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樟田藤吉作、若狭塗(わかさぬり)の螺鈿(らでん)細工扇紋小箱と盆です。 大きさは、小箱が、縦約10×横約13,3cm 高さ約5,2cm、盆が、縦約13,5×横約16,8cmで、共箱付きです。 戦前のもので、煙草入れと盆のセットのようです。これぞ、若狭塗という作品で、卵の殻を計画的に撒いて、扇紋をうまく出しています。緑漆と黒漆を基本に、黄漆を薄く入れ、卵の殻だけでなく、青貝の殻も入れています。 箱裏書きの製造販売元の住所が、「若狭小浜町生玉」となっています。小浜町は、1951年に、周辺市町村が合併して、市制に移行していますので、少なくとも、1951年以前のものということになりますね。 近年、煙草の存在の影が薄くなっているせいだと思いますが、とても、お値打ち価格で手に入れることができて、ラッキーでした。 ★ 若狭塗(わかさぬり)とは ★ 若狭塗は、福井県小浜市を中心とする地域で作られている漆器で、特に塗り箸が有名で、全国の80%のシェアを持っています。江戸初期の慶長年間(1596年〜1641年)に、小浜藩の漆塗り職人の松浦三十郎が、「菊塵塗(きくじんぬり)」考案したのが始まりとされています。 その後、弟子によって「磯草塗(いそくさぬり)」があみだされ、万治年間に、現在まで伝わる方法の「卵殻金銀箔塗押(らんかくきんぎんぱくぬりおし)」技法が完成し、当時の小浜藩主・酒井忠勝が、これを足軽の内職として、若狭塗と命名し、保護奨励しました。 若狭塗の特徴は、卵の殻、青貝、マツの葉、ヒノキ葉、菜種等を使って模様を作り出していることで、これは、海底の様子をあらわしているそうです。 手法は、津軽塗に似ていますが、青・黄・赤の色漆を塗り重ねる過程で、卵の殻や貝殻を粉末にしたものを、ところどころに蒔きつけておくところに特徴があり、色漆や、透漆を重ねて、砥石と特殊な炭で研ぎ上げると、卵の殻や、色漆が、透漆の中から現れるというわけです。 また、若狭塗には、「箔置き」といわれている、金箔や銀箔を、色漆の間に挟んで入れるものもあり、下の棗のような、独特の優美な輝きを演出したものもあります。 若狭塗は、すべてが、手仕事による一貫作業 で作られているため、同じものはなく、1年も掛けて製作するため、堅牢で優美な漆器となっています。 現在、4名の伝統工芸士、30数名の従事者とで、伝統を継承していますが、一切、工業化をしていないこともあり、多くの伝統産業同様、後継者問題があるようですね。 (記 : 2013年3月24日)
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