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広島市・宇品地区長屋

私の父方のおばあちゃんは、広島市宇品地区に住んでいました。私の父親の実家です。

そこは、広島でも、典型的な下町地区で、戦前から狭い路地に、「長屋 」が並んでいました。

私が子供の頃には、何とも思っていない光景でしたが、久しぶりに法事で、訪れると、今では、その多くが、マンションに開発されていたり、新しい家に建て替えられていたりして、数は、激減し、残っているものでも、廃屋となって、人が住んでいないものが多くなっていました。

もう、完全に消滅してしまうのも時間の問題と思いましたので、父親の実家の通りで、唯一残っていた長屋を撮影しておきました。

広島・宇品の長屋 広島宇品地区 長屋

前面の道路は、2.4m程度で、車では、上級者でないと通れないような路地に、向かい合って、12〜20軒程度でしょうか?間口3間、奥行き8間くらいでしょうか?このような木造の家が、昔は、壁を付け合って、ずらりと並んでいました。

間取りは、2階建てですので、4Kくらいあったのではないか?と思います。それほど狭い家ではないですね。私は、夏休みに行ったことが多かったのでしょう、2階の出窓に、腰を下ろして、夕涼みをした記憶があり、ちょっと風情があるな!と感じていました。

おばあちゃんの家は、この通りの角地にありましたので、少し、この間取りよりは広くて、当時の借家の我が家と比べると、大きかった記憶があります。おばあちゃんは、一部の部屋を部屋貸しして、賃料収入を得ていたようです。

家と家を間仕切る壁は、共同の壁を使っています。まさに、隣と隣が引っ付いていますので、近所付き合いは、自然に密になっていたと思われますね。

広島市・宇品地区は、所謂、「ゼロメートル地帯」で、海面よりは、下がったところに街がありますので、ひとたび豪雨になると、床下浸水や、床上浸水は、しょっちゅう起こっていました。

近くにあるドブ川から、水が溢れて、住宅へ浸水するパターンです。

今では、ドブ川も下水管にとって代わって、強制排水していますので、もう40年くらいは、浸水の被害がなくなっていると思います。

こういった広島の下町の長屋の光景が、もっと残っていないものだろうか?と、一生懸命、ネットで探したのですが、中々、出てきませんでした。

そこで、日本の他地区のものを参考にしたいと思います。



この長屋のパターンは、今でも、残っているところも多いと思います。

私が、経験したのは、大阪市住吉区の友達の家にお邪魔した時のもので、まさしくこういったパターンの長屋に、私の大学時代の友達は住んでいました。

どこからともなく、「帰ってきたの?」という声が聞こえてきて、長屋全体が、家族的な雰囲気んだな!と感じたことを覚えています。間取りも多いし、どちらかというと、「富裕層向け?の長屋」ですね。(笑)

それでも、間口は、3間ほどですから、広島・宇品の長屋と大きさは、あまり変わらないのかもしれません。



こちらは、「貧困層向け?長屋」ですね。2間の間口に、奥行きも6間程度でしょうから、40m2くらいの住宅ですから、2Kくらいの間取りだと思われます。

私が、小学校3年生まで住んでいた広島市霞町の借家も、同様の大きさでしたから、「貧困層向け」というのは、失礼で、「一般市民向け」とすべきですね。(笑)

長屋」というのは、都市部で、土地を有効利用しようとして、発生したものです。発想的には、京都の「町屋造り」なのでしょうが、江戸時代に、江戸で定着したものが、各地の都市部へ広まっていったのではないか?と思われます。

しかし、その町屋造りの発想も、中国の影響が大きいと、私は、考えています。今でも、中国や東南アジアの多くの商業用施設では、6mX20mが1ブロックの大きさの単位として、長屋を形成する建物を作っています。
商売のしやすい大きさ、効率的な建物の建設コスト、土地の有効活用に、中国人の知恵が活かされていると考えています。

日本の住宅事情は、「長屋」→「団地」へと移っていきました。そして、現代は、「団地」→「マンション」となってきています。400年以上も続いたと思われる「長屋」が、絶滅する前に、「残しておきたい昔の姿」として、1枚の写真をアップロードしておきました。
                                               (記 : 2011年1月27日)

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