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郷原漆器のぐい呑みと雑煮椀

2015年4月14日に、岡山県真庭市蒜山(ひるぜん)にある、「郷原(ごうはら)漆器の館」を訪れた際に買った、郷原漆器のぐい呑みです。









大きさは、径:55mm、高さ:65mmほどの、花塗りのぐい呑みで、紙共箱、栞付きです。

材料は、ヤマグリが使われていて、朱漆で塗られていますが、木目が薄く見える作品です。

郷原漆器は、大正末期から、昭和初期に生産のピークを迎えましたが、その後、衰退し、終戦後、途絶えていましたが、平成元年に復活に取り組んで成功し、再興郷原漆器となっています。

郷原漆器の館は、平成8年に完成した郷原漆器製作の拠点で、1階が木地つくりの作業スペースで、2階に、塗りの作業スペースと、展示・販売室があります。

展示室には、明治期の郷原漆器などが展示されていて、沈金の作品が多く展示されていました。

また、材料のヤマグリの芯の部分を刳り貫いて作る工程も展示されていて、わかりやすい展示となっていました。

販売されている作品は、そんなに多くはなくて、私がコレクションにしているぐい呑みは、3点しかなかったのですが、盃タイプではなく、ぐい呑みタイプのこの1品を選ばせてもらいました。

選んだ漆器を包んでいただいている間、お話を少しさせてもらいましたが、再興する際には、もう郷原漆器の伝統を受け継ぐ人は残っていなかったので、1からのスタートとなったということでした。ぐい呑みを包んでいただいた方は、山中漆器で修業して、こちらに来たと話されていました。





★ 郷原漆器とは ★

郷原漆器(ごうはらしっき)とは、岡山県真庭市蒜山西茅部部の郷原地区で作られている漆器で、明徳年間(1390〜1394)に始まると言い伝えられています。

江戸時代の記録によれば、年間に40万点を生産していたとされていて、作られた漆器は、大山街道から、主に、山陰地方に出荷され、美しく丈夫で安価なことから「郷原輪島」と呼ばれていました。

生産は、大正末期から昭和初期にピークを迎えますが、徐々に衰退し、昭和20年の終戦を境に、一時生産が途絶えましたが、関係者の熱心な研究と協力で、平成元年に見事、復活を遂げています。

特徴は、木地にヤマグリを使用し、芯持ちといって、芯の部分を中心に轆轤引きをしますので、よく見ると、中心から、年輪のようになっているのがわかります。

実は、このことは、翌日行った、真庭市勝山の骨董店の店主に教えていただきました。

かつての郷原漆器は、全体に朱漆を塗り、下地は、柿渋下地、装飾は、沈金が主でしたが、現在のものは、下地を、より堅牢な「布着せ本堅地」、外側は、木目を見せるために、透き漆仕上げにしているものが多くなっています。

また、高台内は、黒漆塗りのものがほとんどだったような気がします。

★ 明治期の郷原漆器をゲット! ★

「郷原漆器の館」を訪れた翌日、真庭市勝山(かつやま)に行って、ぶらぶら歴史保存地区を歩いていたら、骨董店があって、そこで、見つけた郷原漆器の雑煮椀です。









大きさは、径:12cm、高さ:9.5cmほどの雑煮椀で、沈金で装飾されています。栗材で出来ていますので、ちょっと、持った感じが重く感じます。

この骨董店には、漆器のお品が結構ありましたので、「郷原漆器は、ありますか?」と店主に尋ねると、木地をしっかりみて、これは、「郷原漆器です。」と、これを手渡してくれました。

前日、明治期の郷原漆器を、郷原漆器の館で見ていましたので、すぐに、これだなとわかりました。

店主曰く、「郷原漆器は、必ず芯取りしているので、中心から、年輪のように木目が見えるのが、郷原漆器だ」と教えていただきました。

しかも、沈金で装飾されていて、「郷原漆器に蒔絵はない」とも話されていましたので、なるほど、郷原漆器の館に展示されていたものが、沈金だけだったことを思い出しました。

真庭市勝山には、高田硯を見に行ったのですが、思わぬお品を偶然ゲットできて、ラッキーでした。

旅行から帰ってきて、翌日の朝食に、フランス料理のポトフを作って、郷原漆器の雑煮椀に盛ってみましたが、洋食にも合いますよね。(笑)



                                               (記 : 2015年4月29日)

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