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一閑張の椿皿

京都・旭漆工房作、柿渋竹一閑張(かきしぶ・たけいっかんばり)の椿皿です。













大きさは、径:17cm、高さ:3cmほどの椿皿で、紙共箱付きです。恐らく、茶道の干し菓子盆として作られたのではないかと思っています。

竹製の芯に、和紙を張り重ね、柿渋を塗った後、透き漆を塗ったものです。アクセントとして、古書の紙を塗り残して、味わいのある作品になっています。

京漆・旭漆工房ですが、調べても良くわからなかったのですが、同様の一閑張の作品が、オークションに出品されていますので、一閑張を得意とする京漆器店だと思われます。

 重箱

★ 椿皿とは ★

低い高台を持つ漆器の皿を、椿皿といっています。一般的には、横から見たら、椿の花の形に似ていることから、茶人が椿皿と名づけたという説ですが、一方で、根来寺で、真ん中にたくわんを置いて、椿に見立てたから椿皿という説もあるようです。

★ 一閑張(いっかんばり)とは ★

一閑張(いっかんばり)とは、紙を器胎とし、これに漆を塗ったもので、一貫張と書かれることもあります。江戸時代に、日本に亡命してきた中国人の飛来一閑(ひらいいっかん)(1578年〜1657年)から、その名が付けられたという説がありますが、定かではありません。

軽くて、変形せず、紙胎の味が保有されることが特徴で、下地をせずに、和紙と漆を塗り重ねたものが、本来の一閑張です。

しかし、大きなものになると、木製や竹製などで、下地を作り、これに紙を張り重ねて、漆を塗ったものもあります。

また、小器物の場合には、型を作って紙を何枚も張り重ね、後で型から外して、仕上げる張り抜き法というのもあります。

一閑張に使う和紙は、日本楮(こうぞ)や、三椏(みつまた)を原料とし、糊は、不溶解性のなめくじ糊や蒟蒻(こんにゃく)糊が使われたということですが、今では、原料の入手が難しいですね。

産地としては、愛知県旧小原村(現豊田市)での生産が最も多く、京都、香川県、滋賀県(近江一閑張り)、高知県などがあります。

同様の作り方をする技法に、「乾漆」があります。乾漆と一閑張の違いは、材料が、和紙か、麻布か?の差だけで、古物の仏像などでは、見分けが難しいものもあります。「乾漆のぐい呑み」参照)

最近では、柿渋一閑張りが、比較的に簡単に出来るので、全国各地で、一閑張り教室があって、趣味としての一閑張りも普及してきています。

尚、最近では、「ボテ張り」といって、ボンド・工業用のりや米のり等で和紙等を張り作るものを、一閑張としているところもあるようですので、注意が必要かと思います。



こちらは、ネットで見つけた、スーパーのかごに一閑張りをしたものです。下地は、プラスチックですが、紙を重ね張りして、大変身ですね。(笑)

★ 一閑張り細工師 飛来一閑 ★

千家十職(せんけじっそく)といって、茶道に関わり、三千家に出入りする塗り師・指物師など、十の職家(しょっけ)を表す尊称があり、明治時代中期頃から、千家十職と称されるようになりました。

その十職の1つに、一閑張り細工師飛来一閑家があります。

始祖、飛来一閑(ひらいいっかん)は、明の学者で、古代中国に伝わる乾漆工芸の奥義に達し、印可を受けた技術の持ち主でもあり、徳川時代初期の寛永6年(1629年)、戦乱の中国大陸から安住の地を求め日本に亡命してきました。

日本の良質の和紙に目が留まった飛来一閑(ひらいいっかん)が、中国古来の脱活乾漆の技法を基礎に、和紙を主原料とした独自の技法を考案しました。その詫びた手法を愛した千家3代宋旦が、「飯後軒」の号を与え、以来、当代の16代に至るまで、飛来一閑家が、侘び茶の湯道具を作成しています。

 女性が、16代飛来一閑さん、男性がご主人です。

尚、飛来一閑家は、2代目の時に、茶道具を作る飛来一閑家と、生活用品を作る飛来一閑家に分かれ、生活用品を作る飛来一閑は、霊元天皇より「泉王子(せんおうし)」の名匠を受けて、江戸に移り、以後、「泉王子(せんおうし)」という名前を代々襲名し、現在14代目まで至っています。

 14代泉王子さん

ちょっと、ややっこしいので、ご注意ください。(笑)
                                               (記 : 2015年2月12日)

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