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小樽窯白勢陶園作、小樽焼(おたるやき)のぐい呑みです。 大きさは、径:60mm、高さ:55mmほどで、小樽焼の特徴である、緑玉織部釉のぐい呑みです。陶印は、「小樽窯」と入っています。小樽窯は、2007年に、後継者難から閉窯になっていますので、小樽焼の作品は、今後作成されることのない貴重なものになっています。 小樽焼(おたるやき)は、北海道小樽市入船町で焼かれている焼き物で、明治32年(1900)に、開窯された北海道で最も古い窯です。越後・新発田出身で、藩御用窯の陶工だった、白勢慎治氏が、北海道小樽に渡り、花園町で窯を造り、主に、無釉の鉢や壺などを焼いたことが始まりです。2代目清蔵氏が譲り受け、窯を入船町に移改築し、花瓶や生活雑器を焼いていました。 1935(昭和10)年、3代目・白勢栄一氏(陶銘「栄悦」)は、工芸陶磁器を志し、北海道庁から援助を受けて新たな窯を創設しました。研究熱心だった栄一氏は、北海道の素材による表現技術研究のため、京都国立陶磁器試験所で研修し、本州・九州・朝鮮・満州の各窯を渡り歩いて研究しました。そして、施釉陶器の焼成に成功しました。 第二次世界大戦中の、1941(昭和16)年、自宅窯裏に防空壕を造るため、地中を掘った際に、良質の土を発見し、これを原料とした粘土から、郷土小樽独自の作品が生まれることになりました。 3代目栄一氏の甥の伸二氏が、4代目となり技術を磨きましたが、1989年に、栄一氏が亡くなるとその後、伸二氏も引退しました。その後、3代栄一氏の妻のヨシさんの弟の、吉川幸夫氏が工場長となり、窯を切り盛りしてきましたが、後継者難から、2007年、ついに、107年にも及ぶ永い歴史に幕を閉じることになりました。 小樽焼は、中国、朝鮮及び日本の伝統的な釉薬の作品など種々ありますが、北海道の湖を思わせる緑色の緑玉織部(りょくぎょくおりべ)釉が、地元では小樽焼きとして、特に有名で、道産粘土(札幌公害の野幌から産出する野幌粘土)、釉薬、そして窯と、すべてを手造りで行い、北海道の自然のもとで、独自の味を追求していました。 上の写真は、2007年当時の展示室の様子ですが、閉窯後は、どうなっているんでしょうね? 私も、窯元巡りが好きなので、車で行ける範囲のところの窯元を辿っていますが、後継者のおられない窯元も結構あるようですね。 (記 : 2012年1月19日)
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