銘柄によって癖の強いラタキア
        葉やペリック葉を使うなど、タバコ本来の香りを重視している。

欧州風  : やや乾燥しており、癖の強い葉は余り使われないが、香料に工夫が見られ香りが特徴的な
(芳香系)  銘柄が多い。

米国風  : 乾燥しており香料も様々で、軽めの風味のものから強い風味のものまでバリエーションが広い。
        欧州風に比べると香料はそれほど強くない。

これらのタイプでも、色々な葉の組み合わせですので、たばこ葉の特徴とブレンドの割合で、多くの味へと変化しています。その基本となるタバコの葉を取り上げておきます。

V・バージニア、B・バーレー、BC・ブラッキャベンディッシュ、L・ラタキア、P・ペリク、O・オリエント、 GV・ゴールデンバージニア、RV・レッドバージニア、C・キャベンディッシュ、DV・ダークバージニア、K・ケンタッキー、M・メリーランド等々がありますが、特に、太字にしているものが基本となっているものが多いようです。

  
      バージニア葉               オリエント葉               ラタキア葉

このパイプタバコの葉ですが、種類によって異なるものの、やや「しっとりと湿っている」ものが主流です。このため、パイプ喫煙をしていると、「ジュース 」と言われる、タバコの中の水分や唾液が、「チャンバー」下部に溜まることがあり、喫煙を非常に不愉快にさせます。

この「ジュース」発生のメカニズムについては、諸説があるようですが、葉の水分の多少ではなく、有機物である「たばこ」が、燃焼すると、C(炭素)と、H(水素)が、酸化して、CO2とH2Oが、発生しますが、そのH2O(水)がジュースになる というのが、有力です。

さて、どのパイプタバコを選ぶべきか????、こればっかしは、数が多くて、自分に最適なタバコを発見するのは、かなり難しそうですが、自分の好みのものを探し当てるのも、また楽しみなのでしょうね。

そこで、私は、ネット情報を元に、次のパイプタバコを買って試してみることにしました。

まず、イギリス系から、

ダンヒル マイミックスチャー965

生産国 : イギリス

V+L+O+C、パイプたばこの定番。(表示は、上記参照)
ラタキアのきめ細やかな芳香と喫味が特徴。

バージニア葉とトルコ葉のブレンドに、軽いラタキアの香り。
味わいがマイルドになり、ラタキア入門推奨銘柄です。

アルフレッド・ダンヒルの特別注文のブレンドの中で最も人気の高かったブレンドがこの“No.965”でした。


次に、ヴァージニア系から

サミュエルガーウィズ フルバージニアフレイク

生産国 : イギリス

選りすぐりのバージニアをブレンド。繊維質の密度の高い葉を使用。色はダータブラウンです。缶を開けた時、豊かな香り漂い、良質な材料を使っていることがが分かります。香りやエッセンス等を加えられていない、たばこ自体の持つ自然な芳香です。煙はやわらかく口腔内に広がり、ちょっと「ピリカラ系」のスパイシーさが爽やかです。よく揉み込んで喫煙する場合と、あまり揉まないで喫煙する場合は、強さが逢ってきます。フルボディが好みのスモーカーは、あまり揉み解さず火皿に詰めてください。ミディアムーストロングです。世界的に、人気が高い銘柄です。

そして、芳香系から、

ブルーノート

生産国 : ドイツ

マイルドなブラックキャベンディッシュと、上質なヴァージニアのミクスチャー。

熟成期間を長く取り、コクを引き出しています。フルーティー&バニラの香り

はてさて、私のセレクションは、どうだったのでしょうか? まぁ、たばこを吸ったことがない人に判定させること自体が、おかしいかな?(笑)

★ パイプたばこに関連する小道具 ★

文化というのは、主役だけでなく、脇役の道具があって、はじめて文化になりますよね。

ここでは、脇役で、目立たないけれど、必要な小道具を紹介します。

@ パイプスタンド (パイプを何本も立て掛けて置けます。)

A パイプレスト (喫煙中にパイプを一時休める時に使うと、パイプが乾燥して美味しく喫えます。)

B たばこジャー (タバコの水分や香りを完全に保ったり、マイミックスしたタバコを熟成させる為の保管
            容器です。)

C ポウチ (タバコと一緒に、コンパニオン、パイプを入れる携帯用のケースです。)

D コンパニオン (灰をかき出す為のピック、タバコを押さえるタンパー、カーボンをかきとるナイフが
            付いたパイプ専用の必需品です。)

E モールクリーナー (細い針金に綿などを巻きつけた棒状のもので、煙道の掃除に使います。)

F パイプリマー (ボウルの内側に付き過ぎたカーボンを削る時に使います。)

G マッチ (着火に必要です。古典的ですが、適しているようです。)

 パイプスタンド  パイプレスト

ポウチ、コンパニオン、モールクリーナー、たばこ入れ

パイプリマー   たばこジャー

 マッチ      レスト付き灰皿

これらの小道具は、すぐに必要だということではありませんので、気が向いたら、徐々に集めればいいのかな?と思います。最後に付けた「パイプレスト付きの灰皿」は、2つのパイプレストが使用でき、灰の処理に悩ますことも多いかと思い、意外と重宝するのでは?と思い、取り上げてみました。

タバコを吸わない私が、「私のたばこデビュー」で、煙管による刻みたばこに挑戦後、2度目のたばこ体験のレポートが出来る日を楽しみにしています。
                                               (記 : 2012年11月23日)

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