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宮崎漆器の彩色堆錦丸盆

宮崎漆器彩色堆錦龍紋丸盆(さいしょくついきん りゅうもん まるぼん)です。













大きさは、径:36cm、高さ:2.5cmの丸盆で、見事な龍が描かれています。

この手の堆錦の作品を作り出す職人さんも少なくなっており、需要もあまり高くないことから、これほどのものは、今後、消え失せるのではないか?と思い、購入しました。

琉球漆器の技が存分に使われており、彩色の数も多くて、かなりの力作だと思います。

宮崎漆器は、太平洋戦争で、沖縄から疎開してきた琉球漆器の職人さんが、はじめたものですが、すでに、戦後、60年も経っており、当時の職人さんも天寿を迎えられている頃かと思います。

伝統工芸士の継承者がいるようですが、デザイン的には、近年、下のお盆のようなモダンなデザインのが好まれるようになって、龍紋は、少なくなってきているようです。

貴重な美術品だと思いますので、大切にしたいと思っています。



★ 宮崎漆器とは ★

宮崎漆器とは、宮崎県宮崎市大島町で作られている漆器で、太平洋戦争末期、沖縄から疎開移住してきた職人が もたらした琉球漆器の流れをくむ漆器です。

太平洋戦争の末期、多くの人々が、沖縄等南西諸島から強制的に疎開させられましたが、その人々の職業の場として、宮崎県は、昭和32年に、県営授産場を設置し、移住したきた人の中に居た、琉球漆器の技術者を中心にして、漆器製作を始めたのがはじまりです。

宮崎漆器の特徴は、頑固なまでに、伝統的な製法にこだわっていて、宮崎のミズメザクラ、ケヤキ、イスなどの木を刳り貫いて作られた木製生地に、何度も下地塗料(砥の粉、漆、その他の塗料を混合したもの)を塗り重ねした堅牢な下地に、漆を上塗りし、さらに堆錦(ついきん)といわれる絵柄付をおこなっていきます。完成までに最低でも3ヶ月は掛かります。

堆錦とは、漆に顔料を混合し、ゴム状に延ばした漆を細かく切り抜いて器に貼りつけていくもので、描くわけでも、転写するわけでもなく、パーツを貼り合わせて、図案を作り上げていくものです。

琉球漆器でも、堆錦を使いますが、宮崎漆器の色漆を使った堆錦(ついきん)は、琉球漆器よりも派手な印象を受けますね。

 宮崎漆器

下の琉球漆器は、私が所有するものですが、シンプルに、堆錦の色は、黒だけになっています。(「琉球漆器の黒堆錦鳳凰紋丸盆」参照)



宮崎漆器は、特に、朱塗りの色が冴えています。これは、宮崎の高温多湿の風土が、漆の乾燥に最適であるからと考えられています。

宮崎漆器は、古来の琉球漆器の製法にこだわった高級漆器ですので、高級贈答品として、全国の百貨店で人気はあるものの、バブル崩壊以降は、官公庁の記念品などにも自粛が広まり、売り上げがかなり落ち込んでいるようです。

しかし、売上げを気にして、安価な合成漆器に走らないのがいいですね。安価な漆器を生産し始めると、結局、会津塗や、紀州漆器(最近は、本物回帰に移っているようですが・・・)のように、漆器全体の評判を落としてしまいます。

現在、宮崎漆器は、宮崎市大島町の社会福祉法人宮崎県大島振興協会で製作されています。

 宮崎県大島振興協会

漆器は、陶磁器に比べて、軽いこともあって、皿立てに立てて飾っておくと、地震などが来た際に、倒れてしまいます。実際に、琉球漆器が地震の際に落ちてきて、漆器の方は大丈夫だったものの、皿立ては、破損してしまいました。

そこで、壁に飾ってみては?ということで、和室の鴨居の上に、琉球漆器と、宮崎漆器を掛けて、飾ってみました。



これであれば、地震でも落ちてくることはないと思います。

尚、この2つを飾る際に気が付いたのですが、琉球漆器の素材は、かなり軽いということです。デイゴ材というのは、とても軽い材料なんですね。一方で、宮崎漆器の材料は、しっかりと重くて、はっきり違いが出ていました。

ところで、皿掛けですが、「JES プレートハンガー No.4」というのを使用しました。



東急ハンズが扱っていますが、楽天市場で買うことができます。シンプルな作りながら、1.2kgの重さのものまで掛けられ、1個、367円ということで、中々の優れものだと思います。

                                            (記 : 2014年12月9日)

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