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ホーチミンで、沈香木をゲット!

2012年4月7日に訪れた、ベトナム・ホーチミン市でゲットした、ベトナム産・沈香木(じんこうぼく)です。

沈香木


大きさは、高さ26cm、長径:16cm、短径:14cmで、重さが、535gあります。

ベトナム産の沈香で、同じ店に、伽羅もありましたが、伽羅は、かけらになったものしかなく、しかも、グラム当たり、17USドルでしたので、この沈香の15倍ほどすることになり、伽羅の値段が高いのがわかります。

それでも、日本で買えば、伽羅は、グラム当たり5000円くらいはしますから、ベトナムでの市価は、3分の1程度ですね。 

お店の人の説明では、私が買った香木は、クラスBだということで、恐らく、クラスAが伽羅なんだと思います。私としては、固まりになったものが欲しかったので、クラスBで満足です。

私は、インドネシア産の沈香を2つ保有していますが、20gと、45gのものですので、今回、こんなりっぱな沈香木に巡り合えて、ちょっと予算オーバーでしたが、これほどのものを買える機会は、もうないだろうなと思い、購入しました。


        伽羅と思われるインドネシア産沈香20gのもの(4箇所削り取って、聞香しています。)


             沈香(45gのもの) (まだ削って聞香をしていません。)

お店には、同じようなお品が、もう何点かありましたが、これが、一番小さなサイズでした。何万円もするものですから、やはり、2つは買うことは出来ませんでしたね。(笑)


                      お店にあった香木

オブジェとして、飾ってもいいような沈香木ですので、1〜2回は、削って、聞香してみようと思っていますが、形を崩さないように削り取らなければいけないので、びびっちゃいますよね。(笑)

ホーチミンでのガイドの話では、香木を扱っているのは、このお店だけだと言っていましたが、取りあえず、私が欲しいものを理解してくれて、お店に連れて行ってくれたので、感謝しています。

尚、ベトナムでは、香木は、ワシントン条約で保護されており、国の専売品 となっています。この香木は、国営百貨店で買ったものです。

★ 沈香木とは? ★

大変、わかりやすく解説してあるホームページより、引用させていただきました。ご参照ください。

1.沈香って何?どうやって出来るの?

(1)沈香は、沈香樹の内に自然に出来た特有の油脂状物質が集まったものです。

(2)沈香樹は、瑞香科植物の一種で、野生の原生林の中(沼沢地でも少数あり)に植生します。
  クスノキに似た樹木で、樹齢100年以上を経たもので、かつ次のような部分に沈香が出来ます。

(a)カサブタが出来た部分(傷を受けたり、虫に食われた後)

(b)枝分かれしたところ

(c)成長が阻害されたところ(枝や幹、根などが巨石などに当たって、伸びるのを妨げられたところ)

(d)樹木の風の当たる面の裏側で、湾曲したところ

(e)環境が急激に変化(悪化)した時に成長した部分

(f)その他の原因

こうした部分に、黒茶色〜黒色の油脂状の物質が、点状、網目状(虎の毛皮の模様のような)、柱状(珍しい)に集まったものです。この独特の油脂状の集合物質を「沈香油」といいます。沈香油が著しく付着した部分は、燃やした時はもちろん、常温でも馥郁とした独特の香りを放ち、人々に深く愛されています。

(3)沈香樹の中には、油脂が均等に生じたものもないわけではありません。かなり大きく成長した沈香樹があります。淡黄色の木質部が平均的に存在し、油脂の集合がみられない整った株もあります。

(4)沈香樹の中で、沈香油脂を生じ、採集が可能な部分は、全株の1%に満たないのが普通です。

2.沈香は、どんなところで採れるの?

現在、全世界でもっとも重要な沈香の産地は、ベトナムとインドネシアにあります。

(1)ベトナム

主要な産地は、中西部の山地にあります。崑崗高原に産出するものは、特に品質が優れていますが、資源として、すでに枯渇の傾向にあります。このほか、ベトナム中西部の山地から北方のラオスに向かう地域、南のカンボジアに向かう地域でも、少量の沈香が産出します。ただし、経営者の多くはベトナム中部人です。ベトナム産沈香の集散地は、中部の峴港と南部のホーチミン市が主です。
ベトナムでは古くから「恵安」や「青州」などの集散地が知られていますが、この港からわずか数十里の距離に「会安」という古都があります。かつて大きな城と商港を持ち、ベトナム中部経済と商業の中心地として、台湾の鹿港と同様、商人が大勢集まっていました。おそらく、「恵安」は「会安」の間違いだと思われます。

(2)インドネシア

インドネシア諸島のうちで、カリマンタン島とイリアン島で現在少量の産出があり、比較的良質の沈香が採れます。このほか、各島でも、2,3の産地が開発されていますが、採取量はわずかです。

3.馬来沈とは? 星州沈とは?中国でも沈香が採れるの?

馬来沈、星州沈という言葉が使われることがありますが、実際にはほとんど同じものを指しています。

(1)「馬来沈」は、マレーシア産の沈香を指します。ただし、原産はカリマンタン島北部にあります。マレーシアのサハやサローの山地で採れた沈香はすでに完全に絶産となっています。その上、マレーシアは人件費が高く、開発しても元が取れません。今のところ、ごく少数のインドネシア人が辺境で採集をしている状況です。ですから、「馬来沈」は、すでに過去の呼び名といえるでしょう。

(2)「星州沈」の星州はシンガポールの意味で、シンガポールは、現在、インドネシア産沈香の最大の集散地です。その国土からは沈香は産出しません。ただ、その驚くべき商売の腕前で、インドネシア産沈香の大半を掌握しているのです。売られるとき、シンガポール通貨で値段が建てられます。「星州沈」はインドネシアに産し、シンガポールに集められた沈香を指します。

(3)このほか、歴史上、中国の南方に沈香樹の一種を植えた土地があったことが記録されています。当時は、沈香を採る目的で、植樹し、樹齢が若い内に、外皮にキズをつけて製薬用の樹液をとりました。この種の樹液は、ここで述べている枝幹の内部に集まった油脂状のものと同じではありませんし、現在では種植する人もありませんので、これ以上の説明は不要でしょう。


        沈香木                    沈香葉

★ 日本での香木の歴史 ★

歴史的には、6世紀頃香木が中国から日本に伝えられたといわれています。日本書紀には、推古天皇三年(595)、「夏、淡路島へ一抱えもある沈香が流れ着いた。島民が薪として竈で焚いたら、その煙が遠くまで良い香りを運んだ。島民は、これは不思議だと言って、宮廷に奉った。」とあり、これが、最古の記録となっています。

東大寺の正倉院には、聖武天皇の時代に中国よりもたらされた、かの有名な黄熟香・・おうじゅくこう(通称:蘭奢侍・・らんじゃたい 東大寺建立の頃734年に収蔵?。)と、光明皇后が献納した全浅香・・ぜんせんこう(752年)が納められています。蘭奢侍は、鎌倉時代以前には、日本に入ってきたと見られており、以後、足利義政・織田信長・明治天皇等が切り取っています。

 
   正倉院に収蔵されている香木・蘭奢待(らんじゃたい) (長さ156cm、重さ11.6kg)

その後、香は、6世紀〜7世紀にかけ、仏教の興隆と共に、仏に捧げるものとして、日本人(貴族)の生活の中に根付いていきました。

仏事以外に香が用いられるようになったのは平安以降で、鎌倉時代からは、琉球より、沈香が輸入されたことなどから、沈香の清微な香りが好まれるようになりました。15世紀、室町時代東山文化の頃、今日の芸道の主なものの殆どが、この時代に興こりました

以降、安土桃山時代、江戸時代と、香道は盛んになり、十八世紀には、版本の刊行が可能となった為、香道書の出版が盛んになりました。

明治維新により、香道は衰微しますが、現在でも、「志野流」と「御家流」の2派が、主流となって、香道を伝えています。
                                                (記 : 2012年4月10日)

追記 :

上記の沈香の聞香をしてみました。

今回も、よりわかりやすい香りになるように、空薫き(そらだき)というやり方で比べてみました。



左が、インドネシア産の沈香で、伽羅に近いのでは?というもので、右側が今回買ってきたベトナム産の沈香です。

まず、インドネシア産の方は、暖めるとすぐに樹脂がねっとりと現れて、じっくり香りを出していました。



画像では、煙がよく見えませんが、かなりまっすぐ立ち上っていました。香りも、良く、長い時間、芳香を放っていました。

一方、ベトナム産の沈香は、樹脂が出てくるのですが、サラサラした感じで、ピチピチと、水が沸騰したように跳ねていました。また、焚けている時間が少なく、間もなくして、燃え尽きた感じになりました。



香りも、木を燃やしたような感じで、やや強くて、もちろん香木の香りなのですが、インドネシア産と比べると、香りが長持ちしないような印象でした。

次回では、銀葉を使った聞香をして、微妙な香りの差を楽しんでみたいと思っています。
                                             (追記 :2012年5月5日)

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