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本銀象嵌矢立

明治時代のものと思われる、古銅本銀象嵌矢立(ほんぎんぞうがんやたて)です。









目立ち過ぎない程度の本銀象嵌装飾がポイントの矢立で、全長18,5cm 頭口径3,8pで、状態も良く、気に入っています。

矢立(やたて)とは、筆、墨壺と筆入れが一緒になったものですが、何故、矢立というのか?不思議に思ったことはありませんか?

矢立」とは本来、武士が着る鎧の上から斜めに吊った矢を入れる道具です。「(えびら)」とも言います。

鎌倉時代、武士が、合戦場で書状などを書く道具として、矢をいれた箙の下の小箱に、硯、墨、筆を入れて携帯するようになりました。これを「矢立の硯」と呼んでいたものが、いつの間にか「矢立」と呼ばれるようになり、その後、江戸時代には、硯と墨が消えて、墨壺がつくようになり、おなじみの形へと発展しました。

 「箙」、「矢立」

しかし、その名前は、「矢立」のままで、この「墨壺付き筆入れ」が、未だに、「矢立」と呼ばれているということのようです。

墨壺にはモグサなどを入れて墨汁を染み込ませ、また、墨がこぼれ難いように工夫してあります。

また、頑丈で、握り具合も良く、携行していても怪しまれないため、筆筒に針や刃を仕込んだ物は、護身用の隠し武器としても重宝されたようですが、後には懐紙(かいし)やワラジの紐を切るなど、日常的な道具として使われたようです。

 「仕込み矢立」

矢立には、幾つかの種類があります。一番多いのが、墨壺平丸型で、私の買った矢立もそうなります。

こちらは、一体型の墨壺杓型のもので、上開きタイプです。





こちらは、扇子型といわれる矢立で、扇子の形をしており、横に滑らして、筆と墨壺を出します。





こちらは、筆入れと、墨壺が、別々になっているものです。



矢立は、日本独自の文化によって作られたもので、明治時代までは、必須の携帯型筆記具として使われていました。しかし、万年筆の登場によって、やがて使われることもなくなりましたが、こうして、100年ほど経った今でも、存在感を出しているのは、さすがですね。これからも大切に保管したいと思っています。

★ 古銅とは 

古銅(こどう)とは、本来は、古代の銅器、または、それを写した宋元代の銅器のことですが、一般的には、古代の製法に近い、粗製黄銅で作られた黄銅製品です。表面を漆などで、着色したものもあります。
                                               (記 : 2011年12月6日)

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