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金剛石目塗の群雲紋花瓶

鳥羽硬忍作、金剛石目塗(こんごういしめぬり)の群雲模様の花瓶です。









大きさは、9cmX9cm、高さ:29cmで、共箱付きです。

金剛石目塗 は、初代鳥羽硬忍が、大正13年に生み出した手法の静岡漆器ですが、初代のものかな?と思いますが、共箱が新しく見えますので、ご子息の鳥羽鐐一さん、又は、鳥羽俊行の時代のものかもしれません。

群雲模様 は、金剛石目塗でも、定番の模様で、価格的にも最上級ですので、大切にしたいと思っています。

★ 金剛石目塗とは ★

金剛石目塗(こんごういしめぬり)は、大正13年に、静岡県の無形文化財に認定された漆器で、初代硬忍鳥羽清一)が、漆器制作の下地に、砂を使う、「砂の蒔地」による画期的な技法を使ったのがはじまりとなっています。

この技法の特長は、素地(木製品など)に、漆と良質の砂 を使って、たいへん堅牢な下地層を作ることにあり、漆を塗り重ねることにより、美しい深みのある艶をもち、そのうえ熱や水にも強く、実用的にも優れたものです。

砂の蒔地」は、近くの安倍川の川砂を篩い分けし、素地に生漆を揮発油で溶かしたものを刷毛引きして、この砂を粗いものから蒔いていき、最後に一番細かい砂を蒔きます。地研ぎは、下地面に生正味漆(きしょうみうるし)を薄く刷毛引きして、漆の乾かない内に金剛砥で平らに研ぎます。

砥の粉と水を最後まで使わないため、非常に堅牢な下地になり、歴史的にも、全国的にも、金剛石目塗だけのものとなっています。

 鳥羽漆芸

★ 静岡漆器(駿河漆器)とは ★

静岡漆器は、駿河漆器(するがしっき)ともいい、静岡県静岡市で作られている漆器で、室町時代から、「中川大工」と呼ばれた職人が、中川椀と呼ばれたお椀などを盛んに作っていたのがわかっていますが、漆器の起源は、よくわかっていません。

江戸時代の初め、徳川家康の駿府城築城や、家康の死後、三代将軍家光が、家康を祀るため、久能山東照宮や浅間神社の造営を命したことなどから、全国より、腕の良い様々な分野の職人が集めらました。これらの職人が、指物技術と同様、漆塗りの技術を伝え、産業として発展しました。

駿河漆器は、享保年間(1716〜1735年)の八代将軍吉宗の時代には、幕府の保護奨励をうけ、販売経路も広がり、参勤交代の大名たちに土産品として好まれました。

また、文政11年(1828年)頃には、蒔絵(漆器に漆を使って金銀の粉などをまき、絵や模様を描いたもの)の技法が取り入れられています。

さらに、開国とともに海外へも輸出され、慶応3年(1867)4月、パリ万国博覧会に出品するなど、国内外へその名を広め、当時の輸出漆器の大部分を独占していました。

明治に入って、紛い下地(まがいしたじ)によるコストダウンと納期短縮によって、一時的には生産額も増加しましたが、粗悪品によって、結局は、内外の需要者の信用を失って、減退の一路をたどりだし、大正中期には、漆器産地としての地位を失ってしまいました。

漆器の大産地の面影もなくなってしまった大正時代後期、鳥羽清一によって、本堅地に勝るとも劣らない砂の撒地を下地に使った堅牢な金剛石目塗なる漆器が出来上がり、再び、静岡漆器が、注目されるようになりました。

金剛石目塗以外にも、虹輝塗や浮島塗、蜻蛉塗(せいれいぬり)、珊瑚塗などの変り塗りが開発され、静岡漆器の特徴となっています。

 静岡漆器いろいろ

こちらは、初代鳥羽硬忍(清一)作、金剛石目塗巻莨セット(灰皿は欠品)です。

金剛石目塗













大きさは、盆が、幅:19.6cm、長さ:33cm、高さ:1.7cm、煙草入れが、12cmX10cm、高さ:4.5cm程度で、共箱、栞付きです。

残念ながら、灰皿がありませんが、恐らく、鶏冠石 (けいかんせき)に似ていることから付けたのだと思いますが、「鶏冠」仕上げ になっていて、恐らく、この模様が不良品と思われたのと、盆に煙草の焼け跡があるからだと思いますが、なんと開始価格の100円で落札できました。

 鶏冠模様

 鶏冠石

お安く手に入れることが出来ましたが、貴重な作品ですので、大切にしたいと思っています。
                                               (記 : 2015年2月25日)
最終更新日 : 2015年4月18日

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