七代大塩正人(おおしお まさんど)作・赤膚焼(あかはだやき)の奈良絵の蓋置きです。
赤膚焼と言えば、奈良絵が、かわいらしいので、是非とも奈良絵のものが欲しかったのですが、運良く、奈良絵の蓋置きを手に入れることが出来ました。
大塩正人窯は、現在八代大塩正人(正義)さんが、ご子息の正さんと共に、窯を守っておられます。
土は、赤膚山で採取した赤土に、蛙目(かいろめ)と木節(きぶし)という二種類の土をブレンドして使っているそうです。また、釉薬(ゆうやく)は、ハギやクヌギなどを燃やした木灰に、藁(わら)灰と、長石の粉を調合した萩釉と呼ばれるものです。これによって、赤膚焼独特の色合いを出しておられます。
正人窯の展示室 登り窯
赤膚焼(あかはだやき)は、奈良県奈良市、大和郡山市に窯場が点在する陶器で、その由来については、もう一つ詳かでありませんが、
衣だに二つありせば赤膚の
山に一つは貸さましものを
(新続古今和歌集)
とある如く、地名から出たとするものと、その赤膚山−現在の奈良市赤膚町(五条山)から出る陶土は鉄分の含有量が多く焼上げた地肌が赤身を帯びるから赤膚焼だとする、の二説があります。
また、天明(てんめい)年間(1781〜89)に民窯(みんよう)として興り、1796年(寛政8)ごろに大和郡山(やまとこおりやま)藩主、柳沢堯山(ぎょうざん)が、京都から召した陶工伊之助、治兵衛に、五条村赤膚山に開窯させ、御用窯とし、のちふたたび民窯に戻ったとされています。
その後、天保(てんぽう)年間(1830〜44)に、郡山の名工奥田木白(もくはく)が、京焼の作風を取り入れ発展させました。赤膚焼は、小堀遠州が好んだ遠州七窯の一つにも数えられています。
赤膚焼は、赤みがかった乳白色の素地をもち、能人形、奈良絵の色絵陶に優れた作品が多いのが特徴で、現在は、五条山に二窯、山伝いの富雄に一窯、西の京に一窯、郡山に二窯、都合六つの窯で焼かれています。
大塩玉泉窯 大塩玉泉 奈良市中町
大塩昭山窯 四代 大塩昭山 奈良市中町
大塩正人窯 八代 大塩正人 奈良市赤膚
赤膚山元窯 古瀬 堯三 奈良市赤膚
香柏窯 七代 尾西 楽斎 大和郡山市高田町
小川二楽 大和郡山市朝日町
私の手に入れた赤膚焼は、赤膚焼の特徴である、ほんのり.
赤い地肌とは言えないのですが、奈良絵が、かわいらしく、共箱、共布、栞付きで、確かなお品ですので、大切にしたいと思っています。
● 作家 プロフィール ●
七代大塩 正人(おおしお まさんど) (明治41年〜平成7年)
日展他入選・入賞 奈良県工芸協会理事長
奈良芸術大学教授 勲五等瑞宝章
(記 : 2009年10月15日)
追記 1:
八代大塩正人作・赤膚焼の奈良絵ぐい呑みを、手に入れました。
大きさは、口径約5.6センチ×高台約3.2センチ×高さ約3.3センチ×胴径約5.8センチで、共箱(杉箱)付きです。
七代の蓋置に続いて、八代のぐい呑みが手に入って、喜んでいます。奈良絵が、かわいらしいので、ぐい呑みも、いつかは欲しいと思っていましたので、うれしい限りです。
大塩正人窯では、中沢
直子さんが、絵付けを担当されているとお聞きするので、このぐい呑みも中沢 直子さんの絵付けのものでしょうか?
上絵付けの様子
奈良絵が、かわいらしいのは、女性が描いているからでは?と思っていたのですが、案外当たっているのかもしれませんね。
● 作家 プロフィール ●
八代大塩 正人(おおしお まさんど) 正義
昭和
8年 奈良に生まれる
昭和39年 朝日陶芸展入選・日展初入選
以後毎年連続入選
平成
4年 日展文部大臣賞受賞
平成 6年 東京銀座・日動画廊にて個展
平成
7年 日本芸術院賞受賞
現在 日展理事
日本工芸美術展常務理事
奈良県美術家協会会員
(追記 : 2010年9月15日) |