電気窯では、ほとんどのものが、酸化焼成仕様になっていますが、磁器焼成や、辰砂釉などの釉薬では、還元焼成により、発色しますし、備前焼の桟きりや、珠洲焼では、還元焼成の焼き締めをします。
酸化焼成だけでなく、還元焼成もやってみたくなるのは、自然の摂理です。
そこで、電気窯での還元焼成のやり方
を取上げますが、電気窯での還元焼成は、ヒーター線の寿命を縮めますので、注意が必要です。(「電気陶芸窯の選び方」参照)
★ 還元焼成の方法 ★
電気窯は、基本的には酸化焼成仕様ですが、サヤ鉢と炭などを使った還元焼成も出来ます。作品と炭、藁、籾殻などを一緒にサヤ鉢に詰めて、そのまま電気窯の中に入れて焼成します。
炭などが燃焼する際に発生する炭素ガスによって、サヤ内が不完全燃焼状態になり還元がかかります。炭や藁などの量や置く場所などでいろいろな還元雰囲気になり、楽しめます。
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サヤ鉢を準備するサヤ鉢の底に、底が隠れる程度の厚みに酸化アルミナや珪砂などを敷きます。酸化アルミナや珪砂は、溶けて流れた釉薬がサヤ鉢の底に付着するのを防いでくれます。
作品に景色をつけるために、籾殻や貝殻、ワラなどを一緒に入れたりする事もあります。 |
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作品を詰めるサヤ鉢の中に作品を詰めて、作品の周囲に炭を置きます。
炭の置く場所や量によって還元雰囲気がずいぶんと変わってきます。作品から離して少量の炭を置けば中性〜弱還元、逆に作品の直ぐそばに大量の炭や木片を置けば強還元〜炭化になります。工夫次第で様々な還元焼成が楽しめます。
1回に使う炭は、30〜60g程度で、直接作品に当たらないように、写真のように、素焼きの器に炭を入れるといいようです。 |
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サヤ鉢に蓋をする作品を詰めたサヤ鉢に蓋をします。通常は、棚板を蓋として使用しますが、作品が大きい場合は同じサイズのサヤ鉢を上下に組み合わせて蓋として使用したりする事もあります。
サヤ鉢に蓋をする事でサヤ鉢の中だけが還元雰囲気になり、電気窯のヒーター線への負担が軽微になります。(重要) |
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電気窯に窯詰めするサヤ鉢に蓋をしたまま電気窯に窯詰めして、焼成をスタートします。
サヤ鉢を窯詰めした炉内に空いたスペースがあれば、他の作品を通常のように窯詰めして焼成する事も出来ます。
炉内全体は、非常に弱い還元〜中性雰囲気になっています。 |
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還元焼成が完成電気窯の焼成が終了すれば完成です。
サヤ鉢の還元焼成で、一般釉薬の還元焼成、還元焼締、炭化焼締、磁器焼成などが、楽しめます。 |
還元焼成は、ヒーター線に負荷を与えますので、サヤ鉢や、棚板で、蓋をすると、窯の寿命を延ばすことができますので、必ず、実行した方がいいようです。
市販のサヤ鉢(外寸サイズ240*240*140mm)
酸化焼成だけでも、もちろん陶芸は楽しめますが、やはり、色々とやってみたくなるものです。還元焼成の方法も知っておいて、損はないでしょうね。
(記 : 2010年5月24日) |