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大内塗の壺形花器

大内塗(おおうちぬり)の壺形花器です。











大きさは、高さ:13cm、径:15cmで、共桐箱付きです。恐らく、桑原大内塗店の製品だと思われます。

模様は、定番の弁柄漆を上塗りした後、黄・緑色の彩漆(いろうるし)で秋の草を描き、雲の形を描き入れ、家紋の(大内菱)を金箔で貼り付けたものです。

この文様は、岩手の秀衡塗や浄法寺塗などに見られ、それらを参考にしてデザインしたものと思われます。ただ、秀衡塗等には、彩漆で加飾することはないので、黄色や緑の色漆で草花(主に萩、桔梗、薄、菊)と雲の模様を描いた部分は、会津塗を参考にしたものと思われます。

そうして完成した大内文様 は、華やかな中に、どこか枯れた趣のある文様となっています。

私の花器のデザインは、典型的な大内文様ですが、後ろの部分に模様がない為か?、正面の模様は、通常の余白を多く取るデザインよりも、秋の草がたっぷりと大きく描かれています。

 

 

山口市道場門前にある桑原大内塗店

店主の小笠原貞雄(貞峰)さん 


★ 大内塗 ★

大内塗(おおうちぬり)は、山口県山口市で作られている漆器で、室町時代の初期、南北朝時代中頃の1360年、中国地方の氏族の大内氏24代弘世(ひろよ)が 山口に移って居とした際に、京都から漆塗りの職人を山口に呼び寄せて、漆器を盛んに作らせるようになったのが始まりといわれています。

その後、1551年に至るまでの200年間に渡って、大内氏の繁栄は続き、山口は、「西の京都」といわれるまでになっていました。

中国との貿易の権利を独占していたため、漆器は朝鮮や中国への重要な貿易品となり、高品質で華やかな「大内椀」や、「雪舟椀」と呼ばれる製品も作られるようになりました。

しかし、大内氏が滅びると共に、貿易も終わり、江戸時代には、椀物を中心に、細々と生産が続けられていました。明治に入ると、会津塗や、秀衡椀のデザインを参考にして、文様に工夫を加えたことなどにより、再興に成功しています。尚、大内塗の名称は、明治以降に使われるようになりました。

大正時代に入ると、「大内人形」が開発され、昭和に入って、大内塗の技法で作られるようになると、需要も拡大していきました。そして、1989年に国の伝統工芸品の指定を受けています。現在も、9社程度の工房で、継承されています。

大内塗の特徴は、まず、渋下地に弁柄漆を上塗りした渋い朱色にあります。通常の朱漆と比べて、やや黒味を帯びた独特の朱色で、大内朱と呼ばれています。

文様は、大内朱の地塗りの上に、黄緑色の彩漆(いろうるし)で秋の草を描き、雲の形を描き入れ、家紋の(大内菱)を金箔で貼り付けた独特のもので、一説には、50年間山口に住んでいた雪舟のデザイン?ともいわれています。



 ↑ 伝統の大内文様の重箱で、秋の草、雲の形、家紋の(大内菱)の3つが合わさって大内文様です。



 ↑ 明治期の吸い物椀ですが、現在のデザインではなく、秀衡椀のデザインに近くなっています。(秀衡塗については、「秀衡塗の小吸椀・箸・箸箱 」参照)

★ 大内人形 ★

京都に憧れ、京風の町作りを進めた、24代目大内弘世は、京よりしい姫を妻として迎えましたが 姫があまりにも都を恋しがるので、慰めようと都より多くの人形師を呼び寄せ、「人形御殿」と呼ばれるほど、屋敷中を、京風の人形を飾って喜ばせたそうです。これが、大内人形の起源とされています。

 大内人形

元々は、木彫りの人形に絵具で色付けした素朴な人形だったようですが、昭和30年代から、漆に蒔絵や金箔を貼るようになり、華やかな人形になっています。

一説には、桑原大内塗店の小笠原貞雄さんが、昭和34年に、皇太子殿下(現天皇陛下)にご成婚記念品を献上した際に作り上げた大内人形が広まって、現在の大内人形の基本となっているそうです。

大内人形は、起源となった大内弘世氏の妻への気使いの逸話から、「夫婦円満」、「家庭平和」の守り神として愛され続けています。
                                                (記 : 2013年9月18日)

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