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津軽塗のぐい呑み

津軽塗(唐塗)のぐい呑みです。









大きさは、口径:5.7cm、高さ:4.5cm、重さ:38.5gで、共紙箱、共布、栞付きです。

津軽塗の典型的な技法の、唐塗(からぬり)で仕上げられたぐい呑みで、漆器のぐい呑みは、数が少ないので、手に入って喜んでいます。

津軽塗は、弘前津軽塗商工業協同組合のような組合組織と、個人の職人・作家によって生産されており、このぐい呑みは、恐らく、協同組合の作品だと思います。

津軽塗は、俗に馬鹿塗(ばかぬり)ともいわれる、青森県弘前(ひろさき)を中心に作られている漆器で、江戸時代前期の寛文年間(1661年〜73年)に、津軽藩が、若狭より、塗り師池田源兵衛を召し抱えたことから始まったとされています。

津軽塗が、産業として形を整えたのは、明治時代初頭で、江戸時代に積み重ねられた伝統技術を土台にして発展しました。その後も多くの工人たちが創意工夫を凝らし、技術を磨き、今日の津軽塗を築き上げました。

現在、企業数:130社余り、従事者数:275名余りで、昭和50年に、経済産業大臣指定伝統工芸品に選定されています。

特徴は、その模様で、最初に漆ででこぼこの地を作った上に、数回も各種の色漆を塗り重ね、最後にまっ平らになるまで研ぎ出すと、でこぼこの谷間に残っている漆が断層を表すようになって、斑模様を作り出します。この技法を、唐塗(からぬり)といい、現在も最も多く生産されている技法です。

しかし、この技法を使うと、素地が堅いため、研ぎ出すのが、大変でしたが、津軽特有の天与の大清石砥石が県内で産出され、この砥石のお陰で手間が著しく軽減されたことが、津軽塗の名声を支えていられるわけということです。

津軽塗は、ヒバの木を素地に、約50の工程を経て完成します。木地に布を張り、漆下地で丈夫な漆器の基礎を作ります。この上に色漆を塗り重ね、研ぎを繰り返します。最後に上質な日本産の漆を用いて丹念に磨き上げ、堅牢で優美な塗りを作り上げます。

津軽塗の技法で、現代まで伝わっているのは、唐塗(からぬり)/七々子塗(ななこぬり)/紋紗塗(もんしゃぬり)/錦塗(にしきぬり)の四技法です。

唐塗は、津軽塗の基本で、髪漆(きゅうしつ)研ぎ出し変わり塗りで、独特の文様は、他の漆器には見られません。

 唐塗の文様

七々子塗の特徴は、模様をつけるために、菜の花の種を蒔き付けることで、菜種による小さな輪紋の集まりが、魚の卵を連想させる模様から、「七子」「魚子」「菜々子」「斜子」などの文字が当てられています。

 七々子文様

紋紗塗は、黒漆の模様に、もみ殻の炭粉を蒔き、研ぎ出して磨き仕上げされたものです。

 紋紗塗

錦塗は、ななこ塗の変化の一種で、ななこ地に黒漆で桜を唐草風にデザインした唐草や、菱形・稲妻型の紗綾形を描き錫粉を蒔いて錦を想わせるような華やかな技法で、高度な技術を要するため、製作できる職人さんも数少ないとのことです。

漆器の場合、どうしても、盆や、椀、菓子鉢、塗箸等が多く、酒器は少ないのですが、今回、津軽塗のぐい呑みをゲットできて、うれしく思っています。漆器の場合、陶器とは違って、口触りがなめらかですので、日本酒には合い、お酒もすすみそうです。(笑)

                     
                                                (記 : 2013年5月2日)

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