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ミャンマー漆器のぐい呑みと香合

ミャンマー漆器存清(ぞんせい)のぐい呑みです。











大きさは、径:5.7cm、高さ:4.7cmで、蒟醤 (きんま)と、存清(ぞんせい)という技法で作られています。かなり軽いので、竹木地だと思います。(存清については、「漆器のはなしー存清」参照)

ヤンゴン国際空港の売店で買いました。(お値段は、US$15です。)

ミャンマー漆器の多くは、蒟醤(きんま)という技法で作られていますので、買った時には、蒟醤だと思っていたのですが、ルーペでよく見てみると、線が彫り放しで、へこんでいますので、存清の技法との併用ということになります。(蒟醤は、彫り込んだ後、色漆を充填して、研ぎ出します。)

恐らく、このぐい呑みは、下地の上に、色漆を塗り、その上に黒で仕上げ塗をした後、まず、細い線を彫って朱色を出し、白っぽくみえる部分は、深彫していますが、恐らく、竹木地を直接彫っているようです。

このぐい呑みは、帰り際に、ヤンゴン空港で買ったのですが、その時にはあまり意識していなかったのですが、帰国後、よく観察してみて、存星であることに気が付きました。

通常のミャンマー漆器は、蒟醤(きんま)が多いので、ちょっと意外でした。

こちらは、蒟醤(きんま)の香合です。







大きさは、5.3cmX5.3cm、高さ:2.7cmです。小物入れのようですが、香合としてもいいなと思い、購入しました。

こちらは、国立博物館の売店で買い、お値段は、400円程度でした。

この香合は、蒟醤(きんま)という技法で作られており、黒漆で仕上げ塗をした後、線彫りし、朱色、緑、黄色の色漆を塗り込み、研ぎ出して、仕上げています。

こちらも、蒟醤(きんま)の丸香合で、キンマ(蒟醤の語源とされている)と呼ばれているものです。







大きさは、径:5cm、高さ:3cmです。

こちらも、国立博物館の売店で買い、お値段は、100円くらいでした。

このキンマを、タイで探していたのですが、中々見つからず、どこに行けばあるのかな?と思っていたら、ミャンマーの国立博物館の売店で見つけ、知人へのお土産用も含めて、4つを買いました。

蒟醤(きんま)は、中国の古代漆器の線刻技法(沈金) が東南アジアに伝播し、タイで、金粉の代わりに色漆を使った技法が確立され、定着したものとみられています。タイ、ミャンマーで伝統工芸として継承されていますが、私の印象では、ミャンマーの方が盛んなようです。

タイでは、キンマの葉に水溶きした石灰を塗って、ビンロウの乾燥した実を包み、ガムのように噛む風習があります。これをキンマークと称し、この嗜好品を入れる容器と、更に容器に施された漆芸技法を含めて「キンマ」と呼ぶようになりました。

★ ミャンマー漆器 ★

ミャンマー漆器(現地語でユン(Yun))は、ミャンマー中央部のバガンという都市が主要な生産地で、生産全体の90%を占めています。ミャンマーで最古の歴史を持ち、バガン王朝の12世紀まで遡ることが出来、延々と手作業の伝統産業が継承されています。

ミャンマー漆器には、6つのタイプがありますが、そのうち無地漆器彫り込み漆器および金箔細工が主要で総生産額の95%以上を占めています。その他に、成形レリーフ漆器、ガラスモザイクと金箔細工の漆器、乾漆があります。

漆器に使用される生漆は、シャン州に生育する漆の木から取られ、木地は、主に、竹と軟木が使われています。高級品の木地は、竹材を使用しているとのことです。

ミャンマー漆器に使われている文様は、独自に進化・発展させたもので、彫り込み型や、型紙は一切なく、すべて、職人から職人へと業が継承されています。



上の漆器は、ヤンゴン市の最大のマーケットである、ボージョーアウンサンマーケットで撮影したものですが、このような家具に至るまで、キンマの彫り込みがなされた漆器が、所狭しと並べられて売られています。

それらが、すべて手作りですから、素晴らしいの一言です。

漆器は、耐用年数も長く、大切に使えば、3代に渡って使えるといわれています。現地の家庭にも広く親しまれており、それが、安価であることを支えているような気がします。

★ バガン遺跡 ★

アンコールワットやボロブドゥールと並ぶ、世界三大仏教遺跡に、バガン遺跡があります。

ミャンマー政府の保全活動が不十分ということで、世界遺産にはなっていませんが、確実に、世界遺産級の遺跡です。

総数2,000とも5,000とも言われるパゴダ(仏塔)が、あちらこちらからニョキニョキと突き出していて、一目で、バガンだとわかるほど強烈な印象を残すのが、バガン遺跡です。

これらのパゴダが建てられたのは、10〜14世紀の バガン王朝の時代で、パゴダとは、「釈迦の家」であり、この時代には、数万〜数十万のパゴダが建立されたと言われています。

しかし、やがて13世紀後半に、モンゴル(元)が来襲するとバガン王朝は滅び、パゴダ建設も下火になりましたが、人々の心から仏教が消え去ることはなく、現在もミャンマーの人口の9割が仏教を信じています。


                バガン遺跡のパゴダ群
                                          (記 : 2013年6月11日)

追記 :

ミャンマー漆器の本場、バガンにある工房を訪れて、その作成現場を見てきました。「バガンでミャンマー漆器を学ぶ」をご参照ください。



最終更新日 : 2015年2月2日

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