年月を経るごとに、仕上げ塗りされた透漆が透明度を増し、
描かれた文様が色鮮やかに浮かび上がるのが、他の産地にはみられない、
八雲塗の最大の特徴です。
下の写真は、仕上がり直後の八雲塗と、3年後の八雲塗です。このように年月を経ると、全く色彩が変わってきます。私の筆箱は、まだ、仕上がり直後のような色をしています。今後、どのような色彩が現れてくるのか?楽しみです。
(出展:
八雲塗やま本HP)
八雲塗は、昭和57年(1982)3月、島根県ふるさと伝統工芸品に指定され、椀、鉢、菓子器など日常の器から、座卓等の家具まで、巾広く製作されています。
(記 : 2013年5月24日)
追記 :
八雲塗の
乱菊香合を入手しました。
大きさは、径:7.2cm、高さ:2cmほどの木製の香合で、共箱、共布(印なし)、栞付きです。
菊紋の中心に、
青貝を埋め込んだ螺鈿が施されています。島根県
松江市北堀町にある
山根漆器店の制作です。松江市においては、八雲塗の製作会社は、この山根漆器店と、山本漆器店の2店だけとなっています。(他に、出雲市の「漆芸のわたなべ」があります。)
栞より、
八雲塗の特色は、各種の彩漆を用いて模様を描き、その上に良質の天然漆を塗り磨くという工程を数回繰り返し仕上げるため、完成時には、
漆の下に模様の色が沈んで全体が黒っぽく見えますが、ご使用と、歳月が経つにしたがい、
浮き上がるように鮮明になってくる。
ということです。
確かに、まだ、この香合は、模様が沈んで見えますので、共箱の中に入れて、長く保管されていたものと思われます。紫外線に当てて、模様が鮮明になってくるのを楽しみたいと思っています。
(追記 : 2014年7月18日)