神懸焼(かんかけやき)の、三代秋光作の蓋置きです。
大きさは、直径約5.4cm 高さ約5.4cmほどのもので、紙共箱、栞付きです。
神懸焼の特徴である、釉薬の2重掛けによる景色がきれいな蓋置きです。現在は、五代秋光さんが、窯を継いでおられますが、この作品は、恐らく、三代秋光のものだと思います。(下記の窯元代々栞参照)
★ 神懸焼とは ★
神懸焼(かんかけやき)は、香川県小豆島で焼かれている陶器ですが、神懸焼窯元(五代秋光)と、幻煌焼(かぎろひやき)神懸窯(五代室井香悦)の2窯があります。
明治の初め頃、屋島焼きの陶工祖春が、小豆島に来島し、茶人秋光と共に神懸山(寒霞渓)の麓に陶窯を築き、神懸(かんかけ)焼きの初代として、茶陶器の製造を初めました。
その後、加賀の国、九谷より、陶工香悦が来島し、香悦独自の釉薬をもって楽焼き特有の軟さ、深い味わいを持たせながら、実質的には本焼きに近い堅牢さ優美さを有する、一種独自の焼成方法をもって、現在の神懸焼き独自の製品を造っています。
参考 : 神懸焼の由来(神懸焼窯元)
神懸焼 (寒霞渓焼)(かんかけやき)は、その昔、神功皇后が、三韓より帰朝の砌り、小豆島に立ち寄り、原土を発見し、其の頃より伝わるものと云われています。
明治初年、偶然書画骨董を嗜む俳人(秋光)が来島し、寒霞渓の風光を愛でて、麓に陶窯を築きましたが、意の如くならず、中頃に至り、儒学者平賀源内(源内焼)の直弟子、久保祖舜の伝授を得ると共に研究を重ねること数年にして、漸く特有の自然美を顕したる神懸焼を造り、寒霞渓中腹の石門洞付近に、秋光亭と名づけて茶屋を設け、雅趣豊かな茶陶を焼く事に専念し、今日に至ります。
幻煌焼(かぎろひやき)神懸窯は、明治8年、一時、途絶えていた神懸焼を、九谷の陶工・光悦が来島して再興し、現在は、五代室井香悦さんが、息子の六代の室井貴峰さんと、窯を守っておられます。
神懸焼(小豆郡内海町安田)は、楽焼の特徴である引き出し式の焼成方法を取っており、発色の違う釉薬を2重に掛けて、焼成中に、熔け、混じり合うことによって、変化に富む釉肌が特徴です。
秋光作 掛け花入れ
幻煌焼神懸窯(小豆郡土庄町)は、基本は、白土で、複数の釉薬を巧みに使って、絵を描くがごとく、作品を仕上げています。
香悦作 水指
いずれの窯も、小豆島には、なくてはならない特産品として、作品を送り続けています。
(記 : 2010年3月28日)
追記 :
5代・室井香悦作、神懸焼の茶碗です。
大きさは、径:13.8cm、高さ:8.3cm、高台径:6.1cmほどの伊羅保系の掛け分け茶碗で、共箱付きです。「香悦」を窯印も入っています。
神懸焼は、釉薬のダブル使いのものが多い中、息子さんの室井貴峰さんが、こういった感じの焼き物を、「
幻煌焼」と称して、作られていますので、その影響かもしれませんね。
5代香悦さん
この茶碗の栞ではありませんが、他の作品から、キャプチャーしたものを乗せておきます。
上記に、もう1つの窯元である、谷元商会さんの栞と比べてみるのもおもしろいと思います。
追記・最終更新日 : 2015年8月31日 |