再興湖東焼(さいこうことうやき)の一志郎窯、中川一志郎作の染付茶碗です。
大きさは、径:12cm、高さ:8.3cm、高台径:5.5cmで、共箱、栞付きです。
染付で、恐らく彦根城を描いたものだと思いますが、かつての藩窯のような洗練された茶碗になっています。
★ 湖東焼(ことうやき)とは ★
湖東焼(ことうやき)は、滋賀県彦根市で焼かれている焼物で、その名前の「湖東」は、琵琶湖東岸の地域名の一つである「湖東」に由来します。
江戸時代中期の文政年間に、絹屋半兵衛が、有田より、伊万里焼の職人を呼び、彦根藩本領(現・彦根市域)で創始したとされ、藩主井伊家の許で発展しましたが、幕府大老を勤めた藩主・井伊直弼が暗殺されると職人が離散して一気に衰退し、明治時代中期に途絶しました。
当時は、主に、天草陶石による磁器生産が主で、染付・錦手・金襴手などの華麗な手法の作品が多かったのですが、地元の陶土を使った陶器の生産も行われていました。
戦後、再興の機運が盛り上がり、1986年に築窯され、その後も、復興事業が続けられていて、中川一志郎さんの他、武田克史さんなどが、活動されています。
一志郎窯
★ 作家 プロフィール ★
中川一志郎 (なかがわ いちしろう)
京都陶芸技術専門学校卒業後、遠州七窯の膳所焼で修行、茶陶を学ぶ。「雲井窯」で修行。
- 1986年 彦根市沼波町に築窯、湖東焼を再興する。
1997年 独立し、一志郎窯開窯。
1999年 彦根市夢京橋にギャラリーを開店。
2000年 信楽に穴窯を築く。
滋賀県立陶芸の森、常設展示。
(記 : 2016年8月12日)
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