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中川浄益作?・唐銅製の建水

中川浄益(なかがわ じょうえき)作?、唐銅エフゴ建水(からかねエフゴけんすい)です。





大きさは、直径:約13cm、高さ:約10cmほどで、「浄益」の掻き印がありますが、中川浄益の作品とされるものには、怪しいものが、かなり出回っているようで、真作なのか?贋作なのか?わかりません。(ヤフオクに出品されているものは、ほとんどが贋作とといううわさもあります。)

ただ、私が調べた中では、本物ではないか?と思い、購入しました。

出品者からのコメントで、「祖父が所有していたものですが、それより前の祖先の代からあったものです。」ということですから、戦前のものであるとすると、戦中の金属供出を免れたものですので、良いものでは?と思ったのですが・・・・・・(笑)

★ 建水(けんすい)とは ★

建水(けんすい)とは、茶席中で、茶碗をすすいだ湯水を捨て入れるための器です。建水は、最も格の低い道具として、点前の際は勝手付に置かれ、客からは見えにくいところで使われ、会記でも、最後尾の一段下げたところに記されます。古くは「みずこぼし」といい、水翻、水覆、水建、水下などと書きました。今は、建水と書いて「けんすい」と呼びます。通称は「こぼし」といいます。

格下とみなされ、客側から目につかず、地味な存在ではありますが、「茶に近い 道具の第二位」とも言われており、大切な道具には違いありません。

次の建水は、最近のオークションで見掛けた本物と思われる中川浄益の作品で、形と刻印に注目してみました。



これに対して、私の建水の銘は、



明らかに、刻印が違いますよね。形の方は、利休好みエフゴ形で、よく似ています。

★ 建水の種類と特徴 ★

エフゴ形は、七種建水の一つで、建水の代表的な形です。鷹匠が用いる餌入れ、餌畚(えふご)に形が似ていることからこの名があります。袋形で上部が開いているのが特徴です。

七種建水
とは、「エフゴ」「棒の先」「槍の鞘」「箪瓢」「鉄盥」「差替」「大脇差」の七種類の形をした建水のことで、上部が開いた形の「エフゴ」がもっとも多く、材質は、唐銅製が本来でしたが、砂張・モールなどのほか、陶磁器のもの、木地の曲物などがあります。

○大脇差… 利休愛用の形といい、黄瀬戸で好まれた。
        いつも腰の傍らに置いたので、腰につける脇差に連想して名付けられたのでしょう。 
        胴が捻貫のようになっている円筒形で、やや背の高いもの。
○差替…   大脇差の小形。
○棒の先…  駕篭等の担ぎ棒の先端につける金具の形からの命名。
○槍の鞘…  槍の穂先にかぶせる鞘の形。
○箪瓢(たんぴょう)…  瓢箪を逆さまにした形。
○餌 畚(えふご)…  鷹匠がもつ鷹の餌入れの形。
○鉄 盥(てっぱつ)…  浅くて低い平建水。

  
     大脇差(黄瀬戸)               棒の先

★ 浄益の刻印いろいろ ★

幾つかの建水の刻印を見たのですが、下のものは、すべて怪しいのか?幾つかは、本物か?、ちょっとわかりませんね。(一説によるとヤフオクのものは、すべて贋作といううわさも・・・・)

     

真作保証品には、下のような刻印が押されているものが多いようです。

  

やはり、共箱があると、真贋はわかりやすいのですが、金属ですから、結構、簡単に後で、刻印できる ので、わかり辛いようです。

確かに、建水は、格下として扱われているようで、そんなにお高いものは、あまり見たことがありません。そういった意味では、気軽に使って、楽しみたいと思っています。

★ 中川 浄益とは 

中川 浄益(なかがわ じょうえき)は、千家十職の一つで、金物師(かなものし)の中川家当主が代々襲名する名称です。

元々は、越後国で甲冑・鎧を作っていましたが、茶道具を初めて手掛け た初代・中川與十郎(1559〜1622)が、紹益を名乗り、二代目浄益(1593〜1670)以降の当主は、浄益という名を継いで います。

当代は、第11代中川浄益(紹真 1920〜2008)が、父の10代の死去の後、昭和16年に継承しましたが、2008年に逝去されています。逝去後、まだ、12代を継いでいる方はいないようです。

★ 唐銅とは 

唐銅(からかね)とは、青銅の古称で、材料は銅と錫との合金が大半であり、それ以外に少量の鉛、ニッケル、亜鉛など使用されており、黒みがかっています。中国から製法が伝わったため、唐銅と呼ばれています。

注 : 青銅とは、銅と錫の合金で、ブロンズ、10円玉は青銅を使用しています。黄銅は、銅と亜鉛の合金で、ブラス、真鍮(しんちゅう)とも、言われており、5円玉に黄銅が使用されています。
                                              (記 : 2011年12月17日)

追記 :

こちらは、これまで、普段使いに使っていた鉄盥(てっぱつ)建水です。





大きさは、径:21cm、高さ:7cmと大き目の建水で、使い勝手が良くて、お気に入りです。

建水は、湯こぼしですから、大き目の、お湯をこぼさないものという用途が重要ですから、このような銅製で、口が大きいものは、建水に向いているのでは?と思います。
                                           (追記 : 2011年12月27日)

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