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銀細工のキンマ入れと里帰り銀貨

2014年11月19日に、ミャンマー国・シャン州・ラーショー市に行った際に手に入れた、19世紀前半に作られたと思われる銀細工のキンマ入れです。











大きさは、長さ:9、5cm、幅:4、3cm、高さ:3、3cm程度のキンマ入れで、文様は、シャン州の独特のものだということです。裏に、文字らしきものがあったので、何と書いてあるのか?尋ねたのですが、シャン州近辺の土着の文字で、ミャンマー語ではなく、わからないとのことでした。

 裏面の文字

19世紀前半に作られたと思われる、打出しによる模様も美しく、丁寧な仕事がなされているお品です。

ミャンマーでの銀細工は、ミャンマー北部のザガイン〜モンユァ高速道路沿いにある小さな村のユァータウン村が有名で、このキンマ入れは、この村か、その周辺地域で作られたものと思われます。

行った先々で骨董品を見つけるのが趣味の私ですが、ここでは、やきものを発見できず、1軒だけ、銀細工の骨董を専門にしているお店をみつけ、記念の品物を物色しました。

銀細工の工芸品と銀貨がメインのお店だったのですが、私が、日本人だと知り、数あるコインの中から、日本の銀貨 が1つあるということで、見せてくれました。

いくら?と聞くと、US150ドル・・・・・・うんんんん・・・・・・コインには、知識がないので、高いのやら、安いのやら、判断が付かず、工芸品の方に注目していました。

そうすると、中に、もっと品物があるということで、あやしい部屋に通され、宝箱のような大きな箱が2つあって、その中に、銀細工の品物がたくさん入っていました。厳重な鍵が掛けてありましたので、店頭には出さないで、買いそうな人にだけ見せるんだと思います。



 真剣に選定

何個も同様の小物入れがあったのですが、中には、粉が入っていたものも結構あり、これは、何なの?と聞くと、色々と説明してくれて、その内容から、キンマ入れであることがわかりました。

キンマ とは、キンマの葉に石灰を溶かしたものを塗り、ビンロウの実を包んで、ガムのようにして食べる嗜好品で、タイや、マレーシアでもみることが出来ます。



 キンマ

その容器として、タイやミャンマーの漆器が使われていましたので、日本では、タイやミャンマーの漆器の技法を、蒟醤(きんま)と呼ぶようになっています。(「香川漆器・蒟醤(キンマ)の香合」参照)

 キンマ入れ

この銀細工の容器も、同様にキンマを入れるものですが、このような銀細工の容器に入れるんですから、キンマ自体が、たばこと同じような、ちょっとおしゃれな嗜好品だったことが伺えます。(日本では、キセルに銀を使い、最高級品とされています。)

この銀細工のキンマ入れですが、2つくらいを候補品として、値段を聞くと、細工の良し悪しではなく、重さを計って、値段を決めていました。銀の価値で値段をつけているということなんですね。

ということで、細工の見事だったこちらを選び、帰ろうとした時に、どうも、最初にみせられた1円銀貨が、気に成りだして、こんなものを、こんな田舎町に置いておいていいんだろうか?という気持ちになり、再度、お品を見せていただきました。

こちらが、その明治27年製造の1円銀貨です。明治20年から大正3年まで作られた1円小型銀貨で、径:38.1mm、重さ:26.96g(銀90%、銅10%)で、主に、中国や台湾との貿易用に作られました。

 洗浄前

 洗浄後

 洗浄後(裏)

コインには、全く知識がなく、製造年によって大きく価値が変わることくらいしか知らなかったのですが、持った感じが重いし、贋作ではないような気がしたので、思い切って、US100ドルでどうか?と持ち出してみました。

すでに、キンマ入れを、少し値切って、US80ドルで買うことにしていましたので、もしかすると、折れるかな?と思っていましたが、「ボスを呼んでくる」といって主人を連れてきましたが、100ドル札をちらつかせていたのが、功を奏したのか?商談成立と相成りました。(笑)

かくして、日本製の1円銀貨が、里帰りすることとなったのですが、買った後に、調べてみると、この貨幣は、主に貿易用で、台湾や中国との貿易に使われていて、多くは、海外で使われていたということですので、今回行った、ラーショーというところは、中国とミャンマーの貿易の基地ですので、ここにあってもおかしくはないのかな?と思った次第です。

価値的には、相場通りで、特にお買い得ではなかったようですが、里帰りさせてあげただけで、まぁ、いっか!という感じですかね?

買った時には、汚かったのですが、歯磨き粉と歯ブラシで、きれいにしてあげましたが、骨董品としては、まずかったかな?(笑)

尚、こんな僻地のラーショーですが、日本軍がイギリス軍と交戦して、奪い取ったと聞かされ、なんでこんなところまで来ていたの?と、ガダルカナルへ行った時にも思いましたが、戦時中は、こんなところまで、侵略していたんですね。

歯ブラシと歯磨き粉で、きれいに洗浄した後、眺めていると、表に、「小」、裏に「中」のような刻印が打ってあることに気が付きました。○銀を刻印したものはあるようですが、これは、どうして?という疑問が出てきました。何らかの理由があるような気がしますが、どうなんでしょうね???

★ ラーショーに温泉があった! ★

ミャンマーと中国の貿易の交易地であるラーショーですが、特に観光地もないのかな?と思っていましたが、温泉がありました。

広大な池全体が温泉になっていて、ひぇ〜〜〜〜びっくり!でした。

源泉の部分もみましたが、まさに、透明なお湯が泉として、湧き出ていました。

ラーショー温泉



ラーショー温泉

私も、足湯を楽しませていただきましたが、丁度良い湯加減で、しばらくすると、足の表面がぬるぬるしてきましたので、お肌にもいいのかもしれませんね。

思わぬ憩いの一時が出来て、ここへ来た甲斐があった・・・・・・楽しい思い出になりました。

                                              (記 : 2014年11月24日)
追記 :

かつて、東チモールにいた頃にいただいた銀貨のことを思い出し、取り出してみました。

それが、この銀貨ですが、いただいたのが、ポルトガル領だった東チモールでしたので、てっきりポルトガル銀貨だと思っていましたが、調べてみると、オランダ銀貨でした。オランダ ウィルヘルミナ女王(オールドヘッド) 2.5ギルダー銀貨 1930年(昭和5年)製、直径:38mm、品位:銀720/1000、量目:25gで、18gほどの銀が含まれています。



例によって、歯磨き粉と歯ブラシで磨いてあげると下のようになりました。



大きさは、ミャンマーで買った里帰り銀貨と同じサイズですが、重さが少し軽いですね。明治以降〜第二次世界大戦までの貿易には、これらの銀貨が同一価値貨幣として使われていたんでしょうね。





日本の1円と、オランダの2.5ギルダーが等価だったと思うと、これもまた、趣深く感じます。
                                            (追記 : 2014年12月27日)

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