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大上博(おおうえ ひろし)作、江戸漆器の飾り箱です。 大きさは、130mmx130mm、高さ:93mm程の小さな飾り箱で、共箱、栞付きです。 桜の花を、漆絵で描いた作品で、上品且つ美品です。 作者の大上博さんは、昭和16年生まれで、昭和57年に独立し、平成19年に江戸漆器で、東京都の伝統工芸士に認定され、数々の賞を受賞されています。 江戸漆器と言えば、庶民の食文化に関連するものが多く、蕎麦道具や江戸八角箸等が有名ですが、かつての上流階級向けの雅な作品を手に入れることが出来て、うれしく思っています。 ★ 江戸漆器とは ★ 江戸漆器は、東京都台東区、中央区を中心とする地域で作られている漆器で、1590年に江戸に入城した徳川家康が、京都の漆工を招いたのが江戸漆器の始まりと言われ、更に各地の優秀な漆工を招いて腕を競わせて、より良い漆器を制作しました。 慶長年間には、京の蒔絵師の名門の幸阿弥家(こうあみけ)七代目が、2代将軍・徳川秀忠に召し抱えられて、将軍家への献上品や、諸大名の嫁入り道具などを制作しました。 以来、東京は、京都に代わって、漆器工芸の中心地となり、現在に至っています。 これは、陶磁器には、材料の陶土という地理的な条件が大きく影響しますが、漆器の場合には、漆は、日本中、どこでも育つとため、地理的な条件に左右されなかったことが大きかったようです。 8代将軍・吉宗の享保年間(1716年〜1735年)以降は、庶民の日用品としても普及し、江戸の食文化に必要な、蕎麦道具や、うなぎの重箱等、業務用の漆器の生産も盛んでした。 現在でも、蕎麦道具の生産量は日本一を誇っており、業務用の漆器の他に、茶托(ちゃたく)、銘々皿、茶入れ、鏡台、手鏡、かんざしや香合など、さまざまなものを制作しています。 家具類には、「布目塗」がほどこされるのも特徴で、木地に強度を加えるために布を貼り、布目が消えないように上塗りして仕上げるものです。 また、江戸漆器は、他の量産漆器産地のような分業制は取らず、1品1品を、作者が最初から最後まで作り上げるのも特徴となっています。 (記 : 2015年3月17日)
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