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南部釜師川村作・富士形地紋鉄瓶

南部鉄瓶の古作、川村造、富士形地紋鉄瓶です。













大変変わった形の鉄瓶で、銘が入っているのですが、「川村製」しか判別できません。蓋裏には、「やまキ」の銘が入っています。

富士山の形をしていて、作りも大変しっかりとしているので、大変良いものが手に入ったと喜んでおります。裾が、スカートのようになっていて、熱を逃がさないような作りになっています。裾部分は、壊れて不揃いになっているのか?それとも、元々、こんなデザインなのか?わからないのもいいですね。

大きさは、高さ: 24.2cm 横: 19cm φ: 9.8cmで、煎茶湯沸に使われるものではないか?と思います。

この鉄瓶、注ぎ口が白くなっています。



これは、長年使い込んだことにより、内部に水のカルシュウム分が付着している証拠だと思われます。一層、お茶の味を良くするそうです。前所有者が、大切に使っていたことがわかります。

★ 南部鉄器取扱いの鉄則 ★

 絶対に内部には手を入れないこと!内部をこすらないこと!

 錆びない鉄はない!内部を乾かして保管すること!

 沸かしたお湯が澄んでいれば(金気が出ない)、一向に気にせず使え!

要するに、錆を気にすることはないということのようです。

南部鉄瓶(なんぶてつびん)は、岩手県奥州市、盛岡市で作られる鉄器のうちの鉄瓶です。

明治・大正の南部鉄器以降は、南部鉄器で、総称されていますが、水沢(奥州市)の南部鉄器と、盛岡の南部鉄器の歴史は異なります。

水沢の南部鉄器は、平安後期に、江刺郡豊田館(奥州市江刺区)にいた藤原清衡が近江国(滋賀県)より鋳物師を招いて始め、これが、次第に南下して水沢に伝わったと語り継がれています。

水沢に鋳物師が定住するようになったのは室町時代初期で、江戸初期には地域に鋳物業が定着し、仙台藩の
庇護を受け、鉄鍋、鉄釜を中心に、仏具なども生産し、幕末には大砲も鋳造しています。

一方、盛岡の南部鉄器は、慶長年間(1596年-1615年)に、盛岡藩主南部氏が、盛岡城を築城した頃に始まったといわれています。以降、歴代藩主庇護の下、育まれてきました。

南部鉄器は、藩の庇護がなくなった明治時代に、衰退し、東北本線の開通で盛り返すも、第二次世界大戦、戦後のアルミニウム食器で衰退しました。

1975年に伝統工芸品に指定されて、現在に至っています。

文様は、大きく分けて、3つあり、アラレ文様、動物文様、植物文様となっています。

特に、有名なのが、南部鉄瓶独自の文様として知られているアラレ文様で、鉄瓶の表面積が増すことで保温効果が増すという先人の卓抜は知恵と緻密なデザインは、今も受け継がれています。

 宝珠形アラレ文様鉄瓶

も、色々とあり、丸形、丸つぼ形、三笠形、鶴首形、平こま形、丸甑形、富士形、柚子形、平形、宝珠形、竜文形、等々があります。

南部鉄瓶を呼ぶ際には、形と、文様を続けて、○○形○○鉄瓶と呼ぶようです。

 
      鶴首つる草               三笠形アラレ              富士形松林   


★ 錆びてしまった南部鉄瓶は、どうする? ★

回答例1: 川添竹材商店HPより

お茶ガラで処理しましょう。だし取り用の紙パックにつめた出がらしの茶葉を煮詰めると効果的です。すぐにお湯の色が黒くなり、やがて鉄瓶内部も黒くなったように色が変わります。後はお湯を何度か沸かしては捨て、きれいにしてからいつものようにお使い下さい。

茶殻を煮立てることで鉄瓶内部にタンニン鉄の被膜を作ってサビの進行を抑えるのです。

回答例2: 南部鉄器共同組合HPより

煎茶を湯呑茶碗一杯分、布に包みお湯といっしょに20分位煮込むか、米のとぎ汁を入れ、煮込んでください。この作業を2、3回繰り返すとさらに効果があります。これは金気止めと内部の金漆の臭いをとる効果ががあります。(煮立てる間はフタをはずしてください。)

これを、2〜3回繰り返すのがいいそうです。
                                               (記 : 2011年6月17日)

追記 :

南部鉄瓶に合う、置炉というのでしょうか? 小型のIHクッキングヒーターを利用した風炉を作りました。





IHヒーターは、熱もあまり発しませんので、お湯を沸かすのにぴったりですし、60度と80度に温度設定できて、保温も出来ますので、手軽にお茶を楽しむことが出来ます。現代の、うさぎ小屋に住む我々には、こういった工夫も、風流のうちではないでしょうか?

早速、お茶を立ててみましたが、ばっちりでした。(笑)

今では、日本には、職人さんもあまりいませんので、注文するのも大変ですが、インドネシア辺りには、腕の立つ木工職人がたくさんいますので、特注するのもいいかもしれませんね。
                                           (追記 : 2012年1月6日)

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